未完成のトンネル、送り火、あの夏の校舎。先輩は、

ー切ってくればよかった。

肩口まで伸び、首筋に汗でまとわりつく髪の煩わしさに顔をしかめる。

先頭を歩く担任教師からクラスメイトのことや校内行事予定を聞きながら古い木造の廊下を進むと、程なくして年季の入った木造の引き戸に辿り着く。

転校が決まった俺がようやく教室へ足を踏み入れたのは、夏休みも1週間前という微妙な時期だった。

扉を開けると、机を寄せ合い話している学生が4人。
同い年くらいの坊主頭の青年、坊ちゃん刈にメガネをかけた双子の男子中学生、前下がりのオカッパ頭を揺らす小学生低学年女子が1人。
先程担任教師に聞いていたクラスメイトの名前と顔を脳内で一致させる俺に対し、4人は好奇の目を向けたまま机を直し居住まいを正した。

「転校生を紹介するぞ〜日本の魔窟、東京から来た神座 亮司(かむくら りょうじ)君だ」

「偏見がすごい」

「なお、初等部・中等部の教室のクーラーがぶっ壊れたので全員授業は高等部のクラスで行います。夏休み1週間前だし各自自習で」

カリキュラムに一抹の不安を覚えていると、足元に小、中3人の小さな頭がわらわらと集まってきた。

「シティーボーイが来たじゃぁぁ!」
「囲め囲め!」
「お近づきの印にあだ名考案しちゃるからのぉ〜〜〜???」

『歓★迎』とお手製感満載の弾幕で体を簀巻にされ、子供特有手加減のできていない張り手がスパパパァン!!と両太腿を襲う。地方の歓迎激しいな…

「分からないか転校生」

「後ろの席の溝口くん」

「入学から変わらない顔ぶれに突然の都会からのニューフェイス…1ヶ月はこの感じが続く」

「夏休み全部使って村案内しちゃるから!逃げんなよ!」

恐喝のような歓迎文句にどうやらこの先1ヶ月、俺はフルでいじり倒されることが確定したのだった。