今日も、明日も。

その表情と、明るくも穏やかで春の陽だまりのような、ゆったりとした耳に心地よく、いつまでも聞いていたくなるような声に心をもっていかれそうになるが、日川さんを一秒でも長く留めたくて、必死に次の言葉を探す。
胸に突き上げる切なさに心臓がひねられたように痛む。ペットボトルを両手でぎゅっと抱きしめると、鼓動がドクドクと脈打つのがわかる。
「あ、あの。前から思ってたのですが、いつもお店の中が綺麗で清潔感があって……思わず毎日来たくなります」
数日前に(気の迷いで)スマホのAI機能を使って検索した際に出てきた『彼を虜にする方法 自営業編』の口説き落とす文句が脳裏を過ぎり、咄嗟に口にした。
スマホの機能に頼るのは私としてはあまり気が進まなかったが、焦るあまり衝動的に声にしてしまった。
すると日川さんは「そ、そう?」と頭を片手で掻きながら照れくさそうに笑った。
「いや〜、そう言ってくれると嬉しいな」
「あと、コインランドリーの柔軟剤の匂いが好きなんですが、こういう所はどんな、」
私が言いかけた、その時。
「あら優斗くん、こんにちは。この間はありがとね」
自動扉が開いてすぐ、四十代後半ぐらいのおばさんが彼に話しかける。
「優斗くんが教えてくれたおかげで、静電気が軽減されたわ。もう今の時期は嫌ねぇ」
彼女はぽってりと肉がついた頬に片手をあて、首を傾げて日川さんを見上げながら微笑んだ。