五芒家が運営する陰陽業の一つ、五芒星の社は帝都を中心に五角形に社が建てられており、張り巡らされた大きな結界がこれより内側へ妖の侵入を阻止するよう作られている。この結界維持を務めるのが陰陽師にとって最大の役職であり、時に結界の緩みから都内に侵入してくる妖も後を絶たない。
「あの…五芒様、本当に私を花嫁にするおつもりですか?」
五芒家に到着後、数ある部屋の奥座敷に通された桔梗はさっそく湯浴みで体を綺麗にされれば綺麗な着物に着付けられて斗李の元に通された。体中が切り傷だらけだったのも丁寧に薬を塗ってもらった。
「不満かい?これで君はあの家から解放されたんだ。それに言っただろう?俺は君に興味がある」
「ですが…私は見ての通り穢れ者です」
「俺も病弱な呪い持ちだよ?」
桔梗が返答に困っていれば斗李は笑っていた。
「ふ~」っと疲れた顔で腰掛ければやや顔からは冷や汗が浮き出ているのが見える。
「五芒様、もしやどこかお体の具合が?」
「ああ、大したことはないよ。この体の病弱さはもう仕方がないことだから。五芒家が代々受け継ぐ呪いでもあるからね…チヨ」
桔梗の膝上にいたチヨは呼れると「あい!」と返事をしてトコトコと斗李に近寄っていく。斗李はニコニコ笑うチヨを膝上に乗せれば癒しを求めて抱きしめていた。こうして見れば親子のようだ。
「チヨの癒しの力が今は俺の命を多少延ばしてくれてる。五芒家は陰陽師である安倍晴明と源氏源頼光の血を半々に受け継いだ家系。この体を蝕むものはその昔、源頼光一行が討伐したとされる酒呑童子の呪いにある」
「酒呑童子⁈」
妖は平安の世を騒がせた妖怪であるが、中でも大江山の酒呑童子を源頼光が倒した話は有名。その首は切られ、首塚へと埋葬されたと聞くが…。
「それでも大妖怪。源頼光の子孫である人間の血に奴の呪いが混ざり始めたのです。恐れた祖先は陰陽師の血と交えることで今は短命だけで済んでいますが。それでも五芒家が衰退するのは時間の問題。今や五芒家では内乱が起きているのです」
「跡継ぎ争いということですか?」
「ええ。現当主の俺はこの通り。命が持つのも時間の問題でしょう。正当な陰陽師の血筋を受け継ぐ俺を暗殺しようと陰謀を目論む者達が時を狙っているのです」
そんなことが!?桔梗はガクガクと震えてしまった。
短命の正体は五芒家に流れる酒呑童子の呪いで、五芒様が病弱で体が弱体化してるのもそのせい。
「できるだけ多くの時間が必要です。十二華族から花嫁を探す理由の一つがこれにあります。華族に流れる式の加護、加えて健康・浄化・長寿とされる辰ノ宮家の加護ある娘ならば、俺の寿命も底上げぐらいにはなる。五芒星社の亀裂が妖を都に呼び寄せています」
近年、社の治安維持が上手くいっていない。
亀裂の入った結界からは妖の侵入が後を絶たず、都の民達に甚大な被害をもたらしている中、陰陽師はこの騒動で最近では討伐任務に明け暮れ疲労困憊の状態が続いてるよう。
「明らかにおかしい。一番の疑問はなぜ社に亀裂が入ったか、です。俺はこの原因を探るべく各五芒星社を調べ、妖の出所を探っているところなのです。桔梗、貴方には俺の花嫁としてお手伝いをお願いしたい」
「お手伝いですか?」
「調べる中で五芒家に裏切り者説が浮上しています。誰かが今回の引き金となり、皇國の世を脅かしている。桔梗の瞳に封印された封鬼もまた、結界外から侵入してきた大妖怪。大妖怪が結界破壊など前代未聞。その正体さえ突き止めることができれば瞳から排除することができるかもしれない」
「それは本当ですか!」
