「春夜先輩が何回も謝って来た理由が分かった気がします」
「そっか、良かった(正気を失った目)」
何回目かの撮影の休憩中用意して貰ったお弁当を食べながら撮影の忙しさや衣装の多さ、メイクや髪型の変更の大変さ、そして周りからの褒めちぎりなどの大変さを味わって、最初の春夜先輩の謝罪の意図に気付き、疲れながらも話す。
周りのスタッフさん達はまだ作業をして居たり、衣装さん?なのかな、用意されている衣装の改善点を見つけて直して居たりして大変だなって思う。
目の前で散々女子スタッフからの褒めちぎりなどに耐え切った春夜先輩の目からは正気が感じ取れなかった。
綺麗な顔だけどちょっとだけ不気味に感じる。それでも好きなのは変わらないけどね。
「もしかしてですけど、先輩ってファッションモデルやった事あるんですか?」
「、、、、あぁ。この雑誌は初めてだけどな。顔出しはせず顔以外の部分でな」
「そうだったんですか」
「撮影、大変だろ?断り切れなくて悪かった。夏希さんは一度決めたら突き通す人だし、、、、一人暮らしする時に後押ししてくれた人だから、無限には出来なくてさ」
「恩人、みたいな感じですか?」
「んまぁ、そんな感じ」
それを言われて仕舞えば俺は何も言えない。俺の好きな人であり憧れてる春夜先輩の恩人で親戚の人にとやかく言える程度胸はないし。
それに、春夜先輩が断れないって事は夏希さんがそれだけ春夜先輩に良くしているって事の証拠だって思うんだ。
ちょっとほのぼのしながら撮影中に衣装替えで色々気付いた部分があって、衣装の袖や二の腕部分や襟、裾部分などに刺繍があって花の刺繍があった。
全部色んな種類だけど、なにか同じ系統なのかな?
なので先輩に聞いて見た。
「あの、先輩」
「ん?何?」
「その、衣装にある刺繍の花って何か関連性?と言うか法則があるのかなって」
「ぁー、それ全部春の季節に咲く花だよ」
「え?ぁ、本当だ。今着ている服には先輩のは桜の花、俺のは菜の花、、でもなんで春の花??」
何でなのかは分かったけど、春の花なのか意味が分かんなくてお茶を飲みながら頭を傾ける。
春って言えば春夜先輩の名前に入っているけど、それが関連しているのかな?いや、確かに春夜先輩は夏希さんの甥だけどブランドに関係している訳ではないもんね。
と言うか、俺色々流され過ぎて、今着てる衣装のブランドのブランド名聞けてないや。
この間5秒。
「そう言えば今着てるブランドのブランド名ってお聞きしてもよろしくて?」
「何その口調笑、そういや言ってなかったな。ブランド名は【Spring Night】だよ」
「【Spring、Nig、、、、、ん?あれ?それって日本語だと、」
「、、、、そう、春の夜、春夜、俺の名前」
「えぇ!!?!?」
まさかの自分の読みが当たった事に俺は驚きが隠せず立ち上がって声を荒げてしまった。それを気にせず作業をしているスタッフさんマジ神。
じゃなくて、何で春夜先輩の名前がブランド名に?それにちょっとだけ懐かしそう、な表情をしている先輩を見てもしかしてって、答えが浮かび上がった。
俺は座っている春夜先輩を見下ろして答え合わせをしようと思う。
「もしかして、このブランドを作ったのは春夜先輩の家族、とかですか?」
「せーかい。俺の母さんが作ったやつ」
「春夜先輩のお母様が」
「ん、、ブランドを作るってなった時、当時身篭ってた俺の名前と同じにしようって決めて、俺3月生まれだろ?だから春の名前にしようってなったんだ。だから春ってのは決まってた」
「それで、春の綺麗な夜に生まれたから、春夜って名前にしたんだ。まさかそのままブランド名になるとは思わなかったけどな」
「そうだったんですか。良い名前の決め方です!!じゃあ俺は今、春夜先輩のお母様が作り上げて春夜先輩の分身であるブランドの服を着れてるって事か、、、、ふふっ、嬉しい(笑みをこぼす)」
どんな思いでブランドを作ったとか、どんな思いで名前を作ったとか、俺には分かんない。だけど、こうやって間接的にはだけど、春夜先輩のお母様からの想いを知れている気がする。
もう会う事は出来ないし会話をする事は出来ないけど、このブランドがあり続けるって事は、春夜先輩への想いはずっと残っているって事だって思うんだ。
それを考えるだけで、俺はギュッと心が締め付けられて、嬉しくなる。
俺は座って、春夜先輩の事を見つめて笑顔を向ける。
「!(耳を赤くする)、、、、ハァァ、雪羽ってズルい」
「え?ズルい?何が???」
「何でもない」
なんか、俺変な事言ったかな???
