イケメン幽霊に溺愛されてます

「佐竹君」
 昼休み。隼人に手招きされ、歩いていこうとすると、手首を掴まれた。
「行くな」
 切実な陵の声を耳にして、迷いが生じたけれど、振り切った。
「麗音君!」
 俺はもともと先輩が好きで、ずっとずっと好きで、陵のことは何とも思っていない。
 自分に言い聞かせながら隼人の元へと近寄った。
「何ですか?久住先輩」
 背後に陵の気配を感じながら問いかける。
「ああ、いや。その、ここじゃなんだから、ちょっとこっちに」
「俺」
 陵の手が肩に置かれる。
 何も言われなくても、行くなと泣きそうに叫ぶ陵の顔が浮かんだ。
 本当は、迷う気持ちがあった。
 陵のことは、もしかしなくても、きっと。
 でも、俺と陵の間には、超えられない壁がある。隼人との間にあるものとは比べ物にならないくらい、高くそびえ立つ壁だ。
 俺は一つ息を吐き出して、続きを口にした。
「俺も、先輩に話があります。行きましょう」