今日も、明日も。

十一月に入ってからは更に秋が深まり、徐々に冬が近づく気配を感じさせる冷たい風が吹いていた。
この時間の住宅街は人通りが少なく、静まり返った路に足音が響く。
歩きだして数分、お互い無言だったが先に沈黙を破ったのは日川さんだった。
「今日は昨日と比べて寒いなぁ」
「ええ。風が冷たいですね」
「秋川ちゃんは洗剤は普段どこで買ってるの?」
「家の近場のスーパーです。銘柄に特にこだわりはないので」
本当は日川さんと出逢うまでは洗濯剤や柔軟剤には興味がなかった。安ければいいや、とずっと無沈着だった。そんな本音は胸の奥に秘める。
「そっか。じゃあ良い洗剤や柔軟剤が見つかればいいな」
優しく微笑む彼の表情を見ると、寒いはずなのに胸と顔が熱くなっていく。

それからたわいない会話をしながら歩くと、彼が目的地だと言うホー厶センターに着いた。
「コインランドリーと俺が住んでるアパートから近いから、たまに来るんだよ」
「……私は初めて来ました」
住宅街の中にある割にはそこそこ大きな店舗に、私は看板を見上げた。
緑色の下地に『カヨンズ』と白文字で書かれてあるシンプルな看板だが、日川さんのコインランドリーのような清潔さを感じさせる。目を凝らすと斜め左端にコインランドリーの文字があった。