夏祭り会場に着いた時、既に夕方で夕焼け空に包まれて、明かりのついた提灯と無数の屋台と楽しんでる沢山の人達の姿を見て俺は目を輝かせる。
だから隣に立ってる春夜先輩の方見て声を上げながら話しかけてしまった。
「わぁ、、先輩、屋台が沢山ありますよ!」
「そりゃあ、夏祭りなんだから沢山あるのは決まってるだろ」
「ぁ、そうでした」
春夜先輩の言葉に一旦、冷静になった。
だけど会場の熱気?って言うのかな、楽しんでいる表情を見ると更に楽しみになって、ドキドキしちゃう。
何だろうな、子供心がくすぐられるって言うかさ。
多分、久しぶりの夏祭りだからだと思うけど。あと、す、好きな人と来るってのも含まれていると思う。
「俺、夏祭り誰かと来るの久しぶりなんですよね。小学1年生を最後に、家族とか兄弟と来る事なかったから」
「マジ!?それなら、今日はとことん楽しも。つか、俺が奢るわ」
「え、いや、それは申し訳ないって言うか」
「後輩に奢られる方が嫌だし」
まさかの奢る発言に俺は思わず断っちゃう。思わずじゃなくても断っちゃうけど。好きな相手に奢られるのは嬉しいけど申し訳なさが勝っちゃうんだもん!!
って思っていると、春夜先輩は「それなら、真咲〜」と言い、少し離れた場所で立って居た東野先輩を呼んだ。東野先輩はすぐに駆け寄って来てくれた。
少し、いやだいぶ嫌な予感がして来たぞ。
「ん?何?春夜」
「奢って」
「え〜、、、、しょうがないなぁ」
「雪羽の分もな」
「ハァ?、もう、分かったよ」
「え!?(頭をブンブン横に振る)いやいやいやいや、それは申し訳ないので!!」
春夜先輩の無茶振りも承諾して、俺にも奢る事を承諾しちゃった東野先輩の方を見て俺は勢い良く断る。
申し訳なさが倍増しちゃう!殆ど今日初めて喋って初対面みたいな感じなのに奢られるなんて、良心の呵責に耐えられないよ!!
必死に断る姿を周りの人達にチラチラ見られている気がするのは多分気のせいじゃないだろうな、って思うがこれは人としてやらないとだと思う。
だけど、東野先輩は俺の懇願を払いのけてしまう。
「良いっての。親から小遣い沢山貰ってるし、奢るの慣れてるし、後輩なんだから先輩に甘える事。まぁ、春夜は俺に甘え過ぎだがな」
「だそうだ。(雪羽の肩に顔を置く)雪羽は俺に甘えるのは嫌か?」
「!、、、、嫌じゃ、、ないです(顔を赤くして背ける)」
「よし決まり」
と、言う事で無事?俺は奢られる事が決まった。
神社の中を歩きながら屋台を見たりするし、春夜先輩と東野先輩からは、「これ買うか?」とか「これ買ってやる」と売り付けられてる感覚になっちゃう。
拒否権と言うものが俺にはないのか!って思っちゃうし。
悲しいなぁ、だけどだーれも2人の決めた事を嫌がらない。強いて言うなら背後からの北沢先輩の強い視線が怖いかなぁ。
話しかける事はせず、ずっと南先輩か西宮先輩のどっちかと会話してて、常にちゃんとしてなきゃって思っちゃう。
嫌ってるなら「嫌い」って言われた方がマシだけど言われたら悲しいからそれはそれで嫌な俺はめんどくさい人間だと思うよね、うん。
そして、春夜先輩に押し付けられて買って貰った唐揚げを食べる。
「パクっ、、、、ん、美味しい。レモンが効いてる、、、、今度作ってみよう」
「なら、俺も食べたい。材料用意するし」
「そうですね。唐揚げって色んな味付けが合うから美味しい。前に春夜先輩がお弁当に入れたキムチ味の唐揚げも美味しかったですよね」
「ぁ、分かる。あのキムチ唐揚げ美味しかったよな。でも俺的には雪羽が作ってくれた塩唐揚げも好きだけど」
気付いたから唐揚げトークになっちゃった俺と先輩。
各々買った屋台飯を食べながら、休める場所で食べながらの会話だから少し周りの雑音が聞こえるけど、ちょっと新鮮で良い。
だけど俺と春夜先輩の会話を聞いて居たのか、北沢先輩が威圧感を出しながらジリジリと近づき話しかけて来た。
思わずビクッと体を震わせて、春夜先輩との距離を近くなってしまう。
「なぁ、今お弁当って言ったか?」
「!、あぁ、それがどうしたよ、静」
「まさか昼休みソイツと食べてるのか?それも弁当交換してる?」
「「!!(動揺する)」」
