二つ返事で花嫁となった桔梗は帝都の街に出てきていた。
――帝都大病院・花園。
そこは陰陽寮の向かいに位置し、五芒の知人が経営する帝國で一番の大病院だった。この日、診察日だった五芒は桔梗を連れて大先生の元に向かえば花嫁の発表に顔を輝かせていた。
「驚いたよ。まさか本当に君が花嫁を見つけるとはな」
「チヨのお陰ですよ。辰ノ宮家の所有する土地に濁りを感じましてね。水神の社から妖が山へと逃げたようでしたので討伐と。その山中で出会いました」
「また護衛もつけず討伐か。君は五芒家当主なのだ。もっと警戒したまえ」
「式は備えていました。それに桔梗を花嫁に迎えたことで俺の呪いが浄化されている」
「鬼の刻印を瞳に宿す花嫁…実に興味深い研究材料だ」
大先生は瞳の経緯を聞き入れると直ぐに診断を開始した。
診察なんて初めてだった桔梗は緊張感が走った。隣では斗李が優しく手を握ってくれていて、顔には相変わらず面がつけられていた。
「なるほど…確かに鬼の気配が漏れ出る瞳だ。結界を出たと言ったね。君は過去水神の社に行ったことがあるようだな」
「思えば…確かに妹を救いに行った社と記憶が重なります。あの時はもっと邪気が濃くて。結界から鬼の手も内側へ突き出ているのが印象的でした」
「仮にも大妖怪が陰陽師の結界を潜り抜けるなど…。もしや陰陽師の中に妖と手引きした人間が?」
大先生は深刻な表情を浮かべれば斗李は頷いた。
その後、桔梗には瞳の邪気の臭いを抑える飲み薬が処方された。
「恐らく桔梗を娶った鬼は俺の呪いと相性がいい。酒呑の邪気を吸い上げ桔梗の体内で貯蓄。大妖怪が復活しようとしている。それを裏で操作する人間がいるのも否めない。ウチのもの…もしくは華族か…更にその上か、」
「皇家と申すか⁈」
十二華族の上弦・下限、その上に五芒家。
そしてそれら全てを統括する皇家。
大妖怪の使役は時に国家転覆を意味する不吉な前触れ。
「仮の話ですよ。皇家にそれほどの力はありません。今の世は華族の実権君主。今の帝は統治力に欠け、後ろ盾の華族が強い。陰陽師の血が薄れつつある今、華族の勢力に勢いが増す一方だ」
陰陽師は国に仕え、帝の命下でしか働けない。
強欲な華族は帝に娘を嫁がせ実権を握る中で陰陽師の式に目を付けた。加護のバックにより強い地位を会得しようと陰陽師から根こそぎ式達を搔っ攫ってしまったのだ。
「桔梗、大丈夫だよ。心配せずとも、俺が君を助けてあげるからね」
「五芒様…はい」
顔が暗い桔梗に気付いた斗李は元気づけるように声をかけてくれ、不思議と心が落ち着いた。途中、チヨが「お外いくの」と言うので、桔梗は一足先に病院を出れば帝都の街を散策する。斗李から貰ったお金でチヨに飴玉を買ってあげれば、「桔梗」と横から声をかけられた。そこには宗次郎が立っていた。
――帝都大病院・花園。
そこは陰陽寮の向かいに位置し、五芒の知人が経営する帝國で一番の大病院だった。この日、診察日だった五芒は桔梗を連れて大先生の元に向かえば花嫁の発表に顔を輝かせていた。
「驚いたよ。まさか本当に君が花嫁を見つけるとはな」
「チヨのお陰ですよ。辰ノ宮家の所有する土地に濁りを感じましてね。水神の社から妖が山へと逃げたようでしたので討伐と。その山中で出会いました」
「また護衛もつけず討伐か。君は五芒家当主なのだ。もっと警戒したまえ」
「式は備えていました。それに桔梗を花嫁に迎えたことで俺の呪いが浄化されている」
「鬼の刻印を瞳に宿す花嫁…実に興味深い研究材料だ」
大先生は瞳の経緯を聞き入れると直ぐに診断を開始した。
診察なんて初めてだった桔梗は緊張感が走った。隣では斗李が優しく手を握ってくれていて、顔には相変わらず面がつけられていた。
「なるほど…確かに鬼の気配が漏れ出る瞳だ。結界を出たと言ったね。君は過去水神の社に行ったことがあるようだな」
「思えば…確かに妹を救いに行った社と記憶が重なります。あの時はもっと邪気が濃くて。結界から鬼の手も内側へ突き出ているのが印象的でした」
「仮にも大妖怪が陰陽師の結界を潜り抜けるなど…。もしや陰陽師の中に妖と手引きした人間が?」
大先生は深刻な表情を浮かべれば斗李は頷いた。
その後、桔梗には瞳の邪気の臭いを抑える飲み薬が処方された。
「恐らく桔梗を娶った鬼は俺の呪いと相性がいい。酒呑の邪気を吸い上げ桔梗の体内で貯蓄。大妖怪が復活しようとしている。それを裏で操作する人間がいるのも否めない。ウチのもの…もしくは華族か…更にその上か、」
「皇家と申すか⁈」
十二華族の上弦・下限、その上に五芒家。
そしてそれら全てを統括する皇家。
大妖怪の使役は時に国家転覆を意味する不吉な前触れ。
「仮の話ですよ。皇家にそれほどの力はありません。今の世は華族の実権君主。今の帝は統治力に欠け、後ろ盾の華族が強い。陰陽師の血が薄れつつある今、華族の勢力に勢いが増す一方だ」
陰陽師は国に仕え、帝の命下でしか働けない。
強欲な華族は帝に娘を嫁がせ実権を握る中で陰陽師の式に目を付けた。加護のバックにより強い地位を会得しようと陰陽師から根こそぎ式達を搔っ攫ってしまったのだ。
「桔梗、大丈夫だよ。心配せずとも、俺が君を助けてあげるからね」
「五芒様…はい」
顔が暗い桔梗に気付いた斗李は元気づけるように声をかけてくれ、不思議と心が落ち着いた。途中、チヨが「お外いくの」と言うので、桔梗は一足先に病院を出れば帝都の街を散策する。斗李から貰ったお金でチヨに飴玉を買ってあげれば、「桔梗」と横から声をかけられた。そこには宗次郎が立っていた。



