■第五階層・帰還直前
初日の成果としては上出来だ。
裂け目の奥から吹き出す魔力は、冷気を帯び始めていた。
そろそろ、帰って寝よう。
白い霧が地面を這う。
ハルト「ん?急に寒くなったような……」
温度が急激に下がる。
吐く息が白く染まった。
(……冷気?)
最初に現れたのは――
青白い皮膚を持つ小鬼。
体表には氷の結晶。
目は凍てつく蒼。
ハルト「アイスゴブリン……!」
ハルト「これは何体いるんだ?!」
訓練用召喚陣では呼び出されない上位環境種。
口を開いた瞬間、
氷の礫が弾丸のように放たれた。
「身体強化」
視界が加速する。
速い!さっきレベルが上がったからか
横跳びで回避。
石壁に命中した氷弾が瞬時に霜柱を広げた。
(直撃すれば凍結する……!)
踏み込み。
喉元へ刃を滑らせる。
だが氷殻が刃を滑らせた。
(なら――)
「ファイアボール」
至近距離で炸裂。
氷殻が蒸発し、肉が露出する。
「フレイムランス!」
炎槍が胸を貫き、
内部から氷を溶かし尽くした。
霧散。
だが休む間もなく、
二体目、三体目が襲ってくる。
ハルト「動きが速い!囲まれる前に倒さなければ!」
何体倒しただろうか、通路にはやまほど死体が転がっている。
ハルト「これで最後!フレイムランス!!」
ハルト「やっと倒したぁ、レベルUPもして新しく使えるのはファイヤーアロー、フレイムバースト、焔牢、ヘルフレア、結界、あと…強そうな短剣をゲットしたな」
ハルト「鑑定!この短剣を持つだけで足が速くなりこれで斬りつけるとその場所が凍って追加ダメージが入る?!この短剣強いな」
突然、地鳴りが通路を震わせた。
ズシン……
ズシン……
姿を現したのは、
二メートルを超える巨体。
灰色の皮膚。
筋肉の塊のような腕。
巨大な鉄斧を引きずる魔物。
「ハイオーク……!」
本来は前線要塞級の脅威。
訓練施設に出る存在ではない。
鉄斧が振り上げられる。
空気が唸る。
(受ければ終わる)
「身体強化・最大」
世界が静止したかのように遅くなる。
振り下ろされる刃を紙一重で回避。
床が砕ける。
破片が弾け飛ぶ。
懐へ滑り込み、
腱を狙って斬撃。
だが筋肉が分厚すぎる。
刃が止まり凍結しダメージが入る
咆哮。
肘打ちが迫る。
衝撃。
俺は後方へ弾き飛ばされた。
(重い……!)
肺の空気が押し出される。
すぐに体勢を立て直す。
魔力を集中。
「ヘルフレア!」
ハイオークが炎に飲み込まれる。
肉が焼け、ハイオークが膝をついた。
そこへ――
首筋へ全力の斬撃。
巨体が崩れ落ち、霧へと変わる。
呼吸が荒くなる。
魔力消費が激しい。
だが、異常はまだ終わらない。
――冷気が消えた。
代わりに、
温度が存在しないような静寂が広がる。
音が遠のく。
魔力の流れが歪む。
足元に影が伸びた。
ゆらり、と。
床から立ち上がるように現れたのは、
黒い鎧を纏った亡霊。
兜の奥に光る蒼白の灯。
身体は半透明。
足音はない。
「……ゴーストナイト」
霊体型魔物。
物理攻撃無効。
上級生でも対処を誤る相手。
亡霊の剣が静かに持ち上がる。
振り下ろされた瞬間――
空気ごと斬り裂かれた。
「……っ!」
後方へ跳ぶ。
斬撃の軌跡が石床を無音で切断する。
(物理は通らない)
(なら魔力干渉で――)
「鑑定」
視界に情報が流れ込む。
■ゴーストナイト
属性:霊体
弱点:高密度魔力・浄化属性
核:胸部霊核
(核を焼き切る)
亡霊が滑るように迫る。
空気が凍るような殺気。
俺は魔力を圧縮する。
これまで以上に、精密に。
指先へ集中。
「フレイムランス」
放たれた炎槍は、
一直線に霊体の胸部へ突き刺さった。
一瞬の静止。
次の瞬間――身体強化を使い一気に距離を詰める
核にアイスナイフを突き刺し割れる。