「(話を聞きつけてヒョコッと顔を出す)マジ!?はーちゃんもゆきちゃんそんな関係だったの!!?!?」
「アマ君、声が大きいよ。それにそんな関係って悪い感じに聞こえちゃう。ビックリしたのは分かるけど」
「そうだぞ、天音。悠斗の言う通り。ごめんな、静は追い詰め?問い詰めようとしてる訳じゃないから」
「ぁ、ゆーちゃん、まーちゃん。そうだよな、ごめんな、ゆきちゃん」
結果的に俺と春夜先輩の関係が四天王先輩達にバレる結果となった。
一瞬俺は遠い目をした。そして春夜先輩は死んだ魚の目をしてた。俺は人生で初めて言葉にして「嘘ん」って言った。
だって初めてあんな春夜先輩の表情を見たし、どんだけバレるのが嫌だったんだろう、って思った。
まぁ俺もバレるのは嫌だったけど、遅かれ早かれこの人達にはバレるだろうな、って思った。だから、俺は寧ろバレちゃったし無理に隠す事は辞めた。
正々堂々としようと真剣な表情で答えた。
「はい、そうですよ」
「雪羽」
「バレてるんですし誤魔化す事ないですよ。、、俺と春夜先輩はお弁当交換してます」
「、、、、(目の向け方が優しくなる)ふーん」
「何で、分かったんですか?」
「そりゃあ、昼前あんなに大量に買ってた菓子パン辞めて、突然お弁当持って来てたから大抵の想像は出来る」
「、、、、先輩(いつからあんな食生活を、と言う疑問の視線を春夜に向ける)」
「、、、、(顔を背ける)」
多分この人1年生の頃からあの食生活やってるな。って気付いた。せめてスーパーとかコンビニのお弁当を買え、って思う。
だが、それを止めないこの人達も同罪だなって気付いたので、一旦自認主婦の目をする。
そして先輩、顔背けるんだったら最初からそんな食生活するな。まぁしてたら俺先輩に惚れるどころか関わる事もなかったから身も蓋もないんだけどね!!
「確かに言われてみれば、あの料理に興味なかった春夜がお弁当作ったって聞いた時は驚いた」
「俺も!1人で食べてるもんだと思ったけど、はーちゃんが人に食事シーンを見せるのを許せるゆきちゃんは何者???」
「はいはい、アマ君は一々勘繰らないの。春君が料理始めたのは雪君のおかげなんだね、ありがとう(軽く頭を下げる)」
「(両手を横にす振る)いえいえ、感謝される様な事してないですよ!それに、俺も春夜先輩とお弁当食べる時間は好きですし、こっちの方こそ感謝したいぐらいです」
「雪羽、、、、俺泣きそう(涙目)」
照れくさいけど真剣に言うと隣に立ってる春夜先輩の表情が段々と悲しそうって言うか嬉し泣き、みたいな顔をする。
喜ばれる事を言った覚えはないけど、喜んで貰えたのであれば嬉しい。
それに少しだけ、いや結構四天王先輩(北沢先輩以外)との空気感も良くなってる気がする。一生関わる事のない人達と今こうやって話したり、楽しんでるって考えると違和感はある。
だけど、それがかけがえのない思い出になると、俺は思ってる。
「此処の花火大会はとっても綺麗なんだ。雪羽も喜ぶと思う」
「そうなんですか?」
「あぁ、昔1番綺麗に見れる場所で真咲達と見たんだ。そこで一緒に見よう」
「はい!」
って、会話をしたのに、春夜先輩と逸れるなんて、まさにフラグとしか言えない。
人混みの多さで離れ離れになっちゃって、持ってた荷物春夜先輩が持ってくれてたから、連絡も出来ないし、どうしよう。
少し歩くと足の指に痛みを感じる。ベンチに座って足の指を見ると血が出てた。合わなかったのかな、痛いし、逸れるし、春夜先輩と約束したのになぁ。
一歩も動けれる精神と肉体を持ってない俺は、下を向いてただただネガティブな事を考えてしまっている。
周りの人混みが遠くに感じる。
そんな時、真上から明るい声、優しい声、しっかりとした声、少し低い声での「どうした?」と言う言葉が俺の耳に届く。
顔を上げるとそこには他で楽しんでた東野先輩、北沢先輩、南先輩、西宮先輩の4人の姿があった。
「どうした、春夜は?」
「えっと、逸れちゃって」
「携帯は?」
「春夜先輩が持ってます」
「、、、、ハァ」
「しーちゃん、ため息禁止!ゆーちゃん、はーちゃんに電話!」
「分かったよ、アマ君」
