青春はスクリーンの手前に落ちている

学校を出て北方向に10分ほど歩くと線路があって、私たちはそこで足を止めた。


「電車ってどう?」

ぽつりとそう言った柊くんと同じ方向に視線を向ける。

「あ…この線路、いいかも。単線だとノスタルジックになりすぎるけど、長い列車が通る大きな線路の方がタイムリープの映像と相性良さそうで…過去に飛んだ瞬間とか、いい気がする!」

私が頷く代わりに息継ぎする間もなく喋ると、柊くんが短く笑った。

「急に監督みたいに喋るじゃん」

その瞬間、貨物列車がガタンゴトンと目の前を通り過ぎていく。

長いコンテナが続き、一定のリズムで響く車輪の音が、早まった心拍を落ち着かせる。

やがて最後尾が遠ざかり、ふと静かになる。

隣に視線を移すと柊くんが私を見ていた。

思わず息を呑む。


「相当好きなんだね、映画」

柊くんの言葉に、「…うん」と、もう一度視線を線路に戻す。

また遠くで車輪の音が聞こえる。


「…でも今の絵、浮かんだわ」

そう言った彼の表情は、それこそ映画監督そのもの。

「ほ、ほんと?」

「うん。
なんでか楠木さんが語り出すと浮かぶ」

ヒヒっと笑った柊くんを見て、ニヤけそうな口元をハンディファンで隠した。