でもまぁ、此処最近春夜先輩は変な所あるまくりだったし、多分大丈夫だと思う。だって、俺からしたらファーストキスを捧げれた事が何よりもの最高のプレゼントだからね!アハッ!
それから休憩が終わって撮影が再開。俺は相変わらず女装をさせられて居て、なんか慣れて来た。
「じゃっ、雪羽君他の衣装に着替えてきて」
「は、はい!」
夏希さんに言われてスタジオを出て、控室に戻って違う衣装に着替えてから駆け足でスタジオに戻ろうと廊下の角を曲がると、スタッフさんの1人にぶつかってしまった。
ドンッ
「わっ」
「おっと、、大丈夫?って君、モデルの子?」
「は、はい。今からスタジオに」
「へぇ〜、可愛いね。いくつ〜?」
「え、15歳ですけど」
「若っ、ねぇ撮影終わったら遊びに行かね?俺奢るし」
なんか、変な方向に行ってない?俺着替えたいのに同線塞がれてるから行けないし、相手背高いからちょっと怖い。
これってナンパ?ってやつだよね?
ど、どうしよう。俺初めてだし、それに女子って勘違いされてるし!
内心アワアワしながら何とか「いや、む、無理です」って言って断るが、引く事はなくてもっと困惑しちゃう。
「良いじゃん、俺色々コネ持ってるしさ(雪羽の腕を掴む)」
「ッ、は、離して、下さい!(目を瞑る)」
「ちょっ、君うるさいよ。あれ?と言うか声、低k イテッ」
「、、、、?」
腕を掴まれて更に困惑して離して貰おうと引っ張って抵抗しても男性にはビクととしてなくて、どうしようって怖くて目を瞑ってしまった。
だけど、男性の痛み出す声が聞こえて掴まれて居た手が離された感覚になって、目を開けると男性の腕を掴んで押さえつけている春夜先輩の姿が視界に入った。
男性は「イデデデデデッ」と悲痛の声を出す姿と冷静にだけど少し怒った表情をしている春夜先輩の姿、と言うかこの光景に俺はただただ困惑してしまう。
「あの、先p」
「雪羽、怪我はないか?」
「は、はい。ないです」
「そう、、、、なら良かった。雪羽に手を出したら容赦しないからな(押さえつけていた手を離す)」
「は、はい!失礼します!!(深く頭を下げてから走り去る)」
男性スタッフさんは春夜先輩から解放されて急いでその場から立ち去った姿を見て、ちょっとだけ情けない、って思ったのはここだけの話だ。
何が起こったかを理解して、春夜先輩に助けて貰った事でホッとした。のも束の間で、お礼を伝えようと春夜先輩に近づこうと一歩踏み出した瞬間、
ギュッ
「???」
文字通りギュッと抱きしめられた。
俺は目が点になって肩にある春夜先輩の顔に視線をギュンッと目を向ける。
力強く抱き締められているって事もあるけど、何で抱き締められているのかって言うのが分からない。だけど春夜先輩なんてが小さく俺の耳元で「良かった、無事で」と言った。
その言葉を聞いたら「辞めて」とは、言えない。
だけど、度々廊下を通るスタッフさん達からニコニコして見られるのだけはとても恥ずかしい。とっても恥ずかしい。
時間が刻一刻と過ぎているのが分かって、俺は何とか顔を赤らめて春夜先輩の背中をポンポン叩いて話しかける。
「あの、先輩、そもそも、さ、撮影戻りましょう、ね?俺大丈夫ですから」
「、、、、あぁ、ごめん。気が動転してた、泣きそうな顔してたから」
「!、、、、(そっか、先輩は俺の事想ってくれて、)助けてくれてありがとうございます。先輩のおかげで無事ですから!」
「そうか、良かった。良かった、、、、さっ、戻るか」
「はい、行きましょう」
俺が泣きそうな顔してたからこんなにも心配されるのは恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しかった。俺の事を想ってくれているって考えるだけで、心がポカポカする。
でも、あんなにも悲しそうな顔をして動揺している先輩の姿を見るのは初めてだった。
