先生、それって飼育委員じゃなきゃダメなんですか?

数多と別れた後、家に着くと丁度晩御飯の支度が出来ていた。
「あっ、悠馬おかえり〜。良い所で帰ってきたじゃない。さっさと晩御飯食べちゃって」
「うん、お腹すいた」
僕は晩御飯を平らげると部屋に戻って椅子に腰掛けた。
横に置いた鞄の中からさっき数多からもらったキャラメルの箱を取り出した。
箱を耳元に近づけて数回振ってみる。
カラカラと乾いた音がした。
この音の出所は間違いなくオマケだと思う。
「どーしよう…これ開ける?
でも、数多は晩御飯食べたら開けるって言ってたよなぁ」
僕も同じ様なタイミングで開けた方がいいのかな?
でも開けたら数多から貰ったままのキャラメルの箱では無くなってしまう気がする。
何を悩んでいるんだろう僕は?
「数多に会った時に何が出たか聞いてから開けようかな」
キャラメルの箱を棚に飾って眺めてみる。
ニヤつく自分の顔が、隣に置いてある鏡に写っているのに気づいて心底キモかった。


その頃数多も夕飯を食べ終え、自分の部屋でくつろいでいた。

「日向、ちょっとひいたかなぁ。高校生がキャラメルって…小学生かよ〜だよな。
でもあまりの懐かしさに思わず買っちゃったんだよな。
俺の好きな物を日向と共有したかったし」
数多はキャラメルの箱を手にとり、ためらわずに開封テーブルを引っ張った。
オマケの箱を軽く振ってみる。
「カサカサカサカサ」
「うーん、所詮オマケだからなぁ。子供の時は宝物が入ってると思ってたけど」
箱の蓋を開いてみる。
「ん…何?コレ?あっキーホルダーかな?」
中身を机の上に出してみた。
オレンジの様な赤い様な尻尾がひらひらした金魚のキーホルダーだった。
「へえー、金魚かぁ。結構可愛いなぁ。これなら日向の方が良かったのかも。日向は金魚が好きだからなぁ」

「あっ、もう一つ買ってたんだ!3個しか無かったから
思わず全部買ったけど同じの出たりして」
数多はもう一つ残っている方の開封テープをクルクルっと外した。
耳元でもう一度振ってみる。
同じカサカサと言う音がした。
「うわ、イヤな予感…でも同じの出たら日向にあげればいいか。日向も同じのが出てたら笑えるけど」
そう一人事を言いながらオマケの蓋を開けた。
「えっ?マジで…またキーホルダー」
恐る恐る机に出してみる。
それはなんとも言えない顔をした可愛いようなブサイクな様なメダカのキーホルダーだった。
人差し指に二つのキーホルダーをかけて軽く振ってみる。
キーホルダーはゆらゆら揺れてまるで泳いでいるみたいに見えた。
「日向って鈍感そうだからなぁ。そろそろ本気出していかないとダメかなぁ」
数多は左の口角を少しあげてクスッと笑った。