五芒家の当主様って顔の傷跡を隠すために面をつけてるそうよ。
え?鬼の目玉が額にあるのを隠すためなんじゃないの?
色んな噂が飛び交う五芒の当主様。
病弱な陰陽師で公に姿を見せたがらないことで有名。
不気味と忌み嫌われもしていた。
だから華族から花嫁を探していると聞いても胸のトキメキすら感じなかったし、辰ノ宮家に来ても適当に接待して軽くあしらうつもりだった。実際に会った彼は瘦せ衰えた白い貧相な体を白い袴で隠し、顔には噂の面を付けていた。いくら華族のより序列の高い陰陽師家系とはいえ、こんな人に花嫁なんて到底無理だと心の中ではバカにしていた。
「…は?」
隣から聞こえた婚約者の声。
五芒様が穢れ者の姉を花嫁に迎い入れたいと言う。
加護に恵まれ可愛がられていた姉。
両親の期待と彼の想いを一心に受ける姉。
それら全てが大嫌いだった。
妖に襲われ娶嫁の刻印を刻まれた時、心の底から喜んだ。
その裏に隠された自作自演の自分の演技に誰一人として疑いの目を向けず、それでいて初恋の相手すら奪ってやった。十分に満足できた筈なのに。それでも満たされない自分がいる。
「なんて綺麗な人なの」
戦場に立つ五芒様。
白い袴に身を包んで、多くの陰陽師をまとめ上げれば妖に突き進んでいく。割れた面の下、それはこの世に二つとない美しさ。素顔を見せない理由がようやく分かった。知れば人は彼を放ってはおかない。陰陽師の血は薄れているが貴重。彼は五芒星となる全ての術を会得し当主に登りつめた。
病弱なくせに戦場ではまるで別人のよう。
優男の印象から一変、妖を睨む顔は冷酷でいて美しい。
彼から目が離せなかった。
この人に愛される女性はどんなに幸せだろう。
「桔梗!」
その言葉に意識を浮上させる。
目の前に倒れ込んだ姉と襲い掛かる土蜘蛛。
五芒様はいとも簡単に術でやっつけちゃえば王子様みたいにカッコよかった。
ズルい…ズルいよ。
なんでいつも上手くいかないの?
憎悪はますます膨れ上がれば牡丹の耳に誰かが囁いた。
『なら奪っちゃえば?あの時みたいに(笑)』
「!でも…」
『ほらあれ見て!五芒の坊はあの子が好きなのね、愛してるのよ』
その言葉に顔を上げれば目の前には姉を抱きしめる五芒様。
可哀想に体力を消耗したのか病弱な代償からか吐血してしまっている。
『憎い憎い。せっかく穢れ者にしてやったのに~陰陽師と結ばれる悲劇のヒロインなんて許せない。壊してやりたいわ』
「ええ…そうね」
『なら力を貸してあげる。私の言う通りにすれば全てが上手くいくわよ』
それを最後に牡丹からは声が消えた。
治安部隊が駆けつける中、宗次郎は「牡丹さん!」と遅れて駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか?すみません…警察に事情聴取されまして。ここは危険ですし、移動しましょう」
「…」
「牡丹さん?」
「ねえ…宗次郎さん。お姉様のこと好き?」
「え、なんでそんなこと聞くんですか?(笑)」
相変わらず笑顔な宗次郎。
この時ばかりは困った顔をしていたが、チラリと桔梗を見た宗次郎の目線を牡丹は見逃さなかった。
「帰りましょう」
「え、牡丹さん?」
「妖も退治されたんだし。もうこれ以上ここに用はありませんわ」
え?鬼の目玉が額にあるのを隠すためなんじゃないの?
色んな噂が飛び交う五芒の当主様。
病弱な陰陽師で公に姿を見せたがらないことで有名。
不気味と忌み嫌われもしていた。
だから華族から花嫁を探していると聞いても胸のトキメキすら感じなかったし、辰ノ宮家に来ても適当に接待して軽くあしらうつもりだった。実際に会った彼は瘦せ衰えた白い貧相な体を白い袴で隠し、顔には噂の面を付けていた。いくら華族のより序列の高い陰陽師家系とはいえ、こんな人に花嫁なんて到底無理だと心の中ではバカにしていた。
「…は?」
隣から聞こえた婚約者の声。
五芒様が穢れ者の姉を花嫁に迎い入れたいと言う。
加護に恵まれ可愛がられていた姉。
両親の期待と彼の想いを一心に受ける姉。
それら全てが大嫌いだった。
妖に襲われ娶嫁の刻印を刻まれた時、心の底から喜んだ。
その裏に隠された自作自演の自分の演技に誰一人として疑いの目を向けず、それでいて初恋の相手すら奪ってやった。十分に満足できた筈なのに。それでも満たされない自分がいる。
「なんて綺麗な人なの」
戦場に立つ五芒様。
白い袴に身を包んで、多くの陰陽師をまとめ上げれば妖に突き進んでいく。割れた面の下、それはこの世に二つとない美しさ。素顔を見せない理由がようやく分かった。知れば人は彼を放ってはおかない。陰陽師の血は薄れているが貴重。彼は五芒星となる全ての術を会得し当主に登りつめた。
病弱なくせに戦場ではまるで別人のよう。
優男の印象から一変、妖を睨む顔は冷酷でいて美しい。
彼から目が離せなかった。
この人に愛される女性はどんなに幸せだろう。
「桔梗!」
その言葉に意識を浮上させる。
目の前に倒れ込んだ姉と襲い掛かる土蜘蛛。
五芒様はいとも簡単に術でやっつけちゃえば王子様みたいにカッコよかった。
ズルい…ズルいよ。
なんでいつも上手くいかないの?
憎悪はますます膨れ上がれば牡丹の耳に誰かが囁いた。
『なら奪っちゃえば?あの時みたいに(笑)』
「!でも…」
『ほらあれ見て!五芒の坊はあの子が好きなのね、愛してるのよ』
その言葉に顔を上げれば目の前には姉を抱きしめる五芒様。
可哀想に体力を消耗したのか病弱な代償からか吐血してしまっている。
『憎い憎い。せっかく穢れ者にしてやったのに~陰陽師と結ばれる悲劇のヒロインなんて許せない。壊してやりたいわ』
「ええ…そうね」
『なら力を貸してあげる。私の言う通りにすれば全てが上手くいくわよ』
それを最後に牡丹からは声が消えた。
治安部隊が駆けつける中、宗次郎は「牡丹さん!」と遅れて駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか?すみません…警察に事情聴取されまして。ここは危険ですし、移動しましょう」
「…」
「牡丹さん?」
「ねえ…宗次郎さん。お姉様のこと好き?」
「え、なんでそんなこと聞くんですか?(笑)」
相変わらず笑顔な宗次郎。
この時ばかりは困った顔をしていたが、チラリと桔梗を見た宗次郎の目線を牡丹は見逃さなかった。
「帰りましょう」
「え、牡丹さん?」
「妖も退治されたんだし。もうこれ以上ここに用はありませんわ」



