愛され婚活するならお天気雪の日、九尾の妖狐をお相手に。

 低い声で問われて私はビクッとしながら答えた。千早さんが私に怒っている訳ではないとわかりつつ、怖かったからだ。

「……行こう。縁談を進めるなら、早い方が良い」

 彼は春日さんを簡単に突き飛ばし、ガンッと音がした。

「おい! ……千早は天狐だぞ」

「良いですよ? 狐は可愛いですもん」

 負け惜しみのような春日さんの声に、私はにっこり微笑んで頷いた。

 私の祖父は思い通りに仕事がいかないと暴力的なところがあって、祖母はいつも大変そうだった。母は結婚を許して貰えずに、駆け落ちをした。

 私が生まれたから、年に一回ほどは会っていたけれど、祖父は私にとってとても『恐ろしい存在』だったのだ。

 だから、幼いながらに私は考えたのだ。結婚するならば、なによりも、私を大事にしてくれる人が良い。

 ……千早さんなら、そうしてくれるだろう。これは、まだ私の勘でしかないけれど。

「……行こう。挨拶はして来た。もし、縁談を進めるのなら、仲人が要る」

「仲人が必要なんですね……! 私はその辺は、お任せします!」

「狐に嫁入りするんだぞ? ……本当に、わかっているのか?」