イケメン幽霊に溺愛されてます

 あの見舞いの後、劇的に変化したことが二つある。
 前者については、唯が医者も驚くほどみるみるうちに回復していき、1カ月程もすれば学校に行けるだろうと言われたことで、後者についてはというと。
「あ、佐竹君!」
「げっ」
「あ、久住先輩」
 俺と陵が屋上で過ごしていると、隼人が現れて笑顔で駆け寄ってくる。
「また来たのか……」
 うんざりする陵をよそに、隼人は俺の隣に来て弁当箱を取り出すと、普通に食べ始めた。
「先輩、香椎先輩のお見舞いには行ったんですか?」
「ううん、目を覚ますようになってからはあまり行かなくなったかな。勘違いさせたら悪いでしょ」
「勘違い……」
 俺が呟くと、隼人は何か意味深な目で俺を見る。
 その間に割って入るように、陵が立った。
「久住、言っておくけどな。俺が先に手を出したんだからな」
「え、ちょっとりょ……」
 牽制し始める陵を止めようとすれば、隼人は笑う。
「ああ、あんな白昼堂々と見せびらかされたらね」
「ま、まさか」
 その可能性に思い当るのが遅すぎた。
 言われてみれば、隼人は霊感があるのだ。
 あのキスの現場を目撃されていてもおかしくない。
 慌てる俺をよそに、隼人は言い放った。
「でも、たぶんだけど、佐竹君は前から俺のこと好きだったんじゃない?もしくは憧れていたとか」
「えっ、まさかきづい……」
「分かりやすいからな」
 うんうんと頷く陵。
 不敵に笑う隼人。
 俺は二人を交互に見ながら、頭を抱えた。
「でも、えっと、俺は失恋して……」
「失恋?」
「あ、いや、それも勘違いで。あれ?」
 一人混乱している俺を置いて、陵がさらに混乱を招くことを言う。
「麗音君は俺のだから。手出しはさせない」
「霊体で言われてもね?」
 なぜか火花が散り始めて、俺はますます訳が分からなくなった。
「俺、え?どうすれば?」
 救いを求めて陵を見れば、片手を取り、手の甲に口付けられる。
「俺を選べばいい」
 隼人を見れば。
「俺でしょ?」
 反対の手を握られる。
 俺は突然訪れた両手に花?状態に、発狂したくなった。