二年になり季節は春から緑生い茂る初夏へと変わる。5月の中旬その日俺等はお試しで付き合い初め約二週間になった。
冬時は俺と付き合い始め、今までとは明らかに態度が違う。まず、どこへいくにもついてくるようになった。前は一時的に抜けても、大人しく待っていた筈なのに、トイレへ行けば俺もと連れションしてくる始末だ。
そして他の女子や男子と話すときも、遠くから冬時の視線を感じて話に集中できない。独占欲が人一倍強く、帰る時でさえも俺の手を握って離さない。それ故周りからの奇異な視線が、ちょっぴり恥ずかしい。
「、、はあああああ」
「何朝霧」
「、、、お前なあ」
放課後になり誰もいない教室で冬時が膝に俺を乗せ、後ろからぎゅうっと体重のかかった熱い抱擁を受ける。おまけに手を指の間に滑り込ませ、ぎゅっぎゅとその感触を楽しむように握られる。
「少しくらい我慢できねえの?」
「?」
「、、手握ったり抱きしめたり、スキンシップ多いとことか、、、そんで今日はやけに甘えてくるし」
「、、、、、、、だって今日楽しそうだったじゃん朝霧」
「何が?」
「、、、、、、、、、、、女子と話して笑ってた、、、」
少し拗ねたように、背後からきゅっと俺を抱きしめる力が強くなった気がした。その言葉に思い返せばと、今日の事を振り返って見る。
多分冬時が言っているのは、二時間目後の休憩時間の事だろう。後ろのロッカーから次の授業で使う教科書を取り、席に戻る途中だった。
「、、きゃっ」
「わっ」
偶然前方から来た女子が通り過ぎる瞬間に足を躓き、転びそうになる。咄嗟に俺は彼女の肩を持ち、間一髪で止めることが出来た。
「、、ごめんなさい、、、えっと朝霧君だっけ?」
「え、、うん」
同じクラスに名前を覚えてくれている人がいて、少し驚く。彼女は肩で切りそろえた黒髪を揺らし、申し訳なさそうに眉を下げた。
「その助けてくれてありがとう」
「いやいや別に、、そんな」
女子と話すのは久しぶりすぎて、俺は手をアワアワとさせてテンパってしまう。
「、、じゃあそのまたね」
「うん」
最後は少し気まずい空気の中、ぎこちなく微笑み返し席に戻った。たったそれだけの事だ。
「、、笑ってたとしても、、、、愛想笑いだって」
「、、、、、でも朝霧に惚れる奴がいたら、、それはそれでヤダ」
面倒くさいと感じつつ、俺は後ろに手を回す。そして、首に顔を埋める冬時の頭を優しく撫でてやった。
「大丈夫だって、、俺は此処にいるし、ナニカあっても、お前の傍から離れるなんて事しねえから」
「絶対に??」
「、、、、それはまあこれから先の関係に、進展があったらな」
「じゃあ俺等、、正式に恋人」
「まだなってねえよ、色々とステップ踏むことあるだろ」
「ステップ??」
「とにかく今のお前は、距離が近すぎる。ちょっとづつスキンシップ増やしてくのが普通って事」
「、、分かった」
するとパッと手を挙げ、さっきまでの密着はどこへやらすぐに解放してくれた。
「ありがと、、、」
「うん、これからちょっとづつ朝霧を俺の沼に落としてく作戦にしたから」
にこやかな笑みだが、声色は低く本気なのが伺えた。俺はブルブルと肩を震わせ、少し冬時から距離を取る。
獲物を追うような光る目が、俺を写して離さなかった。
次の日の早朝メッセージが届き、見れば【風邪引いた】と一言。
少し寂しい気持ちを抑え、俺は学校へ向かう。教室に入ると、いつもいる冬時の席だけが、ぽっかりと空いていた。
「こうなると、、ちょっと切ねえな」
手首につけた、冬時のくれたブレスレットを見つめ、俺は自分の席に向かう。直後、肩を不意に叩かれ俺は振り向く。
「あの、、朝霧くんおはよう!!」
「お、、はよう」
昨日助けた女子が立っており、しどろもどろに視線を動かす。テンパっているのか、「えっと、、あの」と指を回し、繋ぎ繋ぎで口を開く。
「そのさ、、昨日は助けてくれてありがと!!それでえっと御礼がしたくて」
「嗚呼、、ううん」
「自己紹介してなかったよね、私蝶ノ塚 菜乃葉!!」
「、、蝶ノ塚さん」
「そう!!改めてこれからよろしく!!!」