質問に答えてなんかため息つかれちゃったけど、西宮先輩が春夜先輩に連絡して場所を伝えてくれて「5分で来る」と言ってくれた。
ホッと安心すると、東野先輩が俺の頭をいきなり撫で始めた。
目が点になって、見上げる状態になってしまっている。
「あの、東野先輩???」
「いや、、疑って悪かったなぁ、って思ってな」
「疑って?」
「あれ?気付いてなかった???俺達、最初はゆきちゃんの事めっちゃ疑ってたんだよ!」
「え!」
まさかの衝撃事実を突きつけられて俺、北沢先輩以外の先輩達の顔を一旦見た。嘘ついてる顔はしてないし、北沢先輩にはギロって見られるし嘘じゃないって事だけは分かった。
だが、何で疑われて居たんだって言う疑問になる。確かにいつも1人でご飯を食べてる幼馴染が急に後輩男子と仲良くなっているのは気になるのは分かるけど。
疑われるって言うのか少しだけ、いや、だいぶ引っかかる。
「あの、何で疑われて居たんでしょうか???」
「言い方が悪いけど、あの春夜が後輩に心を許してるってのがだいぶ信じられなくて、それも甘やかしてるってのが、ね」
「うんうん!はーちゃんってあのルックスでしょ〜?色んな生徒達から好意向けられたりして、陰口も言われてたから簡単に心を許す事はなかったんだよね〜」
「それで、仲良くしてる子が居るって聞かされた時にも驚いたし、お姫様抱っこしたって聞いた時は信じられなかったよ、最初は僕達」
「んで、今日春の家行ったらお前と会えた。それで俺達は春の真意を確かめると同時にお前がどんな奴なのかを確かめるって決めたんだよ」
「試す様な事して悪かったな?俺らも春夜が騙されてるんじゃないかって気が気じゃなくてさ」
「、、、、いえ、全然」
俺はただ先輩達の言葉に納得した。
怪しむのも疑うのも当然だろう、それに春夜先輩の境遇を考えれば俺が何かしたって考える事だって当然のことだと思う。
ただ、悔しい。春夜先輩が受けた境遇を、俺は今ハッキリと知った。
ただ単にモテるだろうって思ってた。でも、陰口を言われてるなんて初めて知った。妬みとか嫉みとかを向けられる事が多いんだって気付いた。
モテるから、とか憧れの存在だから、とか無条件で周りからチヤホヤされる訳じゃない。
周りからの妬みや嫉みを向けられる事だってあるんだって事に気付かされた。
それに気付けなかったのが、ただただ悔しかった。
だけど、先輩達は勘違いしたのか謝って来た。
「ごめんな。嫌だったよな、疑われて、、、、申し訳ない(頭を下げる)」
「!、東野先輩、顔上げてください!別に嫌だった訳じゃないです!寧ろ、その、先輩達の仲を悪くしたんじゃないかって不安になっちゃって」
「え?悪く?」
「はい。もしかしたら俺のせいで春夜先輩と皆さんが仲違い?したらどうしよう、とか、俺のせいで春夜先輩や春夜先輩が大切な人が傷付くのは嫌だから」
「「「「!」」」」
実際春夜先輩は夏休みに入って合鍵貰った事で多分春夜先輩と過ごす時間は格段に増えたと思うし、今日だって暫く遊べないって連絡を春夜先輩がしたって聞いて俺は驚いた。
春夜先輩第一で春夜先輩の幸せを願っている身からすると俺なんかの為に時間を費やして大事な幼馴染な四天王先輩達との関係悪化だけは避けたい所存で。
だから、うん。俺は、春夜先輩に幸せになってくれればそれで良い、って思う。
そして、四天王先輩達はと言うと、全員罪悪感を含んだ様な表情をして俺の事を見ている。東野先輩は腰に手を当てたり、南先輩は両手で顔を少し隠してるし。
すると、小声で東野先輩が話し始めた。
「どうしよう。疑って居たのが悪い気がして来た。こんな良い子を疑うなんて俺、最低だ」
「えぇ!!?!?」
「分かるよ、マサ君。僕もこんな良い子を疑ってた自分の神経を疑っちゃうよ」
「寧ろ、春を信じ切れてなかったら俺達が最低だって気付かされたな」
「!しーちゃん、それだ!俺、はーちゃんに合わせる顔がないよ!!」
「、、、、えぇぇぇ(ドン引き)」
なーんか、謝られたりしてこられて、俺言い方悪いけどドン引きしちゃうし、手のひら返しが酷いなぁ、って思っちゃう。
それに北沢先輩までそっち側に行くのか!って言う衝撃もある。
だけど、手のひら返しされたって事は良い人認定されたって事、かな???
