季節は、秋へと移り変わっていた。
それは、突然の訪問だった。
本日は、ルーナがこの屋敷に来て、初めて訪問者が来た。
その訪問者は、なんとエミリオでした。
しかし、残念なことにシャルルは、仕事の都合で前日から留守にしていたのでした。
「仕事の用事で留守にしてるとは、知らずに来てしまったよ」
応接室で、ルーナとエミリオが話しています。
ルーナは、二人という状況に緊張しながらもエミリオと話をしていました。
徐々に話していくにつれて、段々と慣れていき、緊張が和らいだようで、最初よりも話せるようになっていった。
最初は、エミリオ様と呼んでいたが、それだと何だか偉そうに感じると、エミリオ本人に言われてしまい、エミリオさんと呼ぶようになった。
「そうだったのですね。突然いらしたので驚きました」
「シャルルに良いものが入ったから持っていてやろうと思って、それに、お前にも久しぶりに会いたいと思ってたしな」
エミリオは、照れ臭そうにルーナの顔をうかがいながら話す。
エミリオさんは、何というか素直に気持ちを伝えるのが苦手な性格なのかもしれないと感じた。
「そうだったんですか。私もまたエミリオさんにお会いしたいと思っていました」
「そうか。に、荷物はここに置いていくからな」
エミリオは、ソファに置いていた荷物をテーブルの上に置く。
「あのエミリオさん、お会いしたら聞きたいと思っていたことがありまして……」
「何でも聞いてくれていいぞ」
ルーナは、思いきって質問をする。
「エミリオさんは、シャルル様とどういう経緯で仲良くなられたのですか?」
もしかして、聞いていい質問ではなかったのではと後が押し寄せる。
緊張の数秒が流れたあと、エミリオは特に気にした様子もなく話し出した。
「何だそんなことか。あれはまだ俺らが子供だった頃、確か十二の時。シャルルと俺は森の中で出会ったんだ」
「森ですか?」
ルーナは、意外な場所での出会いに拍子抜けしてしまった。
「そう、森の中」
エミリオは、シャルルとの昔懐かしい記憶を話し出したのでした。
「俺は、商人の家に育ったいわゆる平民として生きてきた。俺だって魔法界に生まれたから魔法が使えた。でも、上級の魔法は平民は使ってはいけないという法があった。それが悔しかった。貴族の奴らだけが、上級の魔法を使えるなんておかしいと思った。平民は、中級の二段階までは、使うことを許されていたんだ。そんな時にシャルルに出会った。シャルルは、服装で平民ではないことはすぐにわかった。貴族の奴らだと思った」
十二歳のシャルルにエミリオが話しかけた。
「おい、お前、俺の練習の場所で何をしてる」
涼しげな表情で男の子は道具を片付けていきます。
「申し訳ない。今移動するよ」
でも、当時のエミリオから見れば無表情の男の子に苛立ちを覚え、勢いそのままに話し出す。
「お前、貴族だろ」
男の子は、顔色ひとつ変えずに返事をした。
「どうして、そう思うの?」
エミリオは、根拠を話す。
「服がキレイだし、それに今やっていた魔法は平民には使えない」
さっきと変わらない声のトーンのまま、男の子は話続けます。
「そうだね。僕は貴族の分類に入る。それにさっきから君はどうしてそんなに怖い顔をしているんだい?」
男の子は、エミリオの心を全て見透かしたようにいいます。
「そ、それは、許せないからだよ」
エミリオは苛立ち、言葉が溢れ出してきます。
「何が許せないんだい?」
エミリオは、身分なんて気にせずに話続けます。
「貴族ばかりが、上級魔法を独占していることにだよ。なぜ、平民の俺らには使えないんだ。おかしな話だろ」
しかし、男の子はエミリオの態度に怒る様子もなく話続けます。
「確かにそうだね。僕は、貴族が上級魔法を独占するということが正しいとは思わない。なぜなら、平民と言われる位置にいる人でもこの上級魔法の力を磨けば素晴らしい魔法使いが見つかるかもしれない。そして、その力で誰かを助けることも出来るし、国をも救ってしまうかもしれないと僕は考えている」
エミリオは、男の子の意見に驚きつつも反論する。
「そんなこと出来るわけないだろ。だって平民は使うことを許されていないんだぞ」
男の子は、強い眼差しでエミリオを見て言ったのです。
「ならば、強くなればいいんだよ」
エミリオは動揺を隠せません。
「どういうことだよ」
それでも負けじと続けます。
「強くなれば、国がそれを認めて平民にも上級魔法を使える日が来るかもしれない」
男の子の目は自信に満ちていた。
「そんなの夢物語だよ」
