先生、それって飼育委員じゃなきゃダメなんですか?

僕と数多は学校帰りに、お菓子問屋でお菓子を眺めていた。
こんなに広いお菓子問屋がすぐ近くにあったなんて今迄知らなかったかも。
どこに何があるのか分からず無駄にウロウロしてしまった。
目当ての物を見つけるのに20分、他に良さそうな物がないかを探すのに10分もかかってしまった。
店員さんに聞けばいいんだろうけど思春期の男子高校生はなかなか他人に話し掛けづらい。
物が沢山ありすぎるのもよく無い気がしてきた。
キョロキョロし過ぎてなんだか酔った様な気分になってくる。
それでもなんとか大袋のアメ玉を手に取った。

「まず、この大袋のアメ玉は買いでしょ。
このミニドーナツの大袋もあるよ。これどうかなぁ?
こっちのグミのほうがいいかなぁ?」
数多に聞いてみる。
「あー、それいいですね。ガムとかも良いかと思ったんですが、ポイ捨てされても困りますからね。そっちでいきますか」
「えっ。いいの?」
「勿論です。」
「こっちのミニドーナツにする?それともグミ?」
「両方買っても予算内ですから2種類とも買いましょう」
「おーっ、太っ腹〜」
決まる時は案外あっさり決まるもんなんだな。
「日向はこう言う所に来るのは初めてですか?
物が溢れ過ぎていると目が疲れて気分が悪くなるタイプの人がいるけど、そっちかなっと思って」
「あっ、どっちかってと言うとそっちのタイプかも…」
もしかして僕の事を気にしてくれてたとか?

「ではレジに並びましょう」
数多の言葉に促されて会計のレジに並んだ。
「日向、悪いけどこれで先に会計をしておいてもらえませんか?」
数多にお金の入った封筒を手渡されたが、数多はそのまま何処かに消えてしまった。
トイレにでも行ったのだろう。
会計を済ませた僕は、買った物をレジ袋に詰め込んだ。
全校生徒のアメ玉➕1年生用にグミとミニドーナツ、ついでに透明の小袋とラッピングリボンとか言うやつ?も購入したので意外と量がある。
しかも思った以上にかさばる。
大きな特大レジ袋が全部で2つになった。


「重いですか?何かヨタヨタしてますよ。ペンギンみたい」
流れでレジ袋を2つとも持って歩いていた僕を数多が笑う。
「かさばるからだよ。歩きにくいだけで重くなんかないよ。」
僕は強がって答えた。
「ほら、貸して」
数多が僕の左手から明らかに詰め込み過ぎた方の荷物を取って、持ってくれた。
さり気ない優しさ、とはこういうのを言うんだろうな。
同じ高校生とは思えない…。
暫く2人で歩いてると
「これどうぞ。今日疲れたでしょう」
おまけ付きのキャラメルを数多が僕に差し出した。
「えっ、コレ僕にくれるの?さっきの問屋さんで買ったの?いつの間に?」
質問が溢れてしまう。
そう言えば僕に封筒を渡して消えていった…あの時か??
「はい、そうです。さっき買いました。
僕は小さい頃これが大好きで、見つけるといつも親に買ってくれってせがんでたんです。
オマケに何が入っているのか、蓋を開けるのが楽しみで仕方なかったんです。
だからさっき見つけた時に思わず僕と日向の分をこっそり買ってしまったんです。大した物ではないんですけど」
「ありがとう」
そういうと僕は差し出されたキャラメルの箱を受け取った。
「この年になってもオマケに何が入っているのかな?と考えるとワクワクしますね。
今日、夕飯を食べたら早速開けてみようと思います」
数多がクスッと笑った。

「たとえ一つ20円のチョコレートでも好きな人が自分の為にこっそり買ってくれてプレゼントしてくれたら〜それはプライスレス!!」
力説していた姉の事を思い出した。
なんだか分かる気がする。
こっそり買ったと数多が言うんだから僕は何も聞かないでおこうと思う。

僕はこの小さな箱が何故か愛しくて仕方がなかった。