そんなにも俺の事を大切に想ってくれて居るんだってのはちゃんと伝わってくる。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
1時間ぶっ通しで撮影をし、次号に出す雑誌に出す分の写真は撮り終えれた。
着た服は後日プレゼントして貰えるらしく夏希さんと連絡先を交換したが、交換してすぐに自分の性別を思い出して一旦後悔した。
服に着替えて控室に出て春夜先輩の所に行こうと思ったら背後から夏希さんに声をかけられて足を止められた。
「今日はありがとう、本当に助かった。雪羽君が居なかったらどうなってた事やら」
「いえいえ、全然。楽しかっですし、初めての事だからかでドキドキしましたし」
「それなら良かった。んねぇ、春夜の事どう思う?」
「え?」
「いや、言い方が悪かったか。春夜の何処が好き?」
「、、、、え!?」
夏希さんからの鋭い言葉に俺は動揺してしまって一歩後退ってしまう。
何でバレた!?誰にもバレないようにしたはずなのに!
と、頭ん中で考え込んでしまっている。
完全に動揺が顔にも動きにも出てしまっていてそれを見て笑みをこぼしている夏希さん。
バレた事への動揺は勿論だけど、まさか他の人には分かりやすい対応だったのかもしれない、と不安になって来た。
「まさか当たってるとは笑、、、、分かるよ。春夜を見てる目が完全に恋してる子の目だから」
「、、、、」
「安心して。この事は春夜には言わない」
「ありがとうございます」
「、、、、〈と言うか、あの子は、あの感じ、、、うん〉」
「?」
今、なんかボソッと何か言ったような??
でもまぁ、春夜先輩に言われないって約束してくれているので、それはひとまず安心するべき事案だな。
あと、今後他の人にもバレない様にしようと一段と引き締めようと決意する。
「何でもない。あと、私は男同士の恋愛とかに言い方は悪いと思うけど偏見はないからね」
「!」
「私も女性と付き合った事あるし。もし男同士とかで悩んでるんだったら、1つ言っておく。好きに性別は関係ないからね」
「、、、、はい」
「よし」
夏希さんからの言葉は深く胸に刺さった。ずっと悩んでいた。
男の人を好きになるなんて初めてで、気持ちなんて伝える気はないけどもしバレたら、気持ち悪いって思われる可能性があるって。
でも、好きに性別は関係ない、って言葉はその通りだって思った。
ずっと偏見の目で自分を見ていたのは俺自身なんだって気付いた。
「んで、それで何だけどさ、あの子さ学校でいつも茶色のパーカー着てない?」
「え?、ぁー、そう言えば着てますね、毎日」
「アレね、私の姉さん、あの子の母親がデザインした服なんだ」
「え、、、、」
「あの子が6歳の時にデザインしたんだけど、結局発売前に死んじゃって完成しなかったから発売はしなかったんだ。アレは、試作品第一号。姉さんは死ぬ間際まで7着全部に刺繍をしてた」
「、、、、だから、刺繍が春夜先輩の誕生花だったのか」
学校で見る春夜先輩のパーカーの刺繍が毎日違って居たけど、何でだろうって思ってた疑問が此処で回収されるとは。
ある意味伏線回収みたいなものだよな。
でも、そっか。あのパーカーもちゃんと春夜先輩のお母様の想いが籠った服なんだ。
あんなにも大切にしてる様子はずっと気になってたけど、知れて良かった。俺もこれからは洗濯する時ちゃんと大切に干そう。
そして俺が春夜先輩の誕生日を知っている事を知った夏希さんは笑みを向ける。
「へぇ、あの子の誕生日知ってるんだ」
「、、そりゃあ好きな人なもんで」
「アハハッ、開き直っちゃって笑、、、、でも、君にならあの子を任せられる。と言うかあの子を大切にしてくれるね」
「それはどうでしょうか」
「私が言うんだから大丈夫。それに、あの子があんなにも信頼して大切にしているんだから」
「、、、、はい!」
なんか、付き合えって後押しされてる感覚になる。辞めて!俺付き合えるとは思ってないし!新しいプレッシャーをかけないで!