弱気になったエミリオは言いました。
「ならば、君がなればいいじゃないか。その一人に…。そして、君が平民も貴族の地位も関係ないと国に認めさせるんだよ」
十二歳のエミリオは、ただ男の子を見つめるしか出来なかったのです。
それほどに、男の子から強い意思を感じた。
「それを聞いた俺は、何も言えなくなった。シャルルは、平民とか貴族とか関係なくただ魔法使いとして相応しい能力をもった者が魔法を使うべきだとも言っていた。確かにそうだと思った。貴族だからといって魔法の力を振りかざしていい訳ではない」
ルーナは、シャルルの話を静かに聞いていた。
「そんなことをシャルル様が言っていたのですね…」
「あの頃のまだ小さかったけど、俺にはとても大人びて見えたんだ」
十二歳のシャルルは、エミリオに言いました。
「僕は早く大人になりたいんだ。そして守りたい、あの方を…」
「あの方とは?」
「聞いたけど、教えてくれなかったなぁ。母親とかだと思うけれどなあ」
「そうですか」
ルーナは、エミリオの言葉を聞いてふと考えてしまったのです。
「母親……」
ルーナは、顔も名前も知らない母親のことを考えていたのでした。
「それから俺は、一生懸命に魔法を覚えた。相変わらず、シャルルは簡単に魔法を出していたけれど」
その日もエミリオはシャルルに話しかける。
「そろそろ、名前教えてくれよ」
エミリオに対して、名前など聞いても意味がないとシャルルは冷たい態度をとる。
「君と呼んじゃダメなのかな?」
エミリオは悲しそうな表情をする。
「それじゃなんか、寂しいだろ」
エミリオは、何だか照れ臭そうにシャルルを見ます。
しかたなく、シャルルは自分の名前をエミリオに教えます。
「シャルル」
エミリオは、名前を教えてもらって嬉しそうです。
「シャルルか、俺はエミリオだ。よろしくな!」
エミリオは、シャルルに手を差し出します。
シャルルは、ダルそうに手を差し出し、握手を交わします。
「よろしく、エミリオ」
エミリオは、シャルルの握った手をブンブン振りながら喜んでいます。
しかし、シャルルはそんなエミリオをめんどくさそうな表情で見ていた。
「もういいだろ」
シャルルは、エミリオの手を離します。
「その日からどんどん仲良くなっていって今にいたるというわけだ」
エミリオはシャルルとの出会いを話し終えた。
「そんな経緯で、仲良くなられたのですね。そういえばエミリオさんは、お店に限らず魔法界に住んでいるんですか?」
「魔法界だよ」
ルーナはもう一つ疑問を尋ねる。
「しかし、シャルル様は魔法界ではなく、人間界に住んでいるのでしょう?」
「人間界の方が住み心地がいいらしい」
「そうなのですね」
エミリオは、突然腕時計の時間を確認した。
「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ帰らないとな」
「何か用事でもあるのですか」
「ああ、この後少し用事があるんだ」
二人は、応接室を出るとルーナは、玄関までエミリオを送り届ける。
「貴重なお話をありがとうございました。またお越しになってください」
ルーナはエミリオにお礼を伝える。
「おう、また来るよ。今度は、シャルルがいるときにな」
ルーナは笑顔で答えた。
「ぜひ、シャルル様がいるとき」
「じゃあな」
「はい」
エミリオは、玄関の扉を閉めた。
屋敷から出ると、裏路地に向かったのでした。
ルーナは、名残惜しそうに扉を見ていました。
応接室に戻り、荷物を持つと、二階に上がりシャルルの書斎に向かいます。
書斎に到着すると、テーブルに荷物を置きます。
書斎から出ると、廊下の窓から馬車が屋敷の前に止まるのが見えます。
シャルルが帰ってきたようです。
一階に下りて行くと、シャルルがもうすでに玄関ホールまで来ていました。
ルーナは、急いでシャルルのもとに駆け寄る。
「おかえりなさい。シャルル様」
「今帰ったよ」
ルーナは、シャルルに出来事を話す。
「実は数分前までエミリオさんがいらしていたのですが、つい先ほど帰ってしまいました」
「そうだったのか。あとでエミリオに連絡しておくよ」
伝え忘れていたことを、シャルルに伝える。
「荷物を置いていかれて、書斎に置いておきました」
「ルーナが持っていってくれたのかい?ありがとう」
優しい笑顔をルーナにくれます。
「いえ、それほどのことではありません」
些細なことでも誉めてもらえると嬉しくなる。
「では、ご褒美をあげよう」
