「ここにいる霧津は正当な後継者だ。私と、亡命してきた異国の姫君との間に生まれた。まだ、友好国でなかったこともあり情勢を見て、雀家に預けた。だが、友好国となり状況が変わったのだよ」
「えっ、そんな話初めて聞きますぞ!」
重鎮達は信じられないと狼狽えている。それは何も知らなかった王もその一人だ。
「太上王殿。私は初めて聞きました。大妃殿からも聞いたことありません」
「言っていないからな。これは私と大妃しか知らないことだ。それに、霧津が生まれる前は我が国と異国とが仲が悪かった。生まれた後、異国は滅亡してしまったために公表出来なかった。それから数年後に復興し建国された。友好国にはなったが、今まで公表しなかったのは影として動いてもらいやすかったからな」
「そんな……だが、なぜ、こんな」
「陛下、いや兄上。私は太上王に全てを叩き込まれ、何があってもいいように。そして、成人した際に影となりました。太上王に頼まれ、何度か任務をしました。そして二年前に太上王に呼ばれました。それが今回の任務だった……その時、太上王は『孫娘を守り救ってほしい』と」
霧津は太上王を見ると、口元が緩む。
「その孫娘こそ、翁女である英蓮だ。兄上により、世子にさせられた英蓮だ。そして、乳母姉の荷允が世子嬪になることが決まり武官として宮廷に入ったんです。はじめは任務だからと思っておりました。ですが、今は違う。 英蓮さまは、 私がこの世で唯一守りたいと思った存在だ」
霧津は英蓮を抱き上げると、玉座の前に進んだ。