「今日一日中、君の言動見て春夜の事をしっかり見てないと言えない事や仲が良いのに連絡先を交換してないそぶりだったり、さっきの発言を聞いていれば君が本当に春夜を大切に思っているって分かった」
「そんなそんな。疑いが晴れて良かったです」
「だからその、、、、俺達とも仲良くしてくれないか?」
「え?」
「嫌なら良いんだ。春夜が心を許した君に、俺達も心を許したい。なんて、今更な事を言っても仕方がないが」
「いえ!全然良いです!と言うか嬉しいです!!」
「本当かい?」
「はい!」
「ヤッタ〜!!じゃあじゃあ、俺達の事は下の名前で呼んでね!ばーちゃんだけだとズルいし!俺の事は天音先輩ね!(肩を掴む)」
「天音、先輩」
「そう!」
「天音、少し落ち着け。俺は、真咲」
「俺は、、、、静で良い、苗字呼びは慣れてない」
「僕も悠斗で良いよ、雪君」
「真咲先輩、静先輩、悠斗先輩」
「「「よし」」」
何かよし、かは分かんないけど一応認められたって事でオッケー??
仲良くしてほしいって言われたのは本当に嬉しかった。
年上だけど、ただ単に仲良くって事が嬉しかった。これを機に先輩達の事も知って春夜先輩の事を教えて欲しいな。
すると、北沢、じゃなくて静先輩が近づいて耳元では呟く。ビシッと体が強張ってしまう。
「〈疑って悪かった。よろしくな、雪〉」
「!、は、はい!」
静先輩にも認められた様で、良かった!!
そして数秒後、春夜先輩が人混みから現れて、焦った表情で俺の元に駆け寄る。
静先輩達は気付いたら何処かに旅立ってた。
様子から見て本当に俺を探し回って居たのが分かって少し申し訳ないなって思うと同時に俺の足元の様子に気付いて跪こうとする事態に俺はひとまず止める。
「先輩、跪かなくて良いですから」
「でも」
「頼みますから。あの、俺のカゴ巾着の中に、絆創膏があると思うので、とって下さい」
「分かった。ぁ、水で濡らした方が良いよな?」
「ぁー、そうですね。そうした方が」
「ちょっと待ってろ。ハンカチ濡らしてくるから」
春夜先輩はそう言って駆け足で走り去って行った。数分後、濡らしたハンカチを手に持って戻って来てベンチに座って俺の脚を膝の上に置いて、足の指の怪我をした部分を濡らして、絆創膏まで貼ってくれた。
その一連の行為に俺はただただ嬉しいと恥ずかしいが入り混じってしまう。
春夜先輩は「よし」って、やり切った表情をして、俺の脚を下ろしてくれたと思った瞬間、俺の体を優しく包み込んだ。
気付いた瞬間には、俺の顔は春夜先輩の首筋にあって、目と鼻の距離で、春夜先輩の腕の中でスッポリと収まっている状態だと気付くのにそう時間は掛からなかった。
動揺する俺を他所に満足げな春夜先輩。
顔を上げて伺う俺。
「あの、春夜先輩。何で、ハグなんて」
「いや、なんかしたくなったって言うか、、、、1人にしてごめん(微かに震えてる)」
「(、、、、先輩、震えてる。初めて見た)謝らないで下さい。ちょっと不安だったけど、それに、俺東野先輩達とも仲良くなれt 、、んッ」
言い終わる前に遮られた。春夜先輩の唇が俺の唇と重なって、塞がれてしまった。
???、今言語化したけど、キス?キス!!?!?
ビクともしないし、何で???
と言うか春夜先輩の唇柔らかい!それに良い匂いがする!!俺のファーストキス好きな人か!ヤッタネ!じゃなくて!!
冗談言う状況じゃないんだよ!人見てるし!