シャルルはそういうと、ルーナの手を取ると、応接室の扉を開けたのです。
それは、突然の訪問だった。
本日は、ルーナがこの屋敷に来て、初めて訪問者が来た。
その訪問者は、なんとエミリオでした。
しかし、残念なことにシャルルは、仕事の都合で前日から留守にしていたのでした。
「仕事の用事で留守にしてるとは、知らずに来てしまったよ」
応接室で、ルーナとエミリオが話しています。
ルーナは、二人という状況に緊張しながらもエミリオと話をしていました。
徐々に話していくにつれて、段々と慣れていき、緊張が和らいだようで、最初よりも話せるようになっていった。
最初は、エミリオ様と呼んでいたが、それだと何だか偉そうに感じると、エミリオ本人に言われてしまい、エミリオさんと呼ぶようになった。
「そうだったのですね。突然いらしたので驚きました」
「シャルルに良いものが入ったから持っていてやろうと思って、それに、お前にも久しぶりに会いたいと思ってたしな」
エミリオは、照れ臭そうにルーナの顔をうかがいながら話す。
エミリオさんは、何というか素直に気持ちを伝えるのが苦手な性格なのかもしれないと感じた。
「そうだったんですか。私もまたエミリオさんにお会いしたいと思っていました」
「そうか。に、荷物はここに置いていくからな」
エミリオは、ソファに置いていた荷物をテーブルの上に置く。
「あのエミリオさん、お会いしたら聞きたいと思っていたことがありまして……」
「何でも聞いてくれていいぞ」
ルーナは、思いきって質問をする。
「エミリオさんは、シャルル様とどういう経緯で仲良くなられたのですか?」
もしかして、聞いていい質問ではなかったのではと後が押し寄せる。
緊張の数秒が流れたあと、エミリオは特に気にした様子もなく話し出した。
「何だそんなことか。あれはまだ俺らが子供だった頃、確か十二の時。シャルルと俺は森の中で出会ったんだ」
「森ですか?」
ルーナは、意外な場所での出会いに拍子抜けしてしまった。
「そう、森の中」
エミリオは、シャルルとの昔懐かしい記憶を話し出したのでした。
「俺は、商人の家に育ったいわゆる平民として生きてきた。俺だって魔法界に生まれたから魔法が使えた。でも、上級の魔法は平民は使ってはいけないという法があった。それが悔しかった。貴族の奴らだけが、上級の魔法を使えるなんておかしいと思った。平民は、中級の二段階までは、使うことを許されていたんだ。そんな時にシャルルに出会った。シャルルは、服装で平民ではないことはすぐにわかった。貴族の奴らだと思った」
十二歳のシャルルにエミリオが話しかけた。
「おい、お前、俺の練習の場所で何をしてる」
涼しげな表情で男の子は道具を片付けていきます。
「申し訳ない。今移動するよ」
でも、当時のエミリオから見れば無表情の男の子に苛立ちを覚え、勢いそのままに話し出す。
「お前、貴族だろ」
男の子は、顔色ひとつ変えずに返事をした。
「どうして、そう思うの?」
エミリオは、根拠を話す。
「服がキレイだし、それに今やっていた魔法は平民には使えない」
さっきと変わらない声のトーンのまま、男の子は話続けます。
「そうだね。僕は貴族の分類に入る。それにさっきから君はどうしてそんなに怖い顔をしているんだい?」
男の子は、エミリオの心を全て見透かしたようにいいます。
「そ、それは、許せないからだよ」
エミリオは苛立ち、言葉が溢れ出してきます。
「何が許せないんだい?」
エミリオは、身分なんて気にせずに話続けます。
「貴族ばかりが、上級魔法を独占していることにだよ。なぜ、平民の俺らには使えないんだ。おかしな話だろ」
しかし、男の子はエミリオの態度に怒る様子もなく話続けます。
「確かにそうだね。僕は、貴族が上級魔法を独占するということが正しいとは思わない。なぜなら、平民と言われる位置にいる人でもこの上級魔法の力を磨けば素晴らしい魔法使いが見つかるかもしれない。そして、その力で誰かを助けることも出来るし、国をも救ってしまうかもしれないと僕は考えている」
エミリオは、男の子の意見に驚きつつも反論する。
「そんなこと出来るわけないだろ。だって平民は使うことを許されていないんだぞ」
男の子は、強い眼差しでエミリオを見て言ったのです。
「ならば、強くなればいいんだよ」
エミリオは動揺を隠せません。
「どういうことだよ」
それでも負けじと続けます。
「強くなれば、国がそれを認めて平民にも上級魔法を使える日が来るかもしれない」
男の子の目は自信に満ちていた。