内部から光が弾ける。
亡霊が崩壊し、
蒼い燐光となって消えていった。
しかし、これだけでは終わらない。
今度は五体のゴーストナイトが柱の陰から姿を現した。
ハルト「なに?!こいつら、まさか……」
そうそこには大盾をもった騎士と剣をもつ騎士、他にも杖や弓矢を持っているものがいた。
ハルト「魔物なのにまるで冒険者パーティーのように連携を取るのか?!」
ハルト「けどもう少し早いほうが良かったかもな、さっき倒した騎士がナイトキラーという短剣を落としたんだよ。盾や鎧の敵に攻撃が弾かれてもそのダメージの40%がお前達自身に通る!」
ハルト「さあ、始めようか」
四体の亡霊騎士が、音もなく間合いを詰めてくる。
前衛に立つのは、大盾を構えた重装の騎士。
幅広の盾面には無数の傷跡が刻まれ、霊体でありながら重厚な圧力を放っている。
その左右に、剣を携えた騎士。
後方には、杖を掲げる術士型。
さらに一歩下がった位置に、弓を引き絞る射手。
完全な戦闘陣形。
亡霊のはずなのに、呼吸を合わせるかのように魔力の流れが同期している。
(本当にパーティーだと……?)
冷たい殺気が空間を満たす。
盾騎士が一歩踏み出した瞬間――
弓兵の矢が放たれた。
音もなく空気を裂く霊矢。
「身体強化!」
反射的に身体を捻る。
矢が頬を掠め、背後の石柱を音もなく貫通した。
直後、
術士の杖が蒼白に発光する。
床一面に魔法陣が浮かび上がる。
(拘束術式……!)
足元の影が鎖のように絡みつこうとする。
跳ぶ。
同時に剣騎士二体が左右から斬り込む。
挟撃。
逃げ場がない。
俺は逆に前へ踏み込んだ。
盾騎士の懐へ滑り込む。
「ファイアボール!」
至近距離で爆炎。
だが――
炎は盾に吸い込まれるように拡散し、霊体を焼き切れない。
(やはり防御特化……!)
盾が押し出される。
質量のないはずの衝撃が全身を揺らす。
背後から剣閃。
回避が間に合わない。
肩口が裂ける。
冷たい痛み。
「ヒール!」
淡い光が傷を包む。
だが魔力残量が危険域に近づいている。
弓兵が次の矢を番える。
術士の魔力が収束する。
剣騎士が間合いを詰める。
完全に連携している。
(まともに相手すれば削り殺される)
短剣を握り直す。
ナイトキラー。
霊体すら震わせる冷気が刃に宿る。
盾騎士が突進してくる。
防御壁のような圧力。
俺は真正面から踏み込んだ。
「フレイムバースト!」
足元で爆炎を解放。
爆圧で自らを加速させる。
盾に斬撃。
刃は弾かれる。
――だが。
盾騎士の霊体に亀裂が走った。
反射ダメージ。
霊核が揺らぐ。
「効いてるな」
盾騎士がよろめいた瞬間、
身体強化を最大出力。
視界が静止する。
懐へ潜り込み――
霊核へ短剣を突き立てる。
砕ける光。
盾騎士、消滅。
だが次の瞬間、
剣騎士が交差斬撃を放つ。
防ぎきれない。
胸元が裂ける。
血が滲む。
呼吸が乱れる。
術士の魔法陣が完成する。
空間が歪む。
圧縮された霊撃が放たれる。
「結界!」
半透明の障壁が展開。
衝撃が炸裂。
結界に亀裂が走る。
二撃目は耐えられない。
弓兵の矢が飛来。
結界が砕け散る。
矢が脇腹に刺さる。
「ぐっ……!」
膝が落ちかける。
(立て……まだ終わってない)
矢を引き抜き、即座にヒール。
視界が暗く揺れる。
魔力が尽きかけている。
剣騎士が迫る。
刃が振り下ろされる。
俺は前へ踏み込んだ。
ナイトキラーで受け止める。
火花の代わりに蒼白の光が散る。
もう一体が背後へ回る。
挟撃。
(ここが勝負だ)
魔力を極限まで圧縮。
「焔牢!!」
爆発的に広がる炎の檻が亡霊二体を閉じ込める。
霊体が焼かれ、動きが鈍る。
その隙に――
踏み込み。
急所突き。
二体同時に霊核破壊。
光が弾け、霧散した。
