「隆平」
「うん?」
「めっちゃ降ってるね」
「だね」
俺と隆平は、土砂降りの雨の中、傘も差さずに笑い合いながら歩いていた。
「隆平、俺さ」
「うん」
「最近変な夢を見るんだ」
「夢?」
「うん、お前がこんな雨の中死んで、だけど俺の傍に幽霊になって現れてくれるの」
「何それ」
「さあ。でもすごく……」
その時、背後から猛スピードで車が突っ込んできて、俺は咄嗟に隆平の腕を引っ張り、道の端に寄る。
黒塗りの車は、壁に激突してフロントガラスがひしゃげた。
「っぶねー。怪我ない?」
「う、うん」
互いの無事を確認していると、ふと目が合い、そのまま自然に顔を寄せ合った。
なぜか、それが当たり前のことのような気がした。
このまま時が止まればいいのに、と思いながら俺は隆平の背中を掻き抱いた。


