偽装世子は冷遇されていたのになぜか影に溺愛されています。




「……女である私が、どうやって」

「胸を縛れ。声を低く抑え、歩き方も変えろ。バレればお前も母も斬首だ。……お前など、最初から不要だったのだからな」


 王はそれだけ言うと、背を向けた。選択肢などなかった。

 英蓮は柔らかなチマを脱ぎ捨て、重い袞龍袍に身を包んだ。胸をきつく晒しで締め上げ、息苦しさに耐えながら、鏡に映るのは中性的な顔を持つ男・顯を演じ始めた。それと同時に東宮へ移り始める。

だが、事情を知る者はすぐに嘲笑が広がり知らないものは噂を広めた。


「世子様は線が細すぎるんだよなぁ、女臭い」

「所詮、不要な翁主の成り上がりだ」

「身分の低い、淑媛の子だ。いつバレて斬首になるか、見物だな」


 重臣たちは陰で賭けをし、英蓮の異母兄弟である(ヘン)大君媽媽や(ウク)君媽媽、 譲寧(ヤンニョン)君、 惠姫(ヘギ)公主媽媽たちは露骨に軽蔑の視線を投げかけた。
 王ですら、英蓮を「役に立たねば処分する」と冷たく突き放しているのだ。

 今の現状が変わるはずもない。