ボッチな俺と王子様先輩の秘密のお弁当交換は愛が重過ぎた

「先輩、今日はクッキー作ったので良かったらどうぞ」

「!、マジ?食べる食べる」

7月上旬、相変わらず旧部室棟の2階角の部室で、お弁当を食べ終わった俺と先輩。
昼休みが終わるまでのんびりしようと思って、クッキーとお茶をしばきながら、雑談に勤しんでいた。
外は夏らしく太陽サンサンで日差しが強く、部屋に居るだけでも、暑さを感じる。と言っても、扇風機を付けているから、ある程度は涼しい。

クッキーを口に含みながら、美味しそうに食べている春夜(はるや)先輩を横目で見つめる。

「ぁ、そういや、雪羽(ゆきは)ってこの前の期末テストどうだった?」

「期末テストですか?一応、5位でしたけど」

「マジ!!?凄いじゃん」

「いや、、放課後誰かと遊ぶとかもないし、部活もたまにしかやってないし、暇なんで」

「ふーん」

なんか、今、俺先輩に向かって、「俺は陰キャです」、「俺はボッチです」みたいな事言ってない?言っちゃったよね??

いや、まぁ、本当の事だから訂正する訳にもいかないんだけども。

にしてもテスト結果を聞かれるとは思わんかった。こう聞く先輩はどうなんだ、低いのか!って思うけど、どうせ、、、、

「俺?俺は、一桁だったのは覚えてる」

「わぁ、面白くなーい」

「悪かったな、面白くなくて」

やっぱり、春夜先輩は頭も良いんだよなぁ。
これで運動神経も良くて、アレ?モテ要素多くない??

それでいて、料理まで出来るって更にモテるんじゃね??

アレ、俺自らライバルを増やしてる感じ????


いやいやいやいやいやいや、俺別に春夜先輩と付き合えるとは思ってないし!何危機感とか感じてんだよ!
馬鹿じゃねーの!!うん!

なんか、焦ってて馬鹿みたいだわ。冷たいお茶でリラックス、リラックス。
ふぅ、、、、

「雪羽ってさ、、友達、友人とか居るの?」

「ブフッ(お茶を吹き出す)、ゲホゲホゲホッ な、何、急に言って、ケホケホッ」

「そんな驚く事かよ」

いや、驚く事だっての!!

と言うか、俺の何処を見て友達が居ると思ったんだ???

この先輩節穴か?

じゃなくて、焦ったら友達居ないと思われちゃうわ。ヤダよ、馬鹿にされちゃうかもしれない!いや馬鹿になんて先輩はしないけど!!

服の袖で口元を拭き、何とか落ち着いてから、俺は先輩の方を見て口を開く。

「居ますよ。ちゃんと、友達は、、、、他クラスですけど」

「、、、、へぇ〜、居るんだ。仲良いの?」

「仲良いですよ。じゃなきゃ、友達じゃないでしょ」

「ふーん、あっそ。俺、今日はちょっと先に行くわ。クッキー美味かった。また明日」

「?、は、はい」

先輩はそう言って、部室から出て行った。

俺は完全にキョトンってなっちゃって、春夜先輩が部室を出て数分経ってもどうしたんだ?って不思議そうな顔をしてる。

それに、何だか、怒ってた?、纏ってた雰囲気が怒ってた気がする。声のトーンも低かったし。

気のせい、じゃないよな?

なんか、俺気に触る事言っちゃった?


ハッ!まさか、陰キャな俺に友達なんて贅沢なモン持つなんて馬鹿じゃないのか!
って気持ちで怒ったとか!!?!?

俺は、窓際に手を置いて、項垂れる。
もしそうだとしたら、どうしよう。俺みたいな陰キャには友人なんて100年早かったのかなぁ。
明日も怒ってたらどうしよう、本当にどうしよう。

どうしよう、先輩が怒ってるかもしれないって考えただけで心臓が痛い。と言うか心が痛い。













「、、、、(怒ってない?)」

次の日のお昼休み、春夜先輩は怒ってはなかった。
機嫌が治ったんだって、俺はホッとするけど、何で怒ってたのかが不思議に思う。

「?、どうした?雪羽」

「ぁ、いえ、何でもない、です」

ひとまずは機嫌が治って良かった、って思っておこう。
それにしても俺、初めてかもしれない。先輩が本気で怒った姿見たの。

それも自分のせいで怒られたって考えると、ちょっとだけ悲しい。でも何で怒ってたのかだけが不思議なんだよなぁぁ。

なんて頭の中でちょっとだけ悶々と考えながら、先輩特製の鮭おにぎりを食べていると、先輩の指が俺の頬を突いた。

俺は思わずビクッと体を震わせる。

「?、何ですか?先輩」

「だーかーらー、お前部活何やってんの??」

「ぁ、部活、ですか?、俺は、弓道ですけど」

「弓道、、、、意外」

「って言ってもウチの部、そんな毎日部活とかじゃなくて、週2でたまに土日部活あるぐらいですし」

「ふーん」

「先輩は帰宅部、ですよね」

「あぁ、部活楽しい?」

「楽しいですよ。まぁ、先輩と過ごす時間の方が楽しいですけど」

「!、あっそ、、、、」

アレ?なんか先輩の雰囲気が少し柔らかくなった?

