今日も、明日も。

「あ、待って秋川ちゃん」
店の出入り口で日川さんに呼び止められ、泣きたい気持ちが胸にどっとこみ上げてくる。気を抜けば涙が浮かびそうになるのを悟り、両手をそっと強く握りしめた。
「なにか御用ですか?」
「いや。毎日来てもらって感謝しているからさ、」
「……毎日ではないですよ」
彼に聞こえないよう小声でぽつりと呟く。仕事が遅番の日は、最近はコインランドリーに来ていなかったが、日川さんは知る由もない。 
「それで、お礼になるかどうか分かんないけど」
言いながら彼は片手を首の後ろに遣り、空いたもう片方の手で私にペットボトルを差し出した。
ラベルは緑色に白い文字で『あなたのためのお茶』と書かれてある。
ラベルのうたい文句を見た途端、私の頬に熱が集中してじわじわと熱くなっていくのを感じる。
「ありがとうございます。すごく嬉しいです」
思わず彼の顔から目を逸らしそうになったがなんとか堪えて、日川さんの瞳を見る。
すると彼は茶色い優しそうな瞳を細めて微笑んだ。
「喜んでもらえて良かった。明日からまたよろしくな」