イケメン幽霊に溺愛されてます

「それで、見えるってマジなんですか?」
昼休み、人気のない屋上に三人で集まり、早速その話題を振った。
「……うん、まあ」
「俺のことも?」
 陵が自分を指差しながら言えば、隼人は顔を青くしながら頷く。
「み、見えるよ。だけどその、俺はそういうの苦手だから」
 それを聞いた陵が悪そうな顔をする。何か企んでいそうだ。
 俺が睨むと、陵は肩を竦めた。
「それで、相談というのは?」
 気を取り直して尋ねると、隼人はきょろきょろと辺りを見回した。
「どうしたんですか」
「いや、今はいなそうだなと思ってね」
「何がです?」
「実は……、数日前から香椎につけ回されるようになったんだ」
「香椎先輩って……」
 隼人と唯が相合傘をしていた光景は記憶に新しい。
 とても仲睦まじそうに見えたけれど、思い違いだったのだろうか。
「俺、昨日見ましたよ。仲良さそうに帰っているように見えましたけど」
「違うんだ」
 叫ぶように否定されて、俺はびくりと肩を震わせる。
「あ、ごめん。でも、そうじゃないんだ。そもそも香椎は、数日前に持病が悪化して入院している」
「え、そうなんですか?じゃああの時のは……」
「分からない。まだ亡くなったって連絡はないけど……」
 ――麗音、生霊って言うんだよ。
 祖母の言葉が蘇る。
 ――生霊?
 ――生きていてもね、強い感情を人に向けると、その念が自分の分身となって現れるんだ。
 ――怖いね。
 ――いいや、可哀想なだけだよ。本当にね、可哀想なだけなんだ。
 祖母の語りかける声が耳の奥で反響する。
「麗音君」
 陵の声に顔を上げると、隼人の背後に唯がいるのが見えた。
 一見すると、恨めしそうにこちらを見ているように見えるけれど、どこか寂し気にも見えた。
「え、今いるの?ひっ」
 後ろを見た隼人が驚いて飛びずさる。
 陵が背後で笑い声を立てるのを耳にしながら、俺はゆっくり口を開いた。
「久住先輩、香椎先輩の入院している病院にお見舞いに行きましょう」