気のせいかな。

でも、先輩が俺の事知ろうとしてくれてるのはちょっと、いやだいぶ嬉しい。
好きな人に自分の事を知って貰えるのはこんなにも嬉しいんだって今初めて知ったかも。今、先輩が知りたいって思ってる後輩は俺だけだよな!

なーんて、ちょっとだけ優越感に浸ってると、先輩の指に嵌めてる銀製の指輪に視線がいった。

「先輩、それって新しい指輪ですか?」

「んぁ?、あぁ、そう。可愛いだろ」

「可愛いです。先輩にも似合ってますし」

「、、、、1つ居るか?金製のヤツだけど、」

「え?良いんですか!!?!?」

って事は実質お揃いでは!!?

ど、どうしよう。まだ、心臓の準備が出来てない。

辞めてよ、春夜先輩。俺の心臓を簡単に爆裂させる様な提案しないで下さいよ!

それも2人っきりの空間とか悪意はないけど悪意を感じちゃうじゃん!!!!!!
どうしよう、俺今日が命日になるかもしれない。

嫌だよ、密室空間で死んだなんてなったら、春夜先輩が疑われちゃう!!

って言っても受け取らないって選択肢はないんだけども。

俺は有り難く、春夜先輩から指輪を貰う。今日からこれが我が家の家宝だ。

両親に何を言われようとも家宝に決定した。

「ありがとうございます。大切にします」

「別に大切にされても困るけど。なんか、雪羽って俺の事好きだよ(膝をついて頬を手に置いて見つめる)」

「!、は?え?す、す、す、す、す、す、す、す、す、す、す、好き!!?!?(顔真っ赤&動揺)」

至近距離からの顔面国宝オーラと好きって言う言葉に動揺は隠せる訳もなく、俺は顔真っ赤にして動揺を曝け出しながら焦ってしまった。

いや、これはしょうがない。

だって、至近距離に超至近距離に、好きな人の顔があるんだぜ!!?

動揺している俺を見て、笑顔になって俺の頭を撫で始める春夜先輩。
それにまた動揺しちゃう俺。だってしょうがないじゃないか!!(byえなりか○き)

「フハッ、分かりやす過ぎ。俺は嬉しいよ、雪羽に好かれてるのは。俺も雪羽の事好きだし」

「ふへっ(全身顔真っ赤、特に耳)」

ボフッ、って音が多分した思う。

それぐらい、今の俺は限界に近かった。頭に添えられた手、優しい笑顔、好きだしと言う言葉、全てが俺を殺せるぐらい殺傷力の高い言動だったからだ。

俺は、俺は、どうすれば良いんだ。我慢はする、我慢はするが、この好きって気持ちが抑えられる気がしない。

この男は、鬼だ。だけど好きだ。

ぁ、ヤバい、俺今春夜先輩の綺麗な唇にしか視線行ってない。変態じゃん、ヤダよ。俺、可愛い後輩枠狙ってるんだから!

「先輩、ズルい、ズルいです」

「え〜、何が笑(満面の笑みを向ける)」

だから、この人は学園の憧れの存在で、王子様なんだ。

今日はとことんそれを分からされた気がする。












「よし、部活行こ」

授業が終わって、荷物をリュックに入れてから俺はリュックを背負って部活に行こうと教室を出た。

まだ残った生徒達が居て、明るく話してる姿見ると楽しそうだなぁ、って横目でつい見ちゃうけど、俺の性格を考えたらアレは無理だなって思うのが毎回の事だ。

まぁ、春夜先輩との関係知られたら羨ましがられると思うけど、まずそれを言う相手が居ない。

「ボッチだししょうがないかぁ」

「なーに、ボッチボッチ言ってんだぁ?雪〜(背後から肩を組む)」

「急に肩組むなよ、宗輔(そうすけ)

急に俺の肩を組んで話しかけて来たかと思えば、ボッチは2回も言ってねーよ、とツッコまなかった俺を褒めて欲しい。

俺に声をかけて来た茶髪男子は俺の幼馴染で小中同じの植草宗輔(うえくさそうすけ)だった。
隣のクラスで同じ弓道部、まぁ友達だ。クラスが違うくなってからは部活以外で会話する機会が減ったんだよなぁ、と思いながら肩を組み続けて廊下を歩き弓道部の部室に向かう。

宗輔は相も変わらず、明るく元気にちょっと空気の読まない感じで話をする。すると何か思い出したのか俺の方に視線を向けながら話題を振った。

「そーいや、雪この前2年の大原先輩に話しかけられてたよな??それも名前呼びで」

「!、、見てたの?宗輔」

「あったり前じゃん。俺ビックリしたからな!お前走り去って、大原先輩ビックリしててすぐに追いかけて。周りの1年生達はどんな関係なんだ〜って言ってたんだから」

「嘘ぉ」

まさかの情報で俺は顔を隠したかった。
だから、だから、あの時以来クラスメイトから少し視線を感じるなぁ、とは思ったけどそう言う事かよ!