と、動揺しっぱなしの俺。やっとキスが終わったと思ったら春夜先輩は一言、俺の事を見つめて言った。
「俺以外とあんまり仲良くすんな」
「、、、、え?」
だから隣に立ってる春夜先輩の方見て声を上げながら話しかけてしまった。
「わぁ、、先輩、屋台が沢山ありますよ!」
「そりゃあ、夏祭りなんだから沢山あるのは決まってるだろ」
「ぁ、そうでした」
春夜先輩の言葉に一旦、冷静になった。
だけど会場の熱気?って言うのかな、楽しんでいる表情を見ると更に楽しみになって、ドキドキしちゃう。
何だろうな、子供心がくすぐられるって言うかさ。
多分、久しぶりの夏祭りだからだと思うけど。あと、す、好きな人と来るってのも含まれていると思う。
「俺、夏祭り誰かと来るの久しぶりなんですよね。小学1年生を最後に、家族とか兄弟と来る事なかったから」
「マジ!?それなら、今日はとことん楽しも。つか、俺が奢るわ」
「え、いや、それは申し訳ないって言うか」
「後輩に奢られる方が嫌だし」
まさかの奢る発言に俺は思わず断っちゃう。思わずじゃなくても断っちゃうけど。好きな相手に奢られるのは嬉しいけど申し訳なさが勝っちゃうんだもん!!
って思っていると、春夜先輩は「それなら、真咲〜」と言い、少し離れた場所で立って居た東野先輩を呼んだ。東野先輩はすぐに駆け寄って来てくれた。
少し、いやだいぶ嫌な予感がして来たぞ。
「ん?何?春夜」
「奢って」
「え〜、、、、しょうがないなぁ」
「雪羽の分もな」
「ハァ?、もう、分かったよ」
「え!?(頭をブンブン横に振る)いやいやいやいや、それは申し訳ないので!!」
春夜先輩の無茶振りも承諾して、俺にも奢る事を承諾しちゃった東野先輩の方を見て俺は勢い良く断る。
申し訳なさが倍増しちゃう!殆ど今日初めて喋って初対面みたいな感じなのに奢られるなんて、良心の呵責に耐えられないよ!!
必死に断る姿を周りの人達にチラチラ見られている気がするのは多分気のせいじゃないだろうな、って思うがこれは人としてやらないとだと思う。
だけど、東野先輩は俺の懇願を払いのけてしまう。
「良いっての。親から小遣い沢山貰ってるし、奢るの慣れてるし、後輩なんだから先輩に甘える事。まぁ、春夜は俺に甘え過ぎだがな」
「だそうだ。(雪羽の肩に顔を置く)雪羽は俺に甘えるのは嫌か?」
「!、、、、嫌じゃ、、ないです(顔を赤くして背ける)」
「よし決まり」
と、言う事で無事?俺は奢られる事が決まった。
神社の中を歩きながら屋台を見たりするし、春夜先輩と東野先輩からは、「これ買うか?」とか「これ買ってやる」と売り付けられてる感覚になっちゃう。
拒否権と言うものが俺にはないのか!って思っちゃうし。
悲しいなぁ、だけどだーれも2人の決めた事を嫌がらない。強いて言うなら背後からの北沢先輩の強い視線が怖いかなぁ。
話しかける事はせず、ずっと南先輩か西宮先輩のどっちかと会話してて、常にちゃんとしてなきゃって思っちゃう。
嫌ってるなら「嫌い」って言われた方がマシだけど言われたら悲しいからそれはそれで嫌な俺はめんどくさい人間だと思うよね、うん。
そして、春夜先輩に押し付けられて買って貰った唐揚げを食べる。
「パクっ、、、、ん、美味しい。レモンが効いてる、、、、今度作ってみよう」
「なら、俺も食べたい。材料用意するし」
「そうですね。唐揚げって色んな味付けが合うから美味しい。前に春夜先輩がお弁当に入れたキムチ味の唐揚げも美味しかったですよね」
「ぁ、分かる。あのキムチ唐揚げ美味しかったよな。でも俺的には雪羽が作ってくれた塩唐揚げも好きだけど」
気付いたから唐揚げトークになっちゃった俺と先輩。
各々買った屋台飯を食べながら、休める場所で食べながらの会話だから少し周りの雑音が聞こえるけど、ちょっと新鮮で良い。
だけど俺と春夜先輩の会話を聞いて居たのか、北沢先輩が威圧感を出しながらジリジリと近づき話しかけて来た。
思わずビクッと体を震わせて、春夜先輩との距離を近くなってしまう。
「なぁ、今お弁当って言ったか?」
「!、あぁ、それがどうしたよ、静」
「まさか昼休みソイツと食べてるのか?それも弁当交換してる?」
「「!!(動揺する)」」
