偽装世子は冷遇されていたのになぜか影に溺愛されています。




「……最後の選択だ。
英蓮を翁女として認め、あなたは王位を譲りなさい。
さもなくば――すべてを失う」


 王は震える手で玉座の肘掛けを握った。
そして、ゆっくりと――膝をついた。


 それから数日後、王は急病を理由に譲位を宣言した。


 新たな王は霧津と言い、公表されなかった太上王の血を受け継ぐ李となった李霧津。
 そして中殿として、翁女である李英蓮が位置に就いた。

 宮廷の空気は風が吹き、一変した。

 かつて英蓮を嘲笑った重臣たちは、当主の座を嫡子に譲り隠居をした者もいたがそれを霧津は逃さず恐れと後悔に苛まれながらほとんど忠誠を誓うことになった。