とは言える度胸がないので、心の中で仕舞い込んだ。でも信用されているって事でオールOKって事で良いな、うん、これでよし。
少しだけ心が軽くなったな。
そう思った時、背後から春夜先輩の「そろそろ帰るぞ〜」と言われた。
俺は振り返って少し離れた廊下の曲がり角で立っている先輩に大きく聞こえる様に返事をする。
夏希さんに軽く会釈をして先輩の元に駆け寄った。
今日は、色々知れて嫉妬してた事も知れてとってもラッキーな日だったな。
そう思いながら帰路に着くのであった(春夜宅に無理矢理連行)
鶏マヨを沢山作らされましたとさ。どんだけ好きなんだよ、この人は。まぁ美味しく食べる顔が好きだから作るんだけどさ(惚れた弱み&チョロい性格)
「そっか、良かった(正気を失った目)」
何回目かの撮影の休憩中用意して貰ったお弁当を食べながら撮影の忙しさや衣装の多さ、メイクや髪型の変更の大変さ、そして周りからの褒めちぎりなどの大変さを味わって、最初の春夜先輩の謝罪の意図に気付き、疲れながらも話す。
周りのスタッフさん達はまだ作業をして居たり、衣装さん?なのかな、用意されている衣装の改善点を見つけて直して居たりして大変だなって思う。
目の前で散々女子スタッフからの褒めちぎりなどに耐え切った春夜先輩の目からは正気が感じ取れなかった。
綺麗な顔だけどちょっとだけ不気味に感じる。それでも好きなのは変わらないけどね。
「もしかしてですけど、先輩ってファッションモデルやった事あるんですか?」
「、、、、あぁ。この雑誌は初めてだけどな。顔出しはせず顔以外の部分でな」
「そうだったんですか」
「撮影、大変だろ?断り切れなくて悪かった。夏希さんは一度決めたら突き通す人だし、、、、一人暮らしする時に後押ししてくれた人だから、無限には出来なくてさ」
「恩人、みたいな感じですか?」
「んまぁ、そんな感じ」
それを言われて仕舞えば俺は何も言えない。俺の好きな人であり憧れてる春夜先輩の恩人で親戚の人にとやかく言える程度胸はないし。
それに、春夜先輩が断れないって事は夏希さんがそれだけ春夜先輩に良くしているって事の証拠だって思うんだ。
ちょっとほのぼのしながら撮影中に衣装替えで色々気付いた部分があって、衣装の袖や二の腕部分や襟、裾部分などに刺繍があって花の刺繍があった。
全部色んな種類だけど、なにか同じ系統なのかな?