「(話を聞きつけてヒョコッと顔を出す)マジ!?はーちゃんもゆきちゃんそんな関係だったの!!?!?」
「アマ君、声が大きいよ。それにそんな関係って悪い感じに聞こえちゃう。ビックリしたのは分かるけど」
「そうだぞ、天音。悠斗の言う通り。ごめんな、静は追い詰め?問い詰めようとしてる訳じゃないから」
「ぁ、ゆーちゃん、まーちゃん。そうだよな、ごめんな、ゆきちゃん」
結果的に俺と春夜先輩の関係が四天王先輩達にバレる結果となった。
一瞬俺は遠い目をした。そして春夜先輩は死んだ魚の目をしてた。俺は人生で初めて言葉にして「嘘ん」って言った。
だって初めてあんな春夜先輩の表情を見たし、どんだけバレるのが嫌だったんだろう、って思った。
まぁ俺もバレるのは嫌だったけど、遅かれ早かれこの人達にはバレるだろうな、って思った。だから、俺は寧ろバレちゃったし無理に隠す事は辞めた。
正々堂々としようと真剣な表情で答えた。
「はい、そうですよ」
「雪羽」
「バレてるんですし誤魔化す事ないですよ。、、俺と春夜先輩はお弁当交換してます」
「、、、、(目の向け方が優しくなる)ふーん」
「何で、分かったんですか?」
「そりゃあ、昼前あんなに大量に買ってた菓子パン辞めて、突然お弁当持って来てたから大抵の想像は出来る」
「、、、、先輩(いつからあんな食生活を、と言う疑問の視線を春夜に向ける)」
「、、、、(顔を背ける)」
多分この人1年生の頃からあの食生活やってるな。って気付いた。せめてスーパーとかコンビニのお弁当を買え、って思う。
だが、それを止めないこの人達も同罪だなって気付いたので、一旦自認主婦の目をする。
そして先輩、顔背けるんだったら最初からそんな食生活するな。まぁしてたら俺先輩に惚れるどころか関わる事もなかったから身も蓋もないんだけどね!!
「確かに言われてみれば、あの料理に興味なかった春夜がお弁当作ったって聞いた時は驚いた」
「俺も!1人で食べてるもんだと思ったけど、はーちゃんが人に食事シーンを見せるのを許せるゆきちゃんは何者???」
「はいはい、アマ君は一々勘繰らないの。春君が料理始めたのは雪君のおかげなんだね、ありがとう(軽く頭を下げる)」
「(両手を横にす振る)いえいえ、感謝される様な事してないですよ!それに、俺も春夜先輩とお弁当食べる時間は好きですし、こっちの方こそ感謝したいぐらいです」
「雪羽、、、、俺泣きそう(涙目)」
照れくさいけど真剣に言うと隣に立ってる春夜先輩の表情が段々と悲しそうって言うか嬉し泣き、みたいな顔をする。
喜ばれる事を言った覚えはないけど、喜んで貰えたのであれば嬉しい。
それに少しだけ、いや結構四天王先輩(北沢先輩以外)との空気感も良くなってる気がする。一生関わる事のない人達と今こうやって話したり、楽しんでるって考えると違和感はある。
だけど、それがかけがえのない思い出になると、俺は思ってる。
「此処の花火大会はとっても綺麗なんだ。雪羽も喜ぶと思う」
「そうなんですか?」
「あぁ、昔1番綺麗に見れる場所で真咲達と見たんだ。そこで一緒に見よう」
「はい!」
って、会話をしたのに、春夜先輩と逸れるなんて、まさにフラグとしか言えない。
人混みの多さで離れ離れになっちゃって、持ってた荷物春夜先輩が持ってくれてたから、連絡も出来ないし、どうしよう。
少し歩くと足の指に痛みを感じる。ベンチに座って足の指を見ると血が出てた。合わなかったのかな、痛いし、逸れるし、春夜先輩と約束したのになぁ。
一歩も動けれる精神と肉体を持ってない俺は、下を向いてただただネガティブな事を考えてしまっている。
周りの人混みが遠くに感じる。
そんな時、真上から明るい声、優しい声、しっかりとした声、少し低い声での「どうした?」と言う言葉が俺の耳に届く。
顔を上げるとそこには他で楽しんでた東野先輩、北沢先輩、南先輩、西宮先輩の4人の姿があった。
「どうした、春夜は?」
「えっと、逸れちゃって」
「携帯は?」
「春夜先輩が持ってます」
「、、、、ハァ」
「しーちゃん、ため息禁止!ゆーちゃん、はーちゃんに電話!」
「分かったよ、アマ君」