「ですがそれには時間と力が必要です。俺は五芒家当主として皇國を妖から救わねばならない。桔梗は俺の内側に眠る鬼の呪いを取り除いた。俺の花嫁となり、共に力を貸して貰えないだろうか」
「あの…五芒様、本当に私を花嫁にするおつもりですか?」
五芒家に到着後、数ある部屋の奥座敷に通された桔梗はさっそく湯浴みで体を綺麗にされれば綺麗な着物に着付けられて斗李の元に通された。体中が切り傷だらけだったのも丁寧に薬を塗ってもらった。
「不満かい?これで君はあの家から解放されたんだ。それに言っただろう?俺は君に興味がある」
「ですが…私は見ての通り穢れ者です」
「俺も病弱な呪い持ちだよ?」
桔梗が返答に困っていれば斗李は笑っていた。
「ふ~」っと疲れた顔で腰掛ければやや顔からは冷や汗が浮き出ているのが見える。
「五芒様、もしやどこかお体の具合が?」
「ああ、大したことはないよ。この体の病弱さはもう仕方がないことだから。五芒家が代々受け継ぐ呪いでもあるからね…チヨ」
桔梗の膝上にいたチヨは呼れると「あい!」と返事をしてトコトコと斗李に近寄っていく。斗李はニコニコ笑うチヨを膝上に乗せれば癒しを求めて抱きしめていた。こうして見れば親子のようだ。
「チヨの癒しの力が今は俺の命を多少延ばしてくれてる。五芒家は陰陽師である安倍晴明と源氏源頼光の血を半々に受け継いだ家系。この体を蝕むものはその昔、源頼光一行が討伐したとされる酒呑童子の呪いにある」
「酒呑童子⁈」
妖は平安の世を騒がせた妖怪であるが、中でも大江山の酒呑童子を源頼光が倒した話は有名。その首は切られ、首塚へと埋葬されたと聞くが…。
「それでも大妖怪。源頼光の子孫である人間の血に奴の呪いが混ざり始めたのです。恐れた祖先は陰陽師の血と交えることで今は短命だけで済んでいますが。それでも五芒家が衰退するのは時間の問題。今や五芒家では内乱が起きているのです」
「跡継ぎ争いということですか?」
「ええ。現当主の俺はこの通り。命が持つのも時間の問題でしょう。正当な陰陽師の血筋を受け継ぐ俺を暗殺しようと陰謀を目論む者達が時を狙っているのです」
そんなことが!?桔梗はガクガクと震えてしまった。
短命の正体は五芒家に流れる酒呑童子の呪いで、五芒様が病弱で体が弱体化してるのもそのせい。
「できるだけ多くの時間が必要です。十二華族から花嫁を探す理由の一つがこれにあります。華族に流れる式の加護、加えて健康・浄化・長寿とされる辰ノ宮家の加護ある娘ならば、俺の寿命も底上げぐらいにはなる。五芒星社の亀裂が妖を都に呼び寄せています」
近年、社の治安維持が上手くいっていない。
亀裂の入った結界からは妖の侵入が後を絶たず、都の民達に甚大な被害をもたらしている中、陰陽師はこの騒動で最近では討伐任務に明け暮れ疲労困憊の状態が続いてるよう。
「明らかにおかしい。一番の疑問はなぜ社に亀裂が入ったか、です。俺はこの原因を探るべく各五芒星社を調べ、妖の出所を探っているところなのです。桔梗、貴方には俺の花嫁としてお手伝いをお願いしたい」
「お手伝いですか?」
「調べる中で五芒家に裏切り者説が浮上しています。誰かが今回の引き金となり、皇國の世を脅かしている。桔梗の瞳に封印された封鬼もまた、結界外から侵入してきた大妖怪。大妖怪が結界破壊など前代未聞。その正体さえ突き止めることができれば瞳から排除することができるかもしれない」
「それは本当ですか!」
「ですがそれには時間と力が必要です。俺は五芒家当主として皇國を妖から救わねばならない。桔梗は俺の内側に眠る鬼の呪いを取り除いた。俺の花嫁となり、共に力を貸して貰えないだろうか」



