それからのことは、どこか他人事のように感じられた。
葬儀が執り行われている最中、遺から問い詰められたけれど、俺はまともに答えることができなかった。
隆平を轢いた車はそのまま逃走し、今も捕まっていない。
暴走した車が俺を轢こうとしたところを隆平が庇い、そのまま……。
俺は間抜けだった。
自分が許せなかった。
その犯人を捕まえようにも、ただ事故が起こった衝撃でナンバーもろくに見ておらず、車種はその車が闇に飲まれるほど黒かったことしか記憶になかった。
遺族に深く頭を下げることしかできない自分が、酷く惨めで、でもどうしようもない。
葬儀が終わった後は、いつもの――いや、いつもとは違う日常が訪れた。
隆平と俺は小学校からの幼馴染で、中学から高校2年に上がった今でも、いつでも一緒だった。
「隆平……」
俺は二人で歩いた帰り道を、一人きりで力なく歩く。
前方をよく見てなくて人にぶつかったりもして、舌打ちされたけれど全く意識は他の方へ向いていた。
「りゅうへ……」
俺は泣き過ぎて腫れあがった目を、また涙で潤ませてしまう。
隆平、俺は……。
その時、一陣の風が吹き荒れて目を開けていられなくなった。
誰かの温かい手が頭に触れた気がして目を開けると、ふと深緑の木々に囲まれた鳥居が目についた。
「神社……」
通学路にいつもあって、何度か隆平と共にお参りしたこともあった。
確か高校への合格祈願も一緒にして、無事に合格できた時にお礼参りにも来た。
いつも、隆平とは一緒だったな……。
それだけに喪失感が大きすぎて、心に穴が開いたみたいだ。
それも、とてつもなく巨大な穴が。
俺は心に吹きすさぶ冷たい風を感じながら、一歩ずつゆっくりとその鳥居をくぐった。
特に何か目的があるわけではないけれど、招かれているような気がしたのだ。
境内へと向かう道すがら、黒いアゲハ蝶が俺を導くようにして前方を飛んでいき、鳥の囀りが軽やかに響いて、よく来たなと言われているように感じた。
「参ろう……」
俺は手水で手を洗うと、どこか厳かな気持ちで賽銭箱に百円玉を入れ、手を合わせる。
願うことはただ一つ。
隆平と、幽霊でもいいからもう一度会えますように。
お辞儀をして顔を上げた瞬間、何かが変わったわけではないけれど、気持ちのどこかが軽くなった。
葬儀が執り行われている最中、遺から問い詰められたけれど、俺はまともに答えることができなかった。
隆平を轢いた車はそのまま逃走し、今も捕まっていない。
暴走した車が俺を轢こうとしたところを隆平が庇い、そのまま……。
俺は間抜けだった。
自分が許せなかった。
その犯人を捕まえようにも、ただ事故が起こった衝撃でナンバーもろくに見ておらず、車種はその車が闇に飲まれるほど黒かったことしか記憶になかった。
遺族に深く頭を下げることしかできない自分が、酷く惨めで、でもどうしようもない。
葬儀が終わった後は、いつもの――いや、いつもとは違う日常が訪れた。
隆平と俺は小学校からの幼馴染で、中学から高校2年に上がった今でも、いつでも一緒だった。
「隆平……」
俺は二人で歩いた帰り道を、一人きりで力なく歩く。
前方をよく見てなくて人にぶつかったりもして、舌打ちされたけれど全く意識は他の方へ向いていた。
「りゅうへ……」
俺は泣き過ぎて腫れあがった目を、また涙で潤ませてしまう。
隆平、俺は……。
その時、一陣の風が吹き荒れて目を開けていられなくなった。
誰かの温かい手が頭に触れた気がして目を開けると、ふと深緑の木々に囲まれた鳥居が目についた。
「神社……」
通学路にいつもあって、何度か隆平と共にお参りしたこともあった。
確か高校への合格祈願も一緒にして、無事に合格できた時にお礼参りにも来た。
いつも、隆平とは一緒だったな……。
それだけに喪失感が大きすぎて、心に穴が開いたみたいだ。
それも、とてつもなく巨大な穴が。
俺は心に吹きすさぶ冷たい風を感じながら、一歩ずつゆっくりとその鳥居をくぐった。
特に何か目的があるわけではないけれど、招かれているような気がしたのだ。
境内へと向かう道すがら、黒いアゲハ蝶が俺を導くようにして前方を飛んでいき、鳥の囀りが軽やかに響いて、よく来たなと言われているように感じた。
「参ろう……」
俺は手水で手を洗うと、どこか厳かな気持ちで賽銭箱に百円玉を入れ、手を合わせる。
願うことはただ一つ。
隆平と、幽霊でもいいからもう一度会えますように。
お辞儀をして顔を上げた瞬間、何かが変わったわけではないけれど、気持ちのどこかが軽くなった。


