【シナリオ】【青春BL】懐かしい味


<シナリオ>
タイトル「懐かしい味」
著:瓊紗

【登場人物】

木崎(きざき)(しずか)…高1。受け。子どもの頃から病弱。冷静沈着。

志木(しき)(よう)…高1。攻め。閑の幼馴染み。陽キャ。

【本編】
○冒頭のヒキ、閑の家、台所、朝
樹、パジャマ。台所で風邪薬を飲む。
樹「今日は熱っぽい。昔から身体は弱かったけど、高校に入ってからは初めてだな」
樹、リビングに向かい電話を手に取る。
樹「はい、先生。すみません。両親は海外なので。それで……はい、はい、休みでお願いします」
カチャリと電話を切る。
樹M「こんな風に寝込むのは昔からだ。ひとりにももう慣れた」

○ベッドの上、昼下がり
樹、ぼうっと身体を起こす。
樹「お昼ごはん……作らなきゃ」
樹M「幼い頃からこんなだから、具合が悪い中お昼ごはんを用意するなんて慣れたものだ」
樹、ぼうっとしながらも冷蔵庫を開ける。
樹「プリン……ああ、切らしてたんだった。ゼリーでいいか」
続いてスプーンを用意する。
樹「これでいいや。食べないよりはまし」
樹、ゼリーを完食する。
樹「薬……薬、あった。飲んだらまた少し寝よう」
樹M「頭がくらくらする」
樹、ベッドに横たわる。
樹M「夜になったらましになるだろうか」

○ベッドの上、夕方
カーテンから夕陽が注ぎ込む。
樹、インターフォンの音を聞く。
樹「一体誰だ?怠いのに」
樹、のっそりと起き上がりベッドを降りる。
樹「はいはい、今行きますよ……」
樹、ふらふらとインターフォンカメラを覗く。

○インターフォンの向こう、外、夕方。
陽が手を振っている。
陽「よっ!樹!来てやったぞ~~」
樹M「うるさいのが来たな」
陽、もう片方の腕を引き上げコンビニ袋を見せる。
陽「おーい、聞いてんのか?お前の好きなプリン!買ってきてやったぞー!」
樹M「(嬉しそうに)プリン……!」
樹「分かった。今開けるよ」
樹M「昔から騒々しい幼馴染みだったが、でも俺のことは何かと分かっているんだから」

○樹の部屋、夕方
ベッドに腰かける樹とカーペットに腰かける陽。
陽は袋からプリンとスプーンを取り出す。
陽「ほら、樹!プリン」
樹「(照れながら)あ、ありがと」
陽「授業のプリントも持ってきてやったから」
樹「うん……何か、ごめん」
陽「気にすんなって!俺とお前の仲だろ?」
樹「(顔を赤くして)……っ」
樹M「仲って……何を想像してるんだ俺は。また熱が上がったろうか」
陽、立ち上がり樹の顔を覗き込む。
陽「お前、顔赤いぞ」
樹「これは違……っ」
陽「また熱上がったか?」
樹「う……うん」
樹M「上手く誤魔化せただろうか」
陽「ならプリン食ったら少し寝てな。夜は俺が粥を作ってやるから」
樹「でも……」
陽「いーんだよ。親父さんたち、海外なんだろ?なら俺がお前の看病をする」
樹「ひとりでとできるよ」
陽「だーめ!ちゃんと寝てろ。病人」
樹「(俯く)うう……」
樹M「陽は言い出すと聞かないのだから」
樹、素直に布団に入る。
樹「分かったってば」
陽、満足したように台所に向かう。
陽「んじゃぁイイコで待ってろよ~~!取って置きを作ってやるからな~~!」

○ベッドの上、日没
樹、ひとりベッドで考える。
樹M「陽はいつもそうだった。両親が仕事でいない俺のためによくこうして看病に来てくれたよな」
部屋がノックされる。陽が粥を抱えて入ってくる。
陽「お待たせ」
樹、むくりと身体を起こす。
樹M「いい匂いがする」
陽「じゃーんっ!俺特製お出汁の炊き込み粥~~」
樹「(嬉しそうに)……!」
陽「お前、これが一番好きだったろ?」
樹、口元を手で隠すように目を反らす。
樹「そんなの……子どもの頃の話だろ」
陽、粥鍋の蓋を取り小皿によそう。
陽「今だって好きだろ?ほら、あーんしてやる」
樹「ひとりで食べられる」
陽「俺がしたいの」
樹「もう……お前は。俺以外にもそんな看病してんのか?」
陽「え……っ!?まさか、お前だけだよ!」
樹「俺だけ……か」
陽、粥をよそったスプーンを差し出す。
陽「ほら、冷めないうちに!」
樹、スプーンから粥を啜る。
樹「ああ。あーむっ」
樹M「今も変わらない懐かしい味だ」
陽、上機嫌に笑う。
陽「ふふっ」
樹、呆れたように陽を見る。
樹「全くお前は」
樹、再び陽からのあーんで粥をすする。
クスリと微笑む。
樹M「でも、悪くない」