死に魅せられた高校生たちは今日も誰かと生きている

◇◇◇


「おはようございまーす!」
「おお、元気だな!!おはよう!!!」

 異常に声のデカい知り合いに挨拶をすれば、さらに大きな声で挨拶される。
 最近部活を引退したらしいが、声量はまだまだ現役だ。そんな彼は、珍しくバスケシューズの入った袋を持っていた。

「あれ、部活行くの?」
「いや、今日は後輩に1on1をしてくれって頼まれたんだ!」

 太陽のような笑顔で笑う彼に頷く。
 ああ、あの子か。彼の隣が良く似合う無口な後輩君。猫のような性格をしている彼が、太陽のようなこの人の傍を居心地よく思う姿は何度か見たことがある。

「へぇ~、いい先輩じゃん」
「ははっ、そうだろ!まあ、可愛い後輩の願いなら、先輩として叶えたいだろ?」

 屈託のない笑顔でそう言われてしまえば、頷くしかない。
 自分にも後輩がいる。昨日心中に誘った、生徒会書記の後輩。彼の願いなら、きっと私も全力で叶えようとするだろう。

「そうだね。で、その後輩君は?」
「朝練」
「あ、そっか。朝から元気だね~」
「俺も暇だから、毎朝散歩してんだよ。朝練のせいで、早起きが習慣化されちゃったし」
「勉強しなよ」
「あははっ!!それ、昨日アイツにも言われたわ!」

 嬉しそうに言うことではないが、まあ心配しなくていいだろう。こう見えて、成績は上位層だ。バスケ部として表彰されている姿もよく見るため、進路は選び放題に違いない。
 そんな思いと共に、小さく笑う。

「じゃあ、怪我しないようにね」
「おう!ありがとな!」

 爽やかな笑顔で大きく手を振り、彼は校舎へと歩いて行った。
 その道すがら、ちょうど朝練を終えたらしい噂の後輩が駆け寄るのが見える。引退しても仲の良い先輩後輩の関係に、なんだか美しいものを感じてしまう。

「…いいなぁ」
「何がいいんですか?」

 思わず呟くと、隣から声が聞こえた。
 驚いてそちらを見ると、不思議そうな顔をした生徒会書記の後輩が立っていた。

「んー?何もないよ」
「…そうですか」
「うん」

 可愛い後輩の願いは叶えたい、ね。
 うんうん、その気持ちは痛いほど分かる。

 1人で言葉を思い出して頷いていれば、再び訝しげに見つめられたのだった。