「王は、お前を『不要』と言い捨てた。重臣たちはお前を賭けの対象にしている。お前がどれだけ努力し耐えても、誰も感謝などしない」
英蓮は唇を噛んだ。事実だから、反論できない。
「それでも……私は」
「知っている。だから、わたしはここにいる。わたしの役目は、お前を死なせないことだ。それだけだ。甘えるな。頼るな。俺はお前の味方ではない」
鏡に映るのは、立派な世子。だが、その目は疲れ切っていた。
霧津は一歩下がり、影のように従う。表情は変わらず冷徹だ。政務の間、重臣たちの視線は相変わらず刺々しい。
「世子殿下、今日もお顔色が優れませんな。やはり体が弱いのでしょう」
一人の老臣が、わざとらしく溜息をつく。周囲がくすくすと笑う。
英蓮は拳を握りしめた。耐えるしかない。
その時、霧津が静かに進み出た。お茶を差し出す動作で、重臣の前に立った。



