偽装世子は冷遇されていたのになぜか影に溺愛されています。





 霧津が英蓮の頬に触れた。


「そのような顔を外でしたら、周りに分かってしまいますね」

「……っ、すまない」


 霧津は英蓮を抱きしめるとの結われている髪を解いた。長く美しい黒髪が肩に降り、寝具の上に倒れ込む影が二人の姿を一つに重なった。


 内衣(ネイ)の紐を全てほどけば、英蓮の白い肌が露わになる。霧津の瞳が、英蓮の体をじっと見つめた。

 冷たいはずの視線が、初めて、熱を帯びる。


「……細いな」


 呟きは、低く抑えられている。
 

「こんな体で、どれだけ耐えてきた」


 英蓮は目を逸らすと言葉を発した。


「耐えなければ……ならなかったんだ。じゃないと、母も犠牲にならなくてはいけなくなる」


 霧津の指が、英蓮の鎖骨をなぞる。冷たいはずの指先が、熱い。