時が止まるまで、君と

「うそ……だろ」
 俺は目の前で起きた出来事に理解が追いつかず、呆然とした。
 隆平は頭から血を流していることを除けば、眠っているみたいに穏やかな表情で横たわっている。
 衝撃から立ち直った後に襲いかかるのは、自己嫌悪と焦燥感だった。
「隆平!おい、隆平!」
 俺は隆平に駆け寄り、揺さぶろうとしたが、通りすがりの男に止められる。
「君!揺さぶったらいけないよ。頭から血が出てるから安静にしなきゃ」
 俺は男の台詞もまともに理解することができなかった。
 隆平の上体を持ち上げ、掻き抱く。
「隆平!りゅうへ……!何でだよ!なあ、返事しろよ。何で俺を庇ったんだ。隆平!!」
 隆平は俺の問いかけには答えない。
 瞼も動かず、いつの間にか降り出した雨が隆平の体温をどんどん奪って行ってしまう。
 俺は声の限りに絶叫し、慟哭(どうこく)した。