アイドルの君へ伝えたいことー配信アイドルの僕が、本物のアイドルに恋をした—

 その時、「悠生」という声が聞こえてきた。

 テントの奥にいたのに、美月は僕を見つけて、ここまでやってきた。

「美月!」

 僕の隣に英くんがいたので、美月は固まったまま英くんをただ見ていた。

「…これが英くん」

 美月はただ茫然と見つめ、呟く。

「…美月さん? 聞いてますか?」

 あまりにも固まっている美月に僕は敬語で話しかける。

「本物の英くんだ」

 美月は英くんの方に駆けだして、思わず口角を緩めた。

 英くんの手を取った。

「お会いしたかったです。悠生からは話聞いてましたが、ふーん、私は悠生と英くんのこ
と応援してますから」

 美月は僕と英くんを交互に見てから、満面な笑みを浮かべながら英くんに伝えていた。

 それを見た英くんはギュッと手を握り返した。

「こちらこそ、よろしくお願い致します。美月さん」

「こちらこそ」

 英くんと美月は見つめ合ったまま、握手を交わしていた。

 数分、同じ状態だったので、僕は割って入っていた。

 ずっと、美月と英くんが手を握っているのを見ていられなかった。

「…あの…英くん、時間大丈夫?」

「え? なになに。この状態に嫉妬してる?」

 僕が英くんに言うと、この~と僕の頬を人差し指で突っついてきた。

「それは、英くんの方でしょ! 美月との仲疑ったくせに」

 僕は頬を膨らませて、目を逸らす。

 言い過ぎたかなと思い、英くんの方を見返す。

 英くんはニコニコと口角を上げたまま、僕をただ見てくる。