質問に答えてなんかため息つかれちゃったけど、西宮先輩が春夜先輩に連絡して場所を伝えてくれて「5分で来る」と言ってくれた。
ホッと安心すると、東野先輩が俺の頭をいきなり撫で始めた。
目が点になって、見上げる状態になってしまっている。
「あの、東野先輩???」
「いや、、疑って悪かったなぁ、って思ってな」
「疑って?」
「あれ?気付いてなかった???俺達、最初はゆきちゃんの事めっちゃ疑ってたんだよ!」
「え!」
まさかの衝撃事実を突きつけられて俺、北沢先輩以外の先輩達の顔を一旦見た。嘘ついてる顔はしてないし、北沢先輩にはギロって見られるし嘘じゃないって事だけは分かった。
だが、何で疑われて居たんだって言う疑問になる。確かにいつも1人でご飯を食べてる幼馴染が急に後輩男子と仲良くなっているのは気になるのは分かるけど。
疑われるって言うのか少しだけ、いや、だいぶ引っかかる。
「あの、何で疑われて居たんでしょうか???」
「言い方が悪いけど、あの春夜が後輩に心を許してるってのがだいぶ信じられなくて、それも甘やかしてるってのが、ね」
「うんうん!はーちゃんってあのルックスでしょ〜?色んな生徒達から好意向けられたりして、陰口も言われてたから簡単に心を許す事はなかったんだよね〜」
「それで、仲良くしてる子が居るって聞かされた時にも驚いたし、お姫様抱っこしたって聞いた時は信じられなかったよ、最初は僕達」
「んで、今日春の家行ったらお前と会えた。それで俺達は春の真意を確かめると同時にお前がどんな奴なのかを確かめるって決めたんだよ」
「試す様な事して悪かったな?俺らも春夜が騙されてるんじゃないかって気が気じゃなくてさ」
「、、、、いえ、全然」
俺はただ先輩達の言葉に納得した。
怪しむのも疑うのも当然だろう、それに春夜先輩の境遇を考えれば俺が何かしたって考える事だって当然のことだと思う。
ただ、悔しい。春夜先輩が受けた境遇を、俺は今ハッキリと知った。
ただ単にモテるだろうって思ってた。でも、陰口を言われてるなんて初めて知った。妬みとか嫉みとかを向けられる事が多いんだって気付いた。
モテるから、とか憧れの存在だから、とか無条件で周りからチヤホヤされる訳じゃない。
周りからの妬みや嫉みを向けられる事だってあるんだって事に気付かされた。
それに気付けなかったのが、ただただ悔しかった。
だけど、先輩達は勘違いしたのか謝って来た。
「ごめんな。嫌だったよな、疑われて、、、、申し訳ない(頭を下げる)」
「!、東野先輩、顔上げてください!別に嫌だった訳じゃないです!寧ろ、その、先輩達の仲を悪くしたんじゃないかって不安になっちゃって」
「え?悪く?」
「はい。もしかしたら俺のせいで春夜先輩と皆さんが仲違い?したらどうしよう、とか、俺のせいで春夜先輩や春夜先輩が大切な人が傷付くのは嫌だから」
「「「「!」」」」
実際春夜先輩は夏休みに入って合鍵貰った事で多分春夜先輩と過ごす時間は格段に増えたと思うし、今日だって暫く遊べないって連絡を春夜先輩がしたって聞いて俺は驚いた。
春夜先輩第一で春夜先輩の幸せを願っている身からすると俺なんかの為に時間を費やして大事な幼馴染な四天王先輩達との関係悪化だけは避けたい所存で。
だから、うん。俺は、春夜先輩に幸せになってくれればそれで良い、って思う。
そして、四天王先輩達はと言うと、全員罪悪感を含んだ様な表情をして俺の事を見ている。東野先輩は腰に手を当てたり、南先輩は両手で顔を少し隠してるし。
すると、小声で東野先輩が話し始めた。
「どうしよう。疑って居たのが悪い気がして来た。こんな良い子を疑うなんて俺、最低だ」
「えぇ!!?!?」
「分かるよ、マサ君。僕もこんな良い子を疑ってた自分の神経を疑っちゃうよ」
「寧ろ、春を信じ切れてなかったら俺達が最低だって気付かされたな」
「!しーちゃん、それだ!俺、はーちゃんに合わせる顔がないよ!!」
「、、、、えぇぇぇ(ドン引き)」
なーんか、謝られたりしてこられて、俺言い方悪いけどドン引きしちゃうし、手のひら返しが酷いなぁ、って思っちゃう。
それに北沢先輩までそっち側に行くのか!って言う衝撃もある。
だけど、手のひら返しされたって事は良い人認定されたって事、かな???
