言の葉の翠

2026-02-20
『恋と愛とそれとね』

あなたと積み上げていった思い出は
どれも色褪せないものに変わりなく
今の私を形成してくれているけれど。

これから先の私を形成するあなたが
私から離れていってしまうだなんて
あまりにもバッドエンドじゃないか。

離れないでほしかった、永く隣で
しょうもない話をしていたかった。

「なにそれ」と言って触れたかったし
私にはあなた以外、他には誰もいない。

あなたが離れていったあの日から
私の日常は色味を段々失っていき
もう、何が恋か愛か分からないね。

寄り添っていた頃、あなたが私に
ときめきが恋できらめきが愛だと
教えてくれたことだけ覚えていて。

忘れられないね、あなたのこと。

久しぶりに通りかかった公園の隅に
何か靄がかったものが見えた気して
近寄っていくと、溶けてしまうそれ。

思い出した、公園の隅で私とあなた
しゃがみ込んで花火をした日のこと。

そこにはきらめきだけが残っていて
私に愛だと知らしめてくるかのよう。

靄が段々晴れていって何もないと知り
私は来た道をトボトボと戻り家に帰る。

「ただいま」と誰も待っていない部屋に
私は呟いて洗面台で汚れた手を洗おうと。

あ、ハンドソープ買うの忘れた。

蛇口を捻って出てくる透明で手を洗い
右側に掛けられたタオルで手を拭いて。

ドサッとソファに腰を下ろし
テレビをつけてボーっとする。

テレビから出てくる音が
遠ざかっていく気がして
私はスマホに手を伸ばし。

あなたと話をしていたという過去を
スクロールしながら見返している中。

画面の上に通知が表示され
私の投稿に誰かがいいねを
押してくれたと教えてくれ。

誰だろうと思ってそのアプリを開き
いいねを押してくれた人を確認する。

心では「あなたでありますように」と
深く祈っている私がいるのだけれども。

気にしていない素振りのまま
ポン、と表示された人を見る。

友達だった、中学校の頃の。
もう、話してすらいない人。

運命なんてないじゃん、と呆れたりして
あなたの更新されたストーリーを眺める。

見ず知らずの人と見ず知らずの場所で
見ず知らずの表情をしたあなたが笑い
写っているそれがきらめきを放つから。

スマホを置いた。

苦しくなる心の理由をあなたなら
どう、説明してくれるのだろうか。

「それはときめきだから恋だね」
そう言われる気がして、悲しい。

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