なので先輩に聞いて見た。
「あの、先輩」
「ん?何?」
「その、衣装にある刺繍の花って何か関連性?と言うか法則があるのかなって」
「ぁー、それ全部春の季節に咲く花だよ」
「え?ぁ、本当だ。今着ている服には先輩のは桜の花、俺のは菜の花、、でもなんで春の花??」
何でなのかは分かったけど、春の花なのか意味が分かんなくてお茶を飲みながら頭を傾ける。
春って言えば春夜先輩の名前に入っているけど、それが関連しているのかな?いや、確かに春夜先輩は夏希さんの甥だけどブランドに関係している訳ではないもんね。
と言うか、俺色々流され過ぎて、今着てる衣装のブランドのブランド名聞けてないや。
この間5秒。
「そう言えば今着てるブランドのブランド名ってお聞きしてもよろしくて?」
「何その口調笑、そういや言ってなかったな。ブランド名は【Spring Night】だよ」
「【Spring、Nig、、、、、ん?あれ?それって日本語だと、」
「、、、、そう、春の夜、春夜、俺の名前」
「えぇ!!?!?」
まさかの自分の読みが当たった事に俺は驚きが隠せず立ち上がって声を荒げてしまった。それを気にせず作業をしているスタッフさんマジ神。
じゃなくて、何で春夜先輩の名前がブランド名に?それにちょっとだけ懐かしそう、な表情をしている先輩を見てもしかしてって、答えが浮かび上がった。
俺は座っている春夜先輩を見下ろして答え合わせをしようと思う。
「もしかして、このブランドを作ったのは春夜先輩の家族、とかですか?」
「せーかい。俺の母さんが作ったやつ」
「春夜先輩のお母様が」
「ん、、ブランドを作るってなった時、当時身篭ってた俺の名前と同じにしようって決めて、俺3月生まれだろ?だから春の名前にしようってなったんだ。だから春ってのは決まってた」
「それで、春の綺麗な夜に生まれたから、春夜って名前にしたんだ。まさかそのままブランド名になるとは思わなかったけどな」
「そうだったんですか。良い名前の決め方です!!じゃあ俺は今、春夜先輩のお母様が作り上げて春夜先輩の分身であるブランドの服を着れてるって事か、、、、ふふっ、嬉しい(笑みをこぼす)」
どんな思いでブランドを作ったとか、どんな思いで名前を作ったとか、俺には分かんない。だけど、こうやって間接的にはだけど、春夜先輩のお母様からの想いを知れている気がする。
もう会う事は出来ないし会話をする事は出来ないけど、このブランドがあり続けるって事は、春夜先輩への想いはずっと残っているって事だって思うんだ。
それを考えるだけで、俺はギュッと心が締め付けられて、嬉しくなる。
俺は座って、春夜先輩の事を見つめて笑顔を向ける。
「!(耳を赤くする)、、、、ハァァ、雪羽ってズルい」
「え?ズルい?何が???」
「何でもない」
なんか、俺変な事言ったかな???
でもまぁ、此処最近春夜先輩は変な所あるまくりだったし、多分大丈夫だと思う。だって、俺からしたらファーストキスを捧げれた事が何よりもの最高のプレゼントだからね!アハッ!
それから休憩が終わって撮影が再開。俺は相変わらず女装をさせられて居て、なんか慣れて来た。
「じゃっ、雪羽君他の衣装に着替えてきて」
「は、はい!」
夏希さんに言われてスタジオを出て、控室に戻って違う衣装に着替えてから駆け足でスタジオに戻ろうと廊下の角を曲がると、スタッフさんの1人にぶつかってしまった。
ドンッ
「わっ」
「おっと、、大丈夫?って君、モデルの子?」
「は、はい。今からスタジオに」
「へぇ〜、可愛いね。いくつ〜?」
「え、15歳ですけど」
「若っ、ねぇ撮影終わったら遊びに行かね?俺奢るし」
なんか、変な方向に行ってない?俺着替えたいのに同線塞がれてるから行けないし、相手背高いからちょっと怖い。
これってナンパ?ってやつだよね?
ど、どうしよう。俺初めてだし、それに女子って勘違いされてるし!