えへへと笑い歯を見せる彼女に、不意に胸がキュッとなる。なんだこれと、思いながら俺は彼女と視線を合わせた。
「朝霧くんって、、数学得意なの!!」
「う、、うん文系より理系だから」
「すごい!!私数字に弱いから、、そういうのカッコよくて憧れちゃう」
なんだこれは、気づけば俺は休憩時間になれば必ず、彼女に話しかけられ隣の席をキープされた。女子と話すなんて、五億年越しに近く緊張で汗が止まらない。後、冬時にバレたらどうなるか、頭の中で暗黒微笑を浮かべる彼奴に身震いした。
「ね、、ねえ蝶ノ塚さん」
「ん?」
「なんか今日ずっと俺と喋ってない??こんな俺といて、、その大丈夫?」
「、、んー別に!!だって私こうやって誰かと話すの楽しいもん」
「いやそのつまんなかったりしない、、俺といて」
「そんな事絶対にない、だって今こうやって朝霧くんの内面知れるだけで胸ぽかぽかだし」
その言葉に目を見開く、初めてそんな事を言われた気がする。頬が赤く染まった、彼女は嬉しそうに首を傾げ俺を見据える。
「私さ、人を見た目で判断する人嫌いだもん。朝霧くんには君自身に良い所沢山あるし、そういう所が私すきだよ」
「例えば?」
「、、私を助けてくれるかっこいい所とか」
「いやいや、、かっこいいなら冬時の方が」
「なんで今彼が出てくるの?」
「いやその」
俺は正直かっこいいなら、女子人気の高い冬時の方かと自然に思ってしまった。彼奴は、ああ見えて顔立ちがいいのと、無駄にスタイルのいい高身長おまけに運動、勉強全てがオール満点そりゃあ女子にモテない訳ない。
「私は、、朝霧くんの話してるのに」
「ああ、、ごめん」
「そりゃあね、冬時くんってクラス人気高いしモテるけどさあ私ああいう鼻につくタイプ苦手だし」
「えっそうなの!!」
「うん」
正直以外だった、冬時を苦手視する女子がこの世に存在するなんて。
「それになんか、どことなく何考えてるかわかんない所もあるし」
「ああーー」
「怖いんだよね彼ちょっとだけ、、」
「、、そっか」
「それに私のタイプは彼じゃないし、好きでもなんでもない」
「えええええ」
バッサリと言い切られ、驚きの目で彼女を見る。すると、ふふっと少し横目に俺と視線を合わせ、口元に手を置き微笑む。
「そういえば御礼だけどさ、今度」
「蝶ノ塚せんぱーい!!!」
直後被せるように、廊下側から彼女を呼ぶ声が聞こえそっちに視線をやる。そこには、俺よりも一回り小さい女子生徒が立っていた。
見た目は茶髪にポニテ、胸元のボタンを少し開け、膝下スレスレのミニスカで靴下はだるんと伸びて嵩張っている。明らか一軍それもバチバチのギャル味を帯びていた。
「はーい!!今行く!!!」
ごめんっと、手を合わせ彼女の元へ向かう。遠目から見れば、何やら話をしだして、ぴょんぴょんと嬉しそうにその後輩らしき女子は飛び跳ねている。
ギロリっ、一瞬その女子に睨まれたようか気がし、目を反らす。気の所為かとも思ったが、明らか見ていたよなと思い返す。
(、、俺なんかした?)
再び視線をそちらの方に戻すが、やはり間違いない。現在進行系で俺は睨まれている。おまけにギリッと奥歯を噛むような、苛立った表情だ。
「ヒッ」
怖気づき涙が出そうになる、結局俺はその視線に耐えられず逃げるように後ろのドアから教室を後にした。トイレに向かい、一番奥の個室に入るとそのまま、授業の始まるギリギリまで居座り続けた。
放課後になり、「用事があって、また御礼するから」と蝶ノ塚さんと言われ、俺は手を振って別れの挨拶を交わす。
その後俺は特に用事もないので、冬時の家に見舞いでも行く事にした。準備をしていれば、またもや視線を感じる。嫌な予感がし、扉の方に目を向ければ、案の定そこには今日俺をずっと睨んでいた女子生徒が立っていた。
「、、、」
「オイ、、待てやゴラ」
「ひっ!!」
反対側の扉から、何事もないようにそろりそろりと抜ければ案の定呼び止められ、肩をぐっと掴まれる。
何恐喝ですか、それとも陰キャで地味な俺が調子のんな的なナニカですか?
