大魔道士が転生先で最強の暗殺者になるまで

翌日、メイドと共に馬車に乗り教会へ足を運んだ。教会の前には誰もいなく、最初に着いたようだ。
会場の時間になるまで少し待っていよう。
数分後、僕達とは反対方向から馬車が来るのが見えた。あの紋章は……ルーナ家だ!
メイド「あれはルーナ家の馬車ですね。おそらく乗っているのはルーナ・スカーレットですね。」
馬車が静かに停まり、扉が開く。
最初に降りてきたのは護衛の騎士。
続いて、深紅の髪を揺らしながら一人の少女が姿を現した。
朝日に照らされ、その髪は炎のように輝いている。
いつの間にか何台もの馬車が停まっており、何人か護衛を連れて教会に集まっていた。
しかし、ルーナ・スカーレットだけ漂う気配が違う。
(魔力の密度が高い……)
無意識に息を呑む。
少女の周囲の空気がわずかに震えているように感じた。
制御されきった強大な魔力。
前世の経験が警鐘を鳴らす。
只者ではない。
メイドが小さく頭を下げる。
メイド「ルーナ様、おはようございます」
少女は静かに頷いた。
その紅い瞳が、こちらへ向けられる。
一瞬。
本当に一瞬だけ。
彼女の視線が鋭く細められた。
(……今、何かを探るような)
そして彼女はゆっくりと口を開いた。
スカーレット「あなたがレオン家の三男、ハルト?」
透き通る声だった。
ハルト「はい。レオン・ハルトです」
スカーレット「ルーナ・スカーレットよ」
短い名乗り。
だが王国屈指の名門、ルーナ家の名は知らぬ者がいない。
火属性魔法の名門。
王国最強の魔術師や騎士を代々輩出してきた家系だ。
スカーレット「今日が再測定なのね」
ハルト「はい」
スカーレット「私もよ」
会話はそれだけ。
だが沈黙は気まずくない。
むしろ張り詰めた静けさ。
彼女は俺から視線を外すと、教会の扉を見つめた。
そして、小さく呟いた。
スカーレット「……不思議」
ハルト「え?」
スカーレット「いいえ、独り言」
そう言って口を閉ざす。
だがその横顔には、わずかな困惑が浮かんでいた。
教会の扉が開く。
白い法衣を纏った神官が姿を見せた。
神官「適性測定を受ける子供たちですね。中へどうぞ」
俺たちは並んで中へ入る。
高い天井。
差し込む光。
中央に据えられた巨大な水晶。
前回の小さな測定水晶とは比べ物にならない。
(これが正式な測定装置か)
胸の鼓動がわずかに速くなる。
緊張ではない。
確認したい。
自分の限界を。
自分の可能性を。
そして――
自分の中にある「何か」を。
神官が静かに告げた。
「まずは、ルーナ・スカーレット」
ルーナが前へ進む。
手を水晶へ伸ばした瞬間――
轟音のような魔力の奔流が空間を満たした。
水晶が眩い紅光を放つ。
熱を帯びた空気が頬を撫でる。
神官の目が見開かれた。
「な……これは……!」
光は天井近くまで柱のように立ち上り、
やがて静かに収束する。
測定結果を見た神官が震える声で告げた。
神官「火属性適性・レベル38……魔力量、482……状態、健康」
教会内が静まり返る。
当たり前だ!普通ならレベル25、魔力量200あればいいほうだぞ!?
ルーナは何事もなかったかのように手を下ろした。
そして――
振り返り、俺を見る。
その瞳は、試すように細められていた。
スカーレット「次はあなたね、ハルト」
神官の声が響く。
俺はゆっくりと水晶の前へ歩み出る。
大丈夫だ、今日のために毎日魔術の練習をしてきた。
胸の奥で、小さな違和感が脈打つ。
――もし、この水晶がすべてを映し出すのなら。
俺は手を伸ばした。
その瞬間、
水晶の奥底で――
赤黒い何かが、微かに蠢いた。
神官「何だこれは?!」
水晶を覗くとそこには…………
蜈ィ螻樊€ァ驕ゥ諤ァ・レベル18……魔力量137……状態、蜻ェ縺�
と書かれていた。