死に魅せられた高校生たちは今日も誰かと生きている

◇◇◇


 次に歩いてきたのは、対照的に静かな2人だった。

「おはようございまーす!」
「おはようございます」
「おはようございまーす」

「っていうことでさ、この本のシリーズを揃えたいの」
「…もう1回聞くけど全何巻?」
「30巻」
「……今は?」
「絶版」
「マジで無理」

 何やら、本に関する話をしているらしい。
 そういえば、図書委員からのお知らせで聞いたことのある声だ。この2人だったのかもしれない。実際に本好きだったとは。適当に委員会を決める人が多い中で、何とも珍しい。

「15巻分だけでいいから!」
「なんで妥協した感じ出してるのよ!無理無理無理!!」
「いけるって!」
「根拠のない自信は身を滅ぼすよ」
「これで滅ぶような身が悪い」
「なんっ、ちょ、難しいこと言わないで!!」

 まるで漫才だ。クスリと笑ってしまう。
 慌てて誤魔化したが、どうやら、そもそも気づかれていなかったらしい。ホッと息を吐いて、2人を見送ったのだった。