残るは術士と弓兵。
だが距離を取られている。
弓が引き絞られる。
術式が完成する。
(同時に来る――)
呼吸を止める。
魔力を最後の一滴まで絞る。
「フレイムランス」
炎槍を二連射。
一射目が矢を焼き落とし、
二射目が術士の胸部を貫通。
霊核崩壊。
残った弓兵が後退する。
逃がすか。
身体強化。
限界を超えた踏み込み。
距離を一瞬で詰める。
ナイトキラーを振り抜く。
霊核が砕け散る。
最後の亡霊が消えた。
静寂。
完全な静寂。
俺はその場に膝をついた。
呼吸が荒い。
魔力は空。
指先が震える。
だが――
裂け目の脈動が、ゆっくりと弱まっていく。
赤黒い光が収束し、
やがて静かに消えた。
異常召喚は終息したらしい。
長い戦闘の余韻だけが残る。
俺は壁に背を預け、天井を見上げた。
(……本当に初日かよ)
それでも、生き残った。
ギリギリで。
だが確実に――
俺は、限界の一歩先へ踏み込んだ。
帰還の階段は、すぐそこにある。
静寂。
……だが。
床の裂け目は、まだ広がっている。
赤黒い光が脈打つ。
まるで、
次の“何か”が現れるのを待つかのように。
俺は息を整えながら、それを見つめた。
(これはただの暴走じゃない)
胸の奥で、
赤黒い揺らぎが
わずかに脈動した。
ハルト「もう限界……」
意識が飛びそうななか、目の前に画面のようなものが現れた
ハルト「これは…なん…だ」
ここで俺の意識は途絶えた。
初日の成果としては上出来だ。
裂け目の奥から吹き出す魔力は、冷気を帯び始めていた。
そろそろ、帰って寝よう。
白い霧が地面を這う。
ハルト「ん?急に寒くなったような……」
温度が急激に下がる。
吐く息が白く染まった。
(……冷気?)
最初に現れたのは――
青白い皮膚を持つ小鬼。
体表には氷の結晶。
目は凍てつく蒼。
ハルト「アイスゴブリン……!」
ハルト「これは何体いるんだ?!」
訓練用召喚陣では呼び出されない上位環境種。
口を開いた瞬間、
氷の礫が弾丸のように放たれた。
「身体強化」
視界が加速する。
速い!さっきレベルが上がったからか
横跳びで回避。
石壁に命中した氷弾が瞬時に霜柱を広げた。
(直撃すれば凍結する……!)
踏み込み。
喉元へ刃を滑らせる。
だが氷殻が刃を滑らせた。
(なら――)
「ファイアボール」
至近距離で炸裂。
氷殻が蒸発し、肉が露出する。
「フレイムランス!」
炎槍が胸を貫き、
内部から氷を溶かし尽くした。
霧散。
だが休む間もなく、
二体目、三体目が襲ってくる。
ハルト「動きが速い!囲まれる前に倒さなければ!」
何体倒しただろうか、通路にはやまほど死体が転がっている。
ハルト「これで最後!フレイムランス!!」
ハルト「やっと倒したぁ、レベルUPもして新しく使えるのはファイヤーアロー、フレイムバースト、焔牢、ヘルフレア、結界、あと…強そうな短剣をゲットしたな」
ハルト「鑑定!この短剣を持つだけで足が速くなりこれで斬りつけるとその場所が凍って追加ダメージが入る?!この短剣強いな」
突然、地鳴りが通路を震わせた。
ズシン……
ズシン……
姿を現したのは、
二メートルを超える巨体。
灰色の皮膚。
筋肉の塊のような腕。
巨大な鉄斧を引きずる魔物。
「ハイオーク……!」
本来は前線要塞級の脅威。
訓練施設に出る存在ではない。
鉄斧が振り上げられる。
空気が唸る。
(受ければ終わる)
「身体強化・最大」
世界が静止したかのように遅くなる。
振り下ろされる刃を紙一重で回避。
床が砕ける。
破片が弾け飛ぶ。
懐へ滑り込み、
腱を狙って斬撃。
だが筋肉が分厚すぎる。
刃が止まり凍結しダメージが入る
咆哮。
肘打ちが迫る。
衝撃。
俺は後方へ弾き飛ばされた。
(重い……!)