内心アワアワしながら何とか「いや、む、無理です」って言って断るが、引く事はなくてもっと困惑しちゃう。
「良いじゃん、俺色々コネ持ってるしさ(雪羽の腕を掴む)」
「ッ、は、離して、下さい!(目を瞑る)」
「ちょっ、君うるさいよ。あれ?と言うか声、低k イテッ」
「、、、、?」
腕を掴まれて更に困惑して離して貰おうと引っ張って抵抗しても男性にはビクととしてなくて、どうしようって怖くて目を瞑ってしまった。
だけど、男性の痛み出す声が聞こえて掴まれて居た手が離された感覚になって、目を開けると男性の腕を掴んで押さえつけている春夜先輩の姿が視界に入った。
男性は「イデデデデデッ」と悲痛の声を出す姿と冷静にだけど少し怒った表情をしている春夜先輩の姿、と言うかこの光景に俺はただただ困惑してしまう。
「あの、先p」
「雪羽、怪我はないか?」
「は、はい。ないです」
「そう、、、、なら良かった。雪羽に手を出したら容赦しないからな(押さえつけていた手を離す)」
「は、はい!失礼します!!(深く頭を下げてから走り去る)」
男性スタッフさんは春夜先輩から解放されて急いでその場から立ち去った姿を見て、ちょっとだけ情けない、って思ったのはここだけの話だ。
何が起こったかを理解して、春夜先輩に助けて貰った事でホッとした。のも束の間で、お礼を伝えようと春夜先輩に近づこうと一歩踏み出した瞬間、
ギュッ
「???」
文字通りギュッと抱きしめられた。
俺は目が点になって肩にある春夜先輩の顔に視線をギュンッと目を向ける。
力強く抱き締められているって事もあるけど、何で抱き締められているのかって言うのが分からない。だけど春夜先輩なんてが小さく俺の耳元で「良かった、無事で」と言った。
その言葉を聞いたら「辞めて」とは、言えない。
だけど、度々廊下を通るスタッフさん達からニコニコして見られるのだけはとても恥ずかしい。とっても恥ずかしい。
時間が刻一刻と過ぎているのが分かって、俺は何とか顔を赤らめて春夜先輩の背中をポンポン叩いて話しかける。
「あの、先輩、そもそも、さ、撮影戻りましょう、ね?俺大丈夫ですから」
「、、、、あぁ、ごめん。気が動転してた、泣きそうな顔してたから」
「!、、、、(そっか、先輩は俺の事想ってくれて、)助けてくれてありがとうございます。先輩のおかげで無事ですから!」
「そうか、良かった。良かった、、、、さっ、戻るか」
「はい、行きましょう」
俺が泣きそうな顔してたからこんなにも心配されるのは恥ずかしかったけど、それ以上に嬉しかった。俺の事を想ってくれているって考えるだけで、心がポカポカする。
でも、あんなにも悲しそうな顔をして動揺している先輩の姿を見るのは初めてだった。
そんなにも俺の事を大切に想ってくれて居るんだってのはちゃんと伝わってくる。
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
1時間ぶっ通しで撮影をし、次号に出す雑誌に出す分の写真は撮り終えれた。
着た服は後日プレゼントして貰えるらしく夏希さんと連絡先を交換したが、交換してすぐに自分の性別を思い出して一旦後悔した。
服に着替えて控室に出て春夜先輩の所に行こうと思ったら背後から夏希さんに声をかけられて足を止められた。
「今日はありがとう、本当に助かった。雪羽君が居なかったらどうなってた事やら」
「いえいえ、全然。楽しかっですし、初めての事だからかでドキドキしましたし」
「それなら良かった。んねぇ、春夜の事どう思う?」
「え?」
「いや、言い方が悪かったか。春夜の何処が好き?」
「、、、、え!?」
夏希さんからの鋭い言葉に俺は動揺してしまって一歩後退ってしまう。
何でバレた!?誰にもバレないようにしたはずなのに!
