むすんで、ほどいて、君の名を呼ぶ

 帰り際、偶然にも遊ぶ約束をしていた友達が近くに居るみたいで、夢菜と僕は駅前で別れる事になった。

「じゃ、また連絡するから」

 夢菜が軽く手を上げて、まるで映画のワンシーンみたいにキリッとした顔で言う。

「ごめん、ありがとう」

「謝るかお礼言うかどっちかにしない?」

 そういうとこだよ、と夢菜の呆れた声が耳に届く。

「……ま、そこが薫だもんねぇ。でもね薫、自分一人で考え過ぎないようにしなね? たまーに音信不通になるでしょ」

「うっ。ごもっとも、です……」

 さすがに木嶋くんと話してる間は夢菜にも返信してたけど、避けるようになったこの二日は誰にも返していなかった。

 心配してくれたらしい夢菜が鬼電してくれて、僕がやっと一言返して、そこから『顔見て話したいことがある』って送ったんだよね。

 夢菜とは毎日必ず、挨拶以外にも何かしらメッセージのやり取りをしてるから、二日も未読するのはほとんどない。

 もはやお互い習慣になってるからか、話さないと気持ち悪い域にある気がする。

 まぁ僕がそう思ってるだけで、単に何かあったのか心配してくれただけかもしれないけど。

「……もうお昼か」

 無事に夢菜を見送って、ややあってスマホの画面を見ると十二時二十三分だった。

 今日は土曜日だから、どこかでお昼ご飯を食べようにもいっぱいだと思う。

 兄さんは休日出勤だし、両親は朝から揃って出掛けてるから家に帰っても僕一人。

 駅前にはスーパーはもちろん、コンビニやテイクアウト出来るお店もあるから、何か買って帰ろうかな。

 でもさっきまで甘いものを食べてたから、しょっぱいものが食べたいんだよね。

「うーん……お肉、とか」

 確か駅から五分くらい歩いた所に、牛丼のチェーン店があったっけ。

 そこでスタミナが付きそうなお弁当を買って帰ろう。

 そうと決まれば脚が動くのはすぐで、同時にカバンに入れたスマホが震えた気がした。