涙目でゆっくりと振り返れば、「顔貸せ」と半ば無理やり首根っこを捕まれ引きづられていった。
「お前先輩とどうゆう関係や?」
人気のない踊り場で詰められ、挙げ句もたれた壁にドンッと左手で壁ドンをされ逃げ場を阻まれる。
「えっと、、友達」
「友達、、、、」
「本当!!昨日俺が転びそうになったとこ助けて」
「、、ううぐ、、、、」
「うぐ?」
「、、ぐ羨ましい!!!」
「へあ」
「なんでお前みたいな奴が先輩のお気になんだよおおおおおお」
「ええええええええええええ」
叫ぶと同時に肩をぐらぐらと揺さぶられ、目が回りそうになる。挙げ句の果てに、不貞腐れたように背を向け腰を落とし座ってしまう。
「えっつまり、、どゆこと?先輩が好きなの??」
「、、、そうだよおお、、先輩の一番はこの私が貰うはずなのに!!」
「そういえば君の名前、、聞いてなかったけど」
「この状況でそれ聞くのか!!三河 柚子(みかわ ゆず)先輩の一個下の後輩で、お前の敵だ!!」
まさかのライバル宣言をされ、意味が分からなくなってしまう。
「敵!!俺と彼女は友達なだけだって!!」
「、、、本当か?」
「本当本当!!」
それに俺には仮でも恋人がいるので、浮気なんてもっての外だ。
「うう、、先輩いつもは私のクラスに遊びにきてくれるのに今日はお前のとこ行った」
「それはそのなんかごめん」
「いい先輩がそうしたいなら、私はその意見を尊重する」
一体全体どっちなんだ君は。
「というか後輩ってのは分かったけど、君と蝶ノ塚さんはどういう関係なの?」
「、、、聞きたいか?」
「まあ、、ちょっと気になるし」
「分かった」
話を始め段々と彼女とこの子の関係が分かってきた。中学時代同じテニス部に在籍していた二人は、後輩先輩という立場もありあまり接点がなかったらしい。
冬時は俺と付き合い始め、今までとは明らかに態度が違う。まず、どこへいくにもついてくるようになった。前は一時的に抜けても、大人しく待っていた筈なのに、トイレへ行けば俺もと連れションしてくる始末だ。
そして他の女子や男子と話すときも、遠くから冬時の視線を感じて話に集中できない。独占欲が人一倍強く、帰る時でさえも俺の手を握って離さない。それ故周りからの奇異な視線が、ちょっぴり恥ずかしい。
「、、はあああああ」
「何朝霧」
「、、、お前なあ」
放課後になり誰もいない教室で冬時が膝に俺を乗せ、後ろからぎゅうっと体重のかかった熱い抱擁を受ける。おまけに手を指の間に滑り込ませ、ぎゅっぎゅとその感触を楽しむように握られる。
「少しくらい我慢できねえの?」
「?」
「、、手握ったり抱きしめたり、スキンシップ多いとことか、、、そんで今日はやけに甘えてくるし」
「、、、、、、、だって今日楽しそうだったじゃん朝霧」
「何が?」
「、、、、、、、、、、、女子と話して笑ってた、、、」
少し拗ねたように、背後からきゅっと俺を抱きしめる力が強くなった気がした。その言葉に思い返せばと、今日の事を振り返って見る。
多分冬時が言っているのは、二時間目後の休憩時間の事だろう。後ろのロッカーから次の授業で使う教科書を取り、席に戻る途中だった。
「、、きゃっ」
「わっ」
偶然前方から来た女子が通り過ぎる瞬間に足を躓き、転びそうになる。咄嗟に俺は彼女の肩を持ち、間一髪で止めることが出来た。
「、、ごめんなさい、、、えっと朝霧君だっけ?」
「え、、うん」
同じクラスに名前を覚えてくれている人がいて、少し驚く。彼女は肩で切りそろえた黒髪を揺らし、申し訳なさそうに眉を下げた。
「その助けてくれてありがとう」
「いやいや別に、、そんな」
女子と話すのは久しぶりすぎて、俺は手をアワアワとさせてテンパってしまう。
「、、じゃあそのまたね」
「うん」
最後は少し気まずい空気の中、ぎこちなく微笑み返し席に戻った。たったそれだけの事だ。
「、、笑ってたとしても、、、、愛想笑いだって」
「、、、、、でも朝霧に惚れる奴がいたら、、それはそれでヤダ」
面倒くさいと感じつつ、俺は後ろに手を回す。そして、首に顔を埋める冬時の頭を優しく撫でてやった。
「大丈夫だって、、俺は此処にいるし、ナニカあっても、お前の傍から離れるなんて事しねえから」
「絶対に??」
「、、、、それはまあこれから先の関係に、進展があったらな」
「じゃあ俺等、、正式に恋人」
「まだなってねえよ、色々とステップ踏むことあるだろ」