と、頭ん中で考え込んでしまっている。
完全に動揺が顔にも動きにも出てしまっていてそれを見て笑みをこぼしている夏希さん。
バレた事への動揺は勿論だけど、まさか他の人には分かりやすい対応だったのかもしれない、と不安になって来た。
「まさか当たってるとは笑、、、、分かるよ。春夜を見てる目が完全に恋してる子の目だから」
「、、、、」
「安心して。この事は春夜には言わない」
「ありがとうございます」
「、、、、〈と言うか、あの子は、あの感じ、、、うん〉」
「?」
今、なんかボソッと何か言ったような??
でもまぁ、春夜先輩に言われないって約束してくれているので、それはひとまず安心するべき事案だな。
あと、今後他の人にもバレない様にしようと一段と引き締めようと決意する。
「何でもない。あと、私は男同士の恋愛とかに言い方は悪いと思うけど偏見はないからね」
「!」
「私も女性と付き合った事あるし。もし男同士とかで悩んでるんだったら、1つ言っておく。好きに性別は関係ないからね」
「、、、、はい」
「よし」
夏希さんからの言葉は深く胸に刺さった。ずっと悩んでいた。
男の人を好きになるなんて初めてで、気持ちなんて伝える気はないけどもしバレたら、気持ち悪いって思われる可能性があるって。
でも、好きに性別は関係ない、って言葉はその通りだって思った。
ずっと偏見の目で自分を見ていたのは俺自身なんだって気付いた。
「んで、それで何だけどさ、あの子さ学校でいつも茶色のパーカー着てない?」
「え?、ぁー、そう言えば着てますね、毎日」
「アレね、私の姉さん、あの子の母親がデザインした服なんだ」
「え、、、、」
「あの子が6歳の時にデザインしたんだけど、結局発売前に死んじゃって完成しなかったから発売はしなかったんだ。アレは、試作品第一号。姉さんは死ぬ間際まで7着全部に刺繍をしてた」
「、、、、だから、刺繍が春夜先輩の誕生花だったのか」
学校で見る春夜先輩のパーカーの刺繍が毎日違って居たけど、何でだろうって思ってた疑問が此処で回収されるとは。
ある意味伏線回収みたいなものだよな。
でも、そっか。あのパーカーもちゃんと春夜先輩のお母様の想いが籠った服なんだ。
あんなにも大切にしてる様子はずっと気になってたけど、知れて良かった。俺もこれからは洗濯する時ちゃんと大切に干そう。
そして俺が春夜先輩の誕生日を知っている事を知った夏希さんは笑みを向ける。
「へぇ、あの子の誕生日知ってるんだ」
「、、そりゃあ好きな人なもんで」
「アハハッ、開き直っちゃって笑、、、、でも、君にならあの子を任せられる。と言うかあの子を大切にしてくれるね」
「それはどうでしょうか」
「私が言うんだから大丈夫。それに、あの子があんなにも信頼して大切にしているんだから」
「、、、、はい!」
なんか、付き合えって後押しされてる感覚になる。辞めて!俺付き合えるとは思ってないし!新しいプレッシャーをかけないで!
とは言える度胸がないので、心の中で仕舞い込んだ。でも信用されているって事でオールOKって事で良いな、うん、これでよし。
少しだけ心が軽くなったな。
そう思った時、背後から春夜先輩の「そろそろ帰るぞ〜」と言われた。
俺は振り返って少し離れた廊下の曲がり角で立っている先輩に大きく聞こえる様に返事をする。
夏希さんに軽く会釈をして先輩の元に駆け寄った。
今日は、色々知れて嫉妬してた事も知れてとってもラッキーな日だったな。
そう思いながら帰路に着くのであった(春夜宅に無理矢理連行)
鶏マヨを沢山作らされましたとさ。どんだけ好きなんだよ、この人は。まぁ美味しく食べる顔が好きだから作るんだけどさ(惚れた弱み&チョロい性格)