確かに、確かに普段ボッチしてると思ってた陰キャが学園の王子様から名前呼び&後追いされるってどんな関係だって思うのは当然っちゃ当然だわ!

それから、宗輔は俺の様子も気にせず話を続ける。

「俺アレ見た時、とうとう陽キャになったのか、雪の奴もって思ったからな」

「ハァ?何それ、俺の何処が陽キャだよ」

「確かに今見ても雪が陽キャとは思えん、」

「おい、それはどう言う事や」

「冗談冗d、、ぁ」

「?どうした?宗輔」

階段に差し掛かった所で、俺の前に立って後ろ向きで歩く宗輔の上段にちょっと怒っていると、急に黙って小さく声を出した宗輔。
俺は急に黙った宗輔に不思議に思って声をかけると、宗輔の視線が俺の上にある事に気づいた。

それに俺に影がある事にも気づいて、すぐに後ろを振り向くと、見慣れた着崩した首元で誰かすぐに分かった。

「!、春夜、先輩」

「ヨッ、雪羽(片手を雪羽の頭に置く)」

「ど、どうしたんですか?」

「うーん、、、、ちょっと雪羽借りる。部活までには返すから」

「え?」

「どうぞどうぞ!」

「は!?ちょっ、宗輔何言って」

「じゃ、早めに帰ってこいよ!雪!」

春夜先輩は俺の頭を置いたまま、宗輔の方に視線を向けて、宗輔は春夜先輩のお願いに素直に聞き入れて、素早く階段を降りて行って俺と春夜先輩は2人っきりになった。

俺は唖然として、えぇ〜???って思っていると、グイッと二の腕を掴まれ&引っ張られて、使われてない教室に連れて来られてしまった。

鍵まで閉めて俺を壁まで追いやってくるし、俺を見下ろす目が少し怖い。

なんか、先輩怒ってる?何で!!?
これに関しては俺は身に覚えがありません!!

って思って顔を上げると、春夜先輩が小さく声を出した。

「、、呼び、、、、んで」

「え?、何て?」

「ッ〜、だから、呼び捨てで名前を呼んで」

「???、、、、、、、、


















え?」

春夜先輩から言われた言葉を理解したと同時に、俺の頭の中にはハテナマークが消える事はなく、そのまま、え?、としか言えなかった。

最初は冗談かな、って思ったけどどうやらそう言う訳ではないのは、真剣な表情で分かるし。

「いや、先輩に呼び捨てとか出来ないですよ」

「別に呼び捨てでも怒らないし、先輩命令。呼び捨てで呼べ」

「何その理不尽」

「良いから(即答)」

俺には拒否権がないんだろうな。いや、元からないのか。

でも、ここまで言われて断る俺でもない。好きな人からのお願い、なら、普通に受け入れれるし、寧ろ嬉しい訳で。

少し夕焼け空になって夕陽が教室を照らす中、俺は恥ずかしい気持ちを殺して、顔を上げて目と目を見つめ合って一言。

「は、春夜(ほんのり顔が赤い)」

「(頬を優しく撫で嬉しそうな顔をして噛み締める)、、、、何だ、雪羽」

嬉しそうな表情をして俺を優しい目で見つめる春夜先輩を見て、何で呼び捨てが嬉しいんだ?
四天王の先輩達からだって呼び捨てされてるのに。何で???

俺は嬉しそうな顔をしてる春夜先輩を見てれ嬉しいけど、それはそれとして疑問が募るばかりだ。

にしても、春夜先輩何で怒ってたんだろ???

そう俺が不思議に思っていると、俺の頬から手を離して話し始めた先輩。

「、、、、雪羽って、友人の前だとあぁ言う感じなんだな」

「え」

「なんか、知らない奴みたいで、イラってきた」

「え?」

「別に嫌だった訳じゃないけど、、、、俺にだってもう少し時間使えよ」

「、、、、」

「ぁー、子供っぽかったか?悪い、忘れてくれ(顔を背ける)」

「いえ、全然その、嬉しいです。嬉しい(服の袖を掴み引っ張る)」

ちょっと、驚いた。
でも、こうやって素直に気持ちを聞けたのは本当に嬉しい。

なんか、寂しいのは俺だけじゃなかったんだ。それを知れてホッとした。
何だか、新たな春夜先輩(好きな人)の一面を知れてある意味ラッキーなのでは?、って思っちゃってる俺が居る。

今日の部活は良い成績残せそう、かな。なんてね♪