肺の空気が押し出される。
すぐに体勢を立て直す。
魔力を集中。
「ヘルフレア!」
ハイオークが炎に飲み込まれる。
肉が焼け、ハイオークが膝をついた。
そこへ――
首筋へ全力の斬撃。
巨体が崩れ落ち、霧へと変わる。
呼吸が荒くなる。
魔力消費が激しい。
だが、異常はまだ終わらない。
――冷気が消えた。
代わりに、
温度が存在しないような静寂が広がる。
音が遠のく。
魔力の流れが歪む。
足元に影が伸びた。
ゆらり、と。
床から立ち上がるように現れたのは、
黒い鎧を纏った亡霊。
兜の奥に光る蒼白の灯。
身体は半透明。
足音はない。
「……ゴーストナイト」
霊体型魔物。
物理攻撃無効。
上級生でも対処を誤る相手。
亡霊の剣が静かに持ち上がる。
振り下ろされた瞬間――
空気ごと斬り裂かれた。
「……っ!」
後方へ跳ぶ。
斬撃の軌跡が石床を無音で切断する。
(物理は通らない)
(なら魔力干渉で――)
「鑑定」
視界に情報が流れ込む。
■ゴーストナイト
属性:霊体
弱点:高密度魔力・浄化属性
核:胸部霊核
(核を焼き切る)
亡霊が滑るように迫る。
空気が凍るような殺気。
俺は魔力を圧縮する。
これまで以上に、精密に。
指先へ集中。
「フレイムランス」
放たれた炎槍は、
一直線に霊体の胸部へ突き刺さった。
一瞬の静止。
次の瞬間――身体強化を使い一気に距離を詰める
核にアイスナイフを突き刺し割れる。
内部から光が弾ける。
亡霊が崩壊し、
蒼い燐光となって消えていった。
しかし、これだけでは終わらない。
今度は五体のゴーストナイトが柱の陰から姿を現した。
ハルト「なに?!こいつら、まさか……」
そうそこには大盾をもった騎士と剣をもつ騎士、他にも杖や弓矢を持っているものがいた。
ハルト「魔物なのにまるで冒険者パーティーのように連携を取るのか?!」
ハルト「けどもう少し早いほうが良かったかもな、さっき倒した騎士がナイトキラーという短剣を落としたんだよ。盾や鎧の敵に攻撃が弾かれてもそのダメージの40%がお前達自身に通る!」
ハルト「さあ、始めようか」
四体の亡霊騎士が、音もなく間合いを詰めてくる。
前衛に立つのは、大盾を構えた重装の騎士。
幅広の盾面には無数の傷跡が刻まれ、霊体でありながら重厚な圧力を放っている。
その左右に、剣を携えた騎士。
後方には、杖を掲げる術士型。
さらに一歩下がった位置に、弓を引き絞る射手。
完全な戦闘陣形。
亡霊のはずなのに、呼吸を合わせるかのように魔力の流れが同期している。
(本当にパーティーだと……?)
冷たい殺気が空間を満たす。
盾騎士が一歩踏み出した瞬間――
弓兵の矢が放たれた。
音もなく空気を裂く霊矢。
「身体強化!」
反射的に身体を捻る。
矢が頬を掠め、背後の石柱を音もなく貫通した。
直後、
術士の杖が蒼白に発光する。
床一面に魔法陣が浮かび上がる。
(拘束術式……!)
足元の影が鎖のように絡みつこうとする。
跳ぶ。
同時に剣騎士二体が左右から斬り込む。
挟撃。
逃げ場がない。
俺は逆に前へ踏み込んだ。
盾騎士の懐へ滑り込む。
「ファイアボール!」
至近距離で爆炎。
だが――
炎は盾に吸い込まれるように拡散し、霊体を焼き切れない。
(やはり防御特化……!)