「ステップ??」
「とにかく今のお前は、距離が近すぎる。ちょっとづつスキンシップ増やしてくのが普通って事」
「、、分かった」
するとパッと手を挙げ、さっきまでの密着はどこへやらすぐに解放してくれた。
「ありがと、、、」
「うん、これからちょっとづつ朝霧を俺の沼に落としてく作戦にしたから」
にこやかな笑みだが、声色は低く本気なのが伺えた。俺はブルブルと肩を震わせ、少し冬時から距離を取る。
獲物を追うような光る目が、俺を写して離さなかった。
次の日の早朝メッセージが届き、見れば【風邪引いた】と一言。
少し寂しい気持ちを抑え、俺は学校へ向かう。教室に入ると、いつもいる冬時の席だけが、ぽっかりと空いていた。
「こうなると、、ちょっと切ねえな」
手首につけた、冬時のくれたブレスレットを見つめ、俺は自分の席に向かう。直後、肩を不意に叩かれ俺は振り向く。
「あの、、朝霧くんおはよう!!」
「お、、はよう」
昨日助けた女子が立っており、しどろもどろに視線を動かす。テンパっているのか、「えっと、、あの」と指を回し、繋ぎ繋ぎで口を開く。
「そのさ、、昨日は助けてくれてありがと!!それでえっと御礼がしたくて」
「嗚呼、、ううん」
「自己紹介してなかったよね、私蝶ノ塚 菜乃葉!!」
「、、蝶ノ塚さん」
「そう!!改めてこれからよろしく!!!」
えへへと笑い歯を見せる彼女に、不意に胸がキュッとなる。なんだこれと、思いながら俺は彼女と視線を合わせた。
「朝霧くんって、、数学得意なの!!」
「う、、うん文系より理系だから」
「すごい!!私数字に弱いから、、そういうのカッコよくて憧れちゃう」
なんだこれは、気づけば俺は休憩時間になれば必ず、彼女に話しかけられ隣の席をキープされた。女子と話すなんて、五億年越しに近く緊張で汗が止まらない。後、冬時にバレたらどうなるか、頭の中で暗黒微笑を浮かべる彼奴に身震いした。
「ね、、ねえ蝶ノ塚さん」
「ん?」
「なんか今日ずっと俺と喋ってない??こんな俺といて、、その大丈夫?」
「、、んー別に!!だって私こうやって誰かと話すの楽しいもん」
「いやそのつまんなかったりしない、、俺といて」
「そんな事絶対にない、だって今こうやって朝霧くんの内面知れるだけで胸ぽかぽかだし」
その言葉に目を見開く、初めてそんな事を言われた気がする。頬が赤く染まった、彼女は嬉しそうに首を傾げ俺を見据える。
「私さ、人を見た目で判断する人嫌いだもん。朝霧くんには君自身に良い所沢山あるし、そういう所が私すきだよ」
「例えば?」
「、、私を助けてくれるかっこいい所とか」
「いやいや、、かっこいいなら冬時の方が」
「なんで今彼が出てくるの?」
「いやその」
俺は正直かっこいいなら、女子人気の高い冬時の方かと自然に思ってしまった。彼奴は、ああ見えて顔立ちがいいのと、無駄にスタイルのいい高身長おまけに運動、勉強全てがオール満点そりゃあ女子にモテない訳ない。
「私は、、朝霧くんの話してるのに」
「ああ、、ごめん」
「そりゃあね、冬時くんってクラス人気高いしモテるけどさあ私ああいう鼻につくタイプ苦手だし」
「えっそうなの!!」
「うん」
正直以外だった、冬時を苦手視する女子がこの世に存在するなんて。
「それになんか、どことなく何考えてるかわかんない所もあるし」
「ああーー」
「怖いんだよね彼ちょっとだけ、、」
「、、そっか」
「それに私のタイプは彼じゃないし、好きでもなんでもない」
「えええええ」
バッサリと言い切られ、驚きの目で彼女を見る。すると、ふふっと少し横目に俺と視線を合わせ、口元に手を置き微笑む。
「そういえば御礼だけどさ、今度」
「蝶ノ塚せんぱーい!!!」
直後被せるように、廊下側から彼女を呼ぶ声が聞こえそっちに視線をやる。そこには、俺よりも一回り小さい女子生徒が立っていた。
見た目は茶髪にポニテ、胸元のボタンを少し開け、膝下スレスレのミニスカで靴下はだるんと伸びて嵩張っている。明らか一軍それもバチバチのギャル味を帯びていた。
「はーい!!今行く!!!」
ごめんっと、手を合わせ彼女の元へ向かう。遠目から見れば、何やら話をしだして、ぴょんぴょんと嬉しそうにその後輩らしき女子は飛び跳ねている。
ギロリっ、一瞬その女子に睨まれたようか気がし、目を反らす。気の所為かとも思ったが、明らか見ていたよなと思い返す。
(、、俺なんかした?)