「そんなの夢物語だよ」
弱気になったエミリオは言いました。
「ならば、君がなればいいじゃないか。その一人に…。そして、君が平民も貴族の地位も関係ないと国に認めさせるんだよ」
十二歳のエミリオは、ただ男の子を見つめるしか出来なかったのです。
それほどに、男の子から強い意思を感じた。
「それを聞いた俺は、何も言えなくなった。シャルルは、平民とか貴族とか関係なくただ魔法使いとして相応しい能力をもった者が魔法を使うべきだとも言っていた。確かにそうだと思った。貴族だからといって魔法の力を振りかざしていい訳ではない」
ルーナは、シャルルの話を静かに聞いていた。
「そんなことをシャルル様が言っていたのですね…」
「あの頃のまだ小さかったけど、俺にはとても大人びて見えたんだ」
十二歳のシャルルは、エミリオに言いました。
「僕は早く大人になりたいんだ。そして守りたい、あの方を…」
「あの方とは?」
「聞いたけど、教えてくれなかったなぁ。母親とかだと思うけれどなあ」
「そうですか」
ルーナは、エミリオの言葉を聞いてふと考えてしまったのです。
「母親……」
ルーナは、顔も名前も知らない母親のことを考えていたのでした。
「それから俺は、一生懸命に魔法を覚えた。相変わらず、シャルルは簡単に魔法を出していたけれど」
その日もエミリオはシャルルに話しかける。
「そろそろ、名前教えてくれよ」
エミリオに対して、名前など聞いても意味がないとシャルルは冷たい態度をとる。
「君と呼んじゃダメなのかな?」
エミリオは悲しそうな表情をする。
「それじゃなんか、寂しいだろ」
エミリオは、何だか照れ臭そうにシャルルを見ます。
しかたなく、シャルルは自分の名前をエミリオに教えます。
「シャルル」
エミリオは、名前を教えてもらって嬉しそうです。
「シャルルか、俺はエミリオだ。よろしくな!」
エミリオは、シャルルに手を差し出します。
シャルルは、ダルそうに手を差し出し、握手を交わします。
「よろしく、エミリオ」
エミリオは、シャルルの握った手をブンブン振りながら喜んでいます。
しかし、シャルルはそんなエミリオをめんどくさそうな表情で見ていた。
「もういいだろ」
シャルルは、エミリオの手を離します。
「その日からどんどん仲良くなっていって今にいたるというわけだ」
エミリオはシャルルとの出会いを話し終えた。
「そんな経緯で、仲良くなられたのですね。そういえばエミリオさんは、お店に限らず魔法界に住んでいるんですか?」
「魔法界だよ」
ルーナはもう一つ疑問を尋ねる。
「しかし、シャルル様は魔法界ではなく、人間界に住んでいるのでしょう?」
「人間界の方が住み心地がいいらしい」
「そうなのですね」
エミリオは、突然腕時計の時間を確認した。
「おっと、もうこんな時間だ。そろそろ帰らないとな」
「何か用事でもあるのですか」
「ああ、この後少し用事があるんだ」
二人は、応接室を出るとルーナは、玄関までエミリオを送り届ける。
「貴重なお話をありがとうございました。またお越しになってください」
ルーナはエミリオにお礼を伝える。
「おう、また来るよ。今度は、シャルルがいるときにな」
ルーナは笑顔で答えた。
「ぜひ、シャルル様がいるとき」
「じゃあな」
「はい」
エミリオは、玄関の扉を閉めた。
屋敷から出ると、裏路地に向かったのでした。
ルーナは、名残惜しそうに扉を見ていました。
応接室に戻り、荷物を持つと、二階に上がりシャルルの書斎に向かいます。
書斎に到着すると、テーブルに荷物を置きます。
書斎から出ると、廊下の窓から馬車が屋敷の前に止まるのが見えます。
シャルルが帰ってきたようです。
一階に下りて行くと、シャルルがもうすでに玄関ホールまで来ていました。
ルーナは、急いでシャルルのもとに駆け寄る。
「おかえりなさい。シャルル様」
「今帰ったよ」
ルーナは、シャルルに出来事を話す。
「実は数分前までエミリオさんがいらしていたのですが、つい先ほど帰ってしまいました」
「そうだったのか。あとでエミリオに連絡しておくよ」
伝え忘れていたことを、シャルルに伝える。
「荷物を置いていかれて、書斎に置いておきました」
「ルーナが持っていってくれたのかい?ありがとう」
優しい笑顔をルーナにくれます。
「いえ、それほどのことではありません」
些細なことでも誉めてもらえると嬉しくなる。
「では、ご褒美をあげよう」
シャルルはそういうと、ルーナの手を取ると、応接室の扉を開けたのです。
