今日も、明日も。

『ええ、お母さんとお父さんは元気よ。どう仕事の方は。もうきちんと就職して、どこかの会社に定職しているの?』
「あ、ううん……今は家の近くのコンビニで働いてる」
私が答えると、スマホの受話器から小さなため息が聞こえた。
『もう24なんだから、いい加減フリーターはやめなさい。それか女性なんだから、そろそろ誰かいい人と結婚するか、』
「あー……うん。考えてるよ」
身体が重く沈んでいくような気がして、座ったまま脚を組み直した。
『なんならお父さんの仕事先の人でいい人がいないか紹介してもらおうか? 言っとくけど男性と同棲はしないでよ。不誠実だから』
「分かってるよ」
暗くもやもやしたものが心に広がって気持ち悪い。それから暫く母と会話をし、電話を切った。
両親の教育方針や家庭方針は同級生に比べて少し古い、というか厳格だった。そのためか私は中学時代は浮いてしまっていたこともある。
私が「周りと違うし浮くのは嫌」と言っても、母は「なに言ってるの、うちが普通なのよ」と取りあってくれなかった。
周囲と価値観が違うとはっきり分かったのは高校生の時だった。当時のクラスメイトの感覚がおかしかったのか、それとも私が古風に育てられたのか現在も解らないのだが。
『杏奈ちゃんって山田君のこと好きなの?』
目を閉じれば、暇があれば今も昨日のことのように鮮明に思い出す同級生の声。
『でもあんまり喋ってないし、仲よくないよね?』
『それより愛子の方が同じクラスだし頻繁に喋ってるし、趣味も一緒だし』
『えー、もうそれ付き合ってるんじゃない!?』