「ただいま~」
誰も待っていない我が家に声をかける。
今日は金曜日。今週は変に疲れたし、さっさと家事を済ませて寝たいところ。疲れすぎて、いつもなら寄ってくる図書室にも寄らずに直帰した。郵便受けを確認してから靴を脱ぐ。
「はぁ…」
しかし着替える余力もなく、鞄を置いてソファーに座る。多分この疲れは変に頭を使ったせいだ。
私の心の中には、ずっと引っかかっていることがあった。それは、たまに家のポストに直接届けられる『ラブレター』について。
切手も貼られずに届けられるそれには、達筆ながらも癖のある字で私への愛が惜しみなく綴られていた。それだけなら、今までと変わらない。
しかし問題なのは、その字が永田君の板書やノートの文字とそっくりなこと。今まで気づかなかったのだが、距離が縮まったからこそ違和感に気づいてしまったのだ。そこで浮かんだ1つの仮説。
まさか、永田君が__クラスの人気者で、完璧な彼が、私のストーカー?
…いやいやいや、あまりにも非現実的すぎる。
そう自分に言い聞かせたけれど、胸の奥のモヤモヤは消えなかった。家で起こる奇妙な現象と、永田君の私のことに関して妙に詳しい言動。1つ1つは些細なことでも、全てが繋がっているような気がしてならない。
(…でも、話し始めて数週間のクラスメイトを疑うなんて失礼にも程がある)
自分の軽率さに呆れながら着替えようと立ち上がった時、玄関からカタンと小さな音がした。ポストに何かが投函された音。この時間の配達はないはず。それに、ついさっき郵便受けは確認したばかりだ。
残る可能性は1つだけ。
さっきまでの疲労はどこへ行ったのか、全力で玄関に向かう。ドアスコープを確認するよりも早く鍵を開けて飛び出した。
そこにいたのは、フードを目深く被った背の高い人物。でも、その背格好に見覚えがあった。
「永田君っ!!!」
思わず名前を呼ぶと、その人物は心底驚いたように肩を跳ね上げさせた。息を切らしながら背中を見つめていると、ため息と共に観念したかのように振り返った。
「あーあ、バレちゃった」
聞こえたのはこの数週間ですっかり耳に馴染んだ声。
フードを取れば、半ば諦めたように笑った永田君がそこにいた。
「ごめんね、小野寺さん」
何に対する謝罪なのか。
弁明することすら諦めたような彼は、見たことない悲しそうな笑顔をしていた。
「……とりあえず私の家に行こう。私、永田君に伝えたいことがあるの」
そういうと彼は顔を引き攣らせた。小さく首を横に振る彼を逃がさないように、ぎゅっと手を掴む。きっと彼なら振り解ける簡単な拘束だ。でも手を引けば、覚悟を決めたようについてきてくれた。
誰も待っていない我が家に声をかける。
今日は金曜日。今週は変に疲れたし、さっさと家事を済ませて寝たいところ。疲れすぎて、いつもなら寄ってくる図書室にも寄らずに直帰した。郵便受けを確認してから靴を脱ぐ。
「はぁ…」
しかし着替える余力もなく、鞄を置いてソファーに座る。多分この疲れは変に頭を使ったせいだ。
私の心の中には、ずっと引っかかっていることがあった。それは、たまに家のポストに直接届けられる『ラブレター』について。
切手も貼られずに届けられるそれには、達筆ながらも癖のある字で私への愛が惜しみなく綴られていた。それだけなら、今までと変わらない。
しかし問題なのは、その字が永田君の板書やノートの文字とそっくりなこと。今まで気づかなかったのだが、距離が縮まったからこそ違和感に気づいてしまったのだ。そこで浮かんだ1つの仮説。
まさか、永田君が__クラスの人気者で、完璧な彼が、私のストーカー?
…いやいやいや、あまりにも非現実的すぎる。
そう自分に言い聞かせたけれど、胸の奥のモヤモヤは消えなかった。家で起こる奇妙な現象と、永田君の私のことに関して妙に詳しい言動。1つ1つは些細なことでも、全てが繋がっているような気がしてならない。
(…でも、話し始めて数週間のクラスメイトを疑うなんて失礼にも程がある)
自分の軽率さに呆れながら着替えようと立ち上がった時、玄関からカタンと小さな音がした。ポストに何かが投函された音。この時間の配達はないはず。それに、ついさっき郵便受けは確認したばかりだ。
残る可能性は1つだけ。
さっきまでの疲労はどこへ行ったのか、全力で玄関に向かう。ドアスコープを確認するよりも早く鍵を開けて飛び出した。
そこにいたのは、フードを目深く被った背の高い人物。でも、その背格好に見覚えがあった。
「永田君っ!!!」
思わず名前を呼ぶと、その人物は心底驚いたように肩を跳ね上げさせた。息を切らしながら背中を見つめていると、ため息と共に観念したかのように振り返った。
「あーあ、バレちゃった」
聞こえたのはこの数週間ですっかり耳に馴染んだ声。
フードを取れば、半ば諦めたように笑った永田君がそこにいた。
「ごめんね、小野寺さん」
何に対する謝罪なのか。
弁明することすら諦めたような彼は、見たことない悲しそうな笑顔をしていた。
「……とりあえず私の家に行こう。私、永田君に伝えたいことがあるの」
そういうと彼は顔を引き攣らせた。小さく首を横に振る彼を逃がさないように、ぎゅっと手を掴む。きっと彼なら振り解ける簡単な拘束だ。でも手を引けば、覚悟を決めたようについてきてくれた。



