愛され婚活するならお天気雪の日、九尾の妖狐をお相手に。

「いや……それは良い。おぬし。妖狐と結婚したいと思うくらいなのだ。もし良かったら、俺がもっと良い嫁ぎ先を教えてやろう……もっと楽しいところだ」

 にやにやと下卑た笑いを浮かべ、私は顔が良くても性格が悪いとすべてがマイナス数値になってしまうのだなと冷静に思った。

「いえ。千早さんと良い感じに縁談は進んでいるので……それでは、失礼します」

「いやいやいや! 妖狐よりも、鬼や天狗の方が……まだ」

 私にとっては、その三種類の妖怪の違いがわからないので何の意味もない。

 立ち去ろうとした時、ろくろっ首のお兄さんは私の肩に手を掛けたまま、ひいっと喉を引き絞るような悲鳴をあげた。

「おい。春日。人の嫁を掠め取ろうとは、殺されても文句は言えんぞ」

「ぐええええ。止めてくれ! 本当に、折れる!」

 驚いて振り向くと、千早さんが春日と呼ばれたお兄さんの首を、片手でぎゅうっと掴んでいた。顔がみるみる青くなっているので、本当に折れそうだ。

 今は、耳と尻尾がない……落ち着いたら収納されてしまった。なんだか、残念。

「静音。どうして、部屋を出て来た?」

「お手洗い……行きたくて……」