今日も、明日も。

決して攻める言い方をしたつもりはないが私の質問が意外だったのか、彼は驚いたように栗色の瞳を見開いた。 
「えっ、なんだよ。そんなことが気になってたのか。あいつはほら、ああいう性格だし、俺より年上だからさ」
「だったら尚更、呼び捨てにしない方がいいと思いますけど」
「まあそうなんだけど、本人が呼び捨てで良いって言ったんだし、べつに構わねえだろ」
「そう、ですよね」
まだ少し心に引っかかっていたが、それ以上はなにも言わなかった。
椅子から静かに立ち上がり、彼の方を向いて頭を垂れる。
「今日は急に無理言ってすみません。話を聞いてくださり、ありがとうございました」
すると彼も椅子から腰を上げて私の前に立つ。
誰が見ても優しくて柔らかい陽だまりのような微笑みを浮かべた優斗さんと視線が合い、顔全体が熱くなっていく。心臓の音は前ほど急速にはならず、トクトクと心地よく速まるのを感じる。
「そんなかしこまらなくても良いから」
「でも年上に無礼な言葉遣いをしていると両親にばれたら、」
「その時は「俺が許可しました」って言うから。大丈夫、俺と一緒にいる時だけは自然体でいてほしい」
そんなことを言われるのは初めてで、思わず目頭が熱くなる。いっそ素直に泣いてしまおうか。そんな考えが一瞬脳裏を過ったことに、自分が驚いた。
泣かないかわりに、「……うん」と頷く。
強風が窓を叩く音がし、いかにも冬の寒さを感じさせた。だけど優斗さんといると世界が温かくなる。