1時間後ー
「東京にスカイツリー何本建っとる〜!?」
「1本かな…」
「東京防災地下神殿にネッシーおる!?」
「どうかな…」
自習時間を利用した小中学生から怒涛の質問攻めに遭い(この間、溝口くんからの「さすがだな目黒区の男…」と謎の賞賛(?)が入る。
ちなみに俺が住んでたのは赤坂)
授業を終えるチャイムが鳴るとともに「ちょっと…いやしばらくトイレに…」
呟きながらダッシュでとりあえず中庭の見える渡り廊下まで避難してきたのだった。
「かむぞー!!どこ〜〜??」「かむりーん!」
あだ名全然統一しないじゃん…
小中学生たちの俺を探す声が渡り廊下を走り抜けて行く。
見えない位置に座り込んでいて助かった…。
『あげっちゃ!』と回避不可避のスピードで押し付けられたサングラスを外す。フレーム上部に踊る『welcome』の文字。
これは俺がかけるの…?
サングラスを取ると真上に差す日差しが直接目を焼いた。
少しでも日陰に入ろうと、周りをぐるりと校舎に囲まれる中庭中央、地面を覆うように枝葉を伸ばす巨木へ足を向ける。
巨木の根本に小さな木の祠と立て札があるのは見えていたが、近づくと祠の中身は地蔵…ではなく。丸い、亀裂の入った石だった。
立て札には文字が書かれているが薄汚れており判然とせず、『…!〜〜…!!!』何かえらく感嘆符が乱立しているのだけは分かる。
もう一度亀裂の入った石に目を向ける。
何故かひどく懐かしく感じ、亀裂に指を這わせる。
知らず、しゃがみ込み何度も亀裂を撫でていた時。
「こんにちは。君が転校生?」
いつの間にか真隣の距離まで人が近づいてきていたことにまるで気がつかなかったらしい。
しかし距離の近さ以上に俺が驚いたのは、その人の声だ。
ーりょうくん
幼い頃に俺を呼んでくれた柔らかい声。
祖母が亡くなる年まで、北陸に帰省するたびに遊んでくれていた年上のお兄さん。
怖いものがたくさんみえていた当時の俺を、異質扱いするでもなくただ受け入れてくれた、両親や祖母以外では初めての理解者だったその人。
どうして忘れていたんだろう。
思い出した記憶と違わぬ低く優しい声に導かれるように視線を向ければ、凛々しい目元に短く清潔感のある黒髪、整った顔も思い出のままの姿が視界に映る。
異なるのは白装束ではなく学生服を着ていることくらいだろう。
7歳の頃はこの感情につける名前も知らなかったけれど、今ならー
「『それは確かに恋だったー』的なやつだな」
「モノローグへの介入やめてください」
「おっ、久勢〜山菜大量じゃないか。でかしたぞ〜今日の調理実習はごちそうだな」
野生ポケモンのごとく草むらから突如飛び出してきた担任教師は、俺にとって思い出のその人ー山菜を採りに行っていた先輩こと久勢さんが地面に下ろしていた籠の中身をみて献立を列挙し始める。
頼むから思い出に浸らせてくれ。
「東京にスカイツリー何本建っとる〜!?」
「1本かな…」
「東京防災地下神殿にネッシーおる!?」
「どうかな…」
自習時間を利用した小中学生から怒涛の質問攻めに遭い(この間、溝口くんからの「さすがだな目黒区の男…」と謎の賞賛(?)が入る。
ちなみに俺が住んでたのは赤坂)
授業を終えるチャイムが鳴るとともに「ちょっと…いやしばらくトイレに…」
呟きながらダッシュでとりあえず中庭の見える渡り廊下まで避難してきたのだった。
「かむぞー!!どこ〜〜??」「かむりーん!」
あだ名全然統一しないじゃん…
小中学生たちの俺を探す声が渡り廊下を走り抜けて行く。
見えない位置に座り込んでいて助かった…。
『あげっちゃ!』と回避不可避のスピードで押し付けられたサングラスを外す。フレーム上部に踊る『welcome』の文字。
これは俺がかけるの…?
サングラスを取ると真上に差す日差しが直接目を焼いた。
少しでも日陰に入ろうと、周りをぐるりと校舎に囲まれる中庭中央、地面を覆うように枝葉を伸ばす巨木へ足を向ける。
巨木の根本に小さな木の祠と立て札があるのは見えていたが、近づくと祠の中身は地蔵…ではなく。丸い、亀裂の入った石だった。
立て札には文字が書かれているが薄汚れており判然とせず、『…!〜〜…!!!』何かえらく感嘆符が乱立しているのだけは分かる。
もう一度亀裂の入った石に目を向ける。
何故かひどく懐かしく感じ、亀裂に指を這わせる。
知らず、しゃがみ込み何度も亀裂を撫でていた時。
「こんにちは。君が転校生?」
いつの間にか真隣の距離まで人が近づいてきていたことにまるで気がつかなかったらしい。
しかし距離の近さ以上に俺が驚いたのは、その人の声だ。
ーりょうくん
幼い頃に俺を呼んでくれた柔らかい声。
祖母が亡くなる年まで、北陸に帰省するたびに遊んでくれていた年上のお兄さん。
怖いものがたくさんみえていた当時の俺を、異質扱いするでもなくただ受け入れてくれた、両親や祖母以外では初めての理解者だったその人。
どうして忘れていたんだろう。
思い出した記憶と違わぬ低く優しい声に導かれるように視線を向ければ、凛々しい目元に短く清潔感のある黒髪、整った顔も思い出のままの姿が視界に映る。
異なるのは白装束ではなく学生服を着ていることくらいだろう。
7歳の頃はこの感情につける名前も知らなかったけれど、今ならー
「『それは確かに恋だったー』的なやつだな」
「モノローグへの介入やめてください」
「おっ、久勢〜山菜大量じゃないか。でかしたぞ〜今日の調理実習はごちそうだな」
野生ポケモンのごとく草むらから突如飛び出してきた担任教師は、俺にとって思い出のその人ー山菜を採りに行っていた先輩こと久勢さんが地面に下ろしていた籠の中身をみて献立を列挙し始める。
頼むから思い出に浸らせてくれ。