「今日一日中、君の言動見て春夜の事をしっかり見てないと言えない事や仲が良いのに連絡先を交換してないそぶりだったり、さっきの発言を聞いていれば君が本当に春夜を大切に思っているって分かった」
「そんなそんな。疑いが晴れて良かったです」
「だからその、、、、俺達とも仲良くしてくれないか?」
「え?」
「嫌なら良いんだ。春夜が心を許した君に、俺達も心を許したい。なんて、今更な事を言っても仕方がないが」
「いえ!全然良いです!と言うか嬉しいです!!」
「本当かい?」
「はい!」
「ヤッタ〜!!じゃあじゃあ、俺達の事は下の名前で呼んでね!ばーちゃんだけだとズルいし!俺の事は天音先輩ね!(肩を掴む)」
「天音、先輩」
「そう!」
「天音、少し落ち着け。俺は、真咲」
「俺は、、、、静で良い、苗字呼びは慣れてない」
「僕も悠斗で良いよ、雪君」
「真咲先輩、静先輩、悠斗先輩」
「「「よし」」」
何かよし、かは分かんないけど一応認められたって事でオッケー??
仲良くしてほしいって言われたのは本当に嬉しかった。
年上だけど、ただ単に仲良くって事が嬉しかった。これを機に先輩達の事も知って春夜先輩の事を教えて欲しいな。
すると、北沢、じゃなくて静先輩が近づいて耳元では呟く。ビシッと体が強張ってしまう。
「〈疑って悪かった。よろしくな、雪〉」
「!、は、はい!」
静先輩にも認められた様で、良かった!!
そして数秒後、春夜先輩が人混みから現れて、焦った表情で俺の元に駆け寄る。
静先輩達は気付いたら何処かに旅立ってた。
様子から見て本当に俺を探し回って居たのが分かって少し申し訳ないなって思うと同時に俺の足元の様子に気付いて跪こうとする事態に俺はひとまず止める。
「先輩、跪かなくて良いですから」
「でも」
「頼みますから。あの、俺のカゴ巾着の中に、絆創膏があると思うので、とって下さい」
「分かった。ぁ、水で濡らした方が良いよな?」
「ぁー、そうですね。そうした方が」
「ちょっと待ってろ。ハンカチ濡らしてくるから」
春夜先輩はそう言って駆け足で走り去って行った。数分後、濡らしたハンカチを手に持って戻って来てベンチに座って俺の脚を膝の上に置いて、足の指の怪我をした部分を濡らして、絆創膏まで貼ってくれた。
その一連の行為に俺はただただ嬉しいと恥ずかしいが入り混じってしまう。
春夜先輩は「よし」って、やり切った表情をして、俺の脚を下ろしてくれたと思った瞬間、俺の体を優しく包み込んだ。
気付いた瞬間には、俺の顔は春夜先輩の首筋にあって、目と鼻の距離で、春夜先輩の腕の中でスッポリと収まっている状態だと気付くのにそう時間は掛からなかった。
動揺する俺を他所に満足げな春夜先輩。
顔を上げて伺う俺。
「あの、春夜先輩。何で、ハグなんて」
「いや、なんかしたくなったって言うか、、、、1人にしてごめん(微かに震えてる)」
「(、、、、先輩、震えてる。初めて見た)謝らないで下さい。ちょっと不安だったけど、それに、俺東野先輩達とも仲良くなれt 、、んッ」
言い終わる前に遮られた。春夜先輩の唇が俺の唇と重なって、塞がれてしまった。
???、今言語化したけど、キス?キス!!?!?
ビクともしないし、何で???
と言うか春夜先輩の唇柔らかい!それに良い匂いがする!!俺のファーストキス好きな人か!ヤッタネ!じゃなくて!!
冗談言う状況じゃないんだよ!人見てるし!
と、動揺しっぱなしの俺。やっとキスが終わったと思ったら春夜先輩は一言、俺の事を見つめて言った。
「俺以外とあんまり仲良くすんな」
「、、、、え?」