再び視線をそちらの方に戻すが、やはり間違いない。現在進行系で俺は睨まれている。おまけにギリッと奥歯を噛むような、苛立った表情だ。
「ヒッ」
怖気づき涙が出そうになる、結局俺はその視線に耐えられず逃げるように後ろのドアから教室を後にした。トイレに向かい、一番奥の個室に入るとそのまま、授業の始まるギリギリまで居座り続けた。
放課後になり、「用事があって、また御礼するから」と蝶ノ塚さんと言われ、俺は手を振って別れの挨拶を交わす。
その後俺は特に用事もないので、冬時の家に見舞いでも行く事にした。準備をしていれば、またもや視線を感じる。嫌な予感がし、扉の方に目を向ければ、案の定そこには今日俺をずっと睨んでいた女子生徒が立っていた。
「、、、」
「オイ、、待てやゴラ」
「ひっ!!」
反対側の扉から、何事もないようにそろりそろりと抜ければ案の定呼び止められ、肩をぐっと掴まれる。
何恐喝ですか、それとも陰キャで地味な俺が調子のんな的なナニカですか?
涙目でゆっくりと振り返れば、「顔貸せ」と半ば無理やり首根っこを捕まれ引きづられていった。
「お前先輩とどうゆう関係や?」
人気のない踊り場で詰められ、挙げ句もたれた壁にドンッと左手で壁ドンをされ逃げ場を阻まれる。
「えっと、、友達」
「友達、、、、」
「本当!!昨日俺が転びそうになったとこ助けて」
「、、ううぐ、、、、」
「うぐ?」
「、、ぐ羨ましい!!!」
「へあ」
「なんでお前みたいな奴が先輩のお気になんだよおおおおおお」
「ええええええええええええ」
叫ぶと同時に肩をぐらぐらと揺さぶられ、目が回りそうになる。挙げ句の果てに、不貞腐れたように背を向け腰を落とし座ってしまう。
「えっつまり、、どゆこと?先輩が好きなの??」
「、、、そうだよおお、、先輩の一番はこの私が貰うはずなのに!!」
「そういえば君の名前、、聞いてなかったけど」
「この状況でそれ聞くのか!!三河 柚子(みかわ ゆず)先輩の一個下の後輩で、お前の敵だ!!」
まさかのライバル宣言をされ、意味が分からなくなってしまう。
「敵!!俺と彼女は友達なだけだって!!」
「、、、本当か?」
「本当本当!!」
それに俺には仮でも恋人がいるので、浮気なんてもっての外だ。
「うう、、先輩いつもは私のクラスに遊びにきてくれるのに今日はお前のとこ行った」
「それはそのなんかごめん」
「いい先輩がそうしたいなら、私はその意見を尊重する」
一体全体どっちなんだ君は。
「というか後輩ってのは分かったけど、君と蝶ノ塚さんはどういう関係なの?」
「、、、聞きたいか?」
「まあ、、ちょっと気になるし」
「分かった」
話を始め段々と彼女とこの子の関係が分かってきた。中学時代同じテニス部に在籍していた二人は、後輩先輩という立場もありあまり接点がなかったらしい。