盾が押し出される。
質量のないはずの衝撃が全身を揺らす。
背後から剣閃。
回避が間に合わない。
肩口が裂ける。
冷たい痛み。
「ヒール!」
淡い光が傷を包む。
だが魔力残量が危険域に近づいている。
弓兵が次の矢を番える。
術士の魔力が収束する。
剣騎士が間合いを詰める。
完全に連携している。
(まともに相手すれば削り殺される)
短剣を握り直す。
ナイトキラー。
霊体すら震わせる冷気が刃に宿る。
盾騎士が突進してくる。
防御壁のような圧力。
俺は真正面から踏み込んだ。
「フレイムバースト!」
足元で爆炎を解放。
爆圧で自らを加速させる。
盾に斬撃。
刃は弾かれる。
――だが。
盾騎士の霊体に亀裂が走った。
反射ダメージ。
霊核が揺らぐ。
「効いてるな」
盾騎士がよろめいた瞬間、
身体強化を最大出力。
視界が静止する。
懐へ潜り込み――
霊核へ短剣を突き立てる。
砕ける光。
盾騎士、消滅。
だが次の瞬間、
剣騎士が交差斬撃を放つ。
防ぎきれない。
胸元が裂ける。
血が滲む。
呼吸が乱れる。
術士の魔法陣が完成する。
空間が歪む。
圧縮された霊撃が放たれる。
「結界!」
半透明の障壁が展開。
衝撃が炸裂。
結界に亀裂が走る。
二撃目は耐えられない。
弓兵の矢が飛来。
結界が砕け散る。
矢が脇腹に刺さる。
「ぐっ……!」
膝が落ちかける。
(立て……まだ終わってない)
矢を引き抜き、即座にヒール。
視界が暗く揺れる。
魔力が尽きかけている。
剣騎士が迫る。
刃が振り下ろされる。
俺は前へ踏み込んだ。
ナイトキラーで受け止める。
火花の代わりに蒼白の光が散る。
もう一体が背後へ回る。
挟撃。
(ここが勝負だ)
魔力を極限まで圧縮。
「焔牢!!」
爆発的に広がる炎の檻が亡霊二体を閉じ込める。
霊体が焼かれ、動きが鈍る。
その隙に――
踏み込み。
急所突き。
二体同時に霊核破壊。
光が弾け、霧散した。
残るは術士と弓兵。
だが距離を取られている。
弓が引き絞られる。
術式が完成する。
(同時に来る――)
呼吸を止める。
魔力を最後の一滴まで絞る。
「フレイムランス」
炎槍を二連射。
一射目が矢を焼き落とし、
二射目が術士の胸部を貫通。
霊核崩壊。
残った弓兵が後退する。
逃がすか。
身体強化。
限界を超えた踏み込み。
距離を一瞬で詰める。
ナイトキラーを振り抜く。
霊核が砕け散る。
最後の亡霊が消えた。
静寂。
完全な静寂。
俺はその場に膝をついた。
呼吸が荒い。
魔力は空。
指先が震える。
だが――
裂け目の脈動が、ゆっくりと弱まっていく。
赤黒い光が収束し、
やがて静かに消えた。
異常召喚は終息したらしい。
長い戦闘の余韻だけが残る。
俺は壁に背を預け、天井を見上げた。
(……本当に初日かよ)
それでも、生き残った。
ギリギリで。
だが確実に――
俺は、限界の一歩先へ踏み込んだ。
帰還の階段は、すぐそこにある。
静寂。
……だが。
床の裂け目は、まだ広がっている。
赤黒い光が脈打つ。
まるで、
次の“何か”が現れるのを待つかのように。
俺は息を整えながら、それを見つめた。
(これはただの暴走じゃない)
胸の奥で、
赤黒い揺らぎが
わずかに脈動した。
ハルト「もう限界……」
意識が飛びそうななか、目の前に画面のようなものが現れた
ハルト「これは…なん…だ」
ここで俺の意識は途絶えた。

