僕と数多は学校帰りに、お菓子問屋でお菓子を眺めていた。
こんなに広いお菓子問屋がすぐ近くにあったなんて今迄知らなかったかも。
目当ての物を見つけるのに20分もかかってしまった。
店員さんに聞けばいいんだろうけど思春期の男子高校生はなかなか他人に話し掛けづらい。
「まず、この大袋のアメ玉は買いでしょ。
このミニドーナツの大袋もあるよ。これどうかなぁ?
こっちのグミのほうがいいかな」
数多に聞いてみる。
「あー、それいいですね。ガムとかも良いかと思ったんですが、ポイ捨てされても困りますからね。そっちでいきますか」
「えっ。いいの?」
「勿論です。」
「こっちのミニドーナツにする?それともグミ?」
「両方買っても予算内ですから2種類とも買いましょう」
「おーっ、太っ腹〜」
「じゃあ、そろそろレジに並びましょうか」
数多の言葉に促されて会計のレジに並んだ。
「日向、悪いけどこれで先に会計をしておいてもらえませんか?」
数多はそのまま何処かに消えてしまった。
トイレにでも行ったのだろう。
会計を済ませた僕は、買った物をレジ袋に詰め込んだ。
大きな特大レジ袋が全部で2つになった。
「重いですか?何かヨタヨタしてますよ。ペンギンみたい」
「かさばるからだよ。歩きにくいだけで重くなんかないよ。」
「ほら、貸して」
数多は僕の左手からパンパンにふくらんだ荷物を奪い取った。
「あっ、そうだ・・これ良かったらどうぞ。
今日は疲れたでしょう」
おまけ付きのキャラメルを僕に差し出した。
「えっ、僕にくれるの?いつの間に買ったの?」
そう言えば僕に封筒を渡して消えていった…あの時か??
「はい、そうです。さっき買いました。
僕は小さい頃これが大好きで、見つけるといつも買ってくれって親にせがんでたんです。
オマケに何が入っているのか、蓋を開けるのが楽しみで仕方なかったんですよね。
だからさっき見つけた時に思わず僕と日向の分をこっそり買ってしまったんです。大した物ではないんですけど」
「ありがとう」
そういうと僕は差し出されたキャラメルの箱を受け取った。
「この年になってもオマケに何が入っているのかな?と考えるとワクワクしますね。
今日、夕飯を食べたら早速開けてみようと思います」
『たとえ一つ20円のチョコレートでも自分の為にプレゼントしてくれたら嬉しいよね。値段じゃないんだって!』
力説していた姉の事を思い出した。
なんだか分かる気がする。
こっそり買ったと数多が言うんだから僕は何も聞かないでおこうと思う。
僕はこの小さな箱が何故か愛しくて仕方がなかった。


