あの夏の日、先輩は

村中の至るところに、先輩の姿を探した。

「先輩はいつも…俺にはなんにも言わずにいなくなる…」


そしてこんな時に先輩が行きそうなところ一つ俺には分からない。


プレハブ小屋も、トンネル前も、どこにも…


そうして俺は、御石様の前にフラフラと近づく。


ツルリとした石の表面を撫でる。

「先輩はもう…

俺とご飯作ったり、一緒に他愛もない話をしたり、

未来の話をしたりするの」


嫌になっちゃったんですか…?


ただの石に戻った先輩は、何も答えない。




先輩のことを聞きいても、誰も知らないという。


葬列体も、大関も、消えてしまった。


むしろ、怪異そのもの自体目にしなくなった。


あれほど焦がれていた視界なのに、先輩がいないのならそんなものいらないと思った。





だから俺は待つことにした。


担任も、クラスのみんなも心配する中。


朝から晩まで御石様の前で籠城作戦。



ダンボールハウスから徐々に進化、最終的にちょっとしたDIYレベルの木造小屋が出来上がる。

当然だが雨風はそんなに凌げない。

ブルーシート貼らないと…


おそらく熱が出て朦朧としている、俺はフラフラと豪雨の中小屋から出て御石様ー先輩の前にしゃがみこむ。

先輩に触れようとしてー

二重になる視界のせいで触れ損ない地面に倒れる。


懐かしい手が肩に触れた。





「お願いりょう君…せめてご飯を食べて…」


泣きながら先輩が俺を抱きしめていた。