愛され婚活するならお天気雪の日、九尾の妖狐をお相手に。

 耳と尻尾が完全に出てしまっている千早さんは、私との縁談について、正確に把握出来ているようだ。

 私はにっこりと微笑んで頷いた。

「はい。先ほどの条件など折り合いましたら、結婚に向けての話を、前向きに進めていければと思います。その……私たち」


◇◆◇


 私は『とりあえず外で頭を冷やしてくる……』と言って、襖を開けて出て行った千早さんを、部屋の中で待って居た。

 とは言え、遅い……遅すぎる。

 いかにもな日本家屋風の立派な部屋には、壁掛け時計などはないけれど、おそらくは一時間二時間経っている。

 そして、困ったことにお手洗いに行きたくなってしまった。仕方ない。さきほどまで、それだけ寒い中に居たのだし。

 これだけ大きな家なのだから、何個もお手洗いがあってもおかしくはない。

 それに普通なら彼の住んで居る部屋がどんな様子かを確認するのだけど、千早さんの場合はおそらくはお手伝いさんが複数居ないと保てないくらいに綺麗だ。凄い……これが、上流階級の生活。

 廊下を歩く私は、鼻歌を歌いたいくらいに上機嫌だった。