第七章:全国同時多発…同じ日に、別々の場所で
私は、資料室の重苦しい静寂のなか、次々に現れる「地名」の羅列に目眩を覚えた。
【共同通信・緊急配信ログ(19██年 7 月 21 日)】 10:15 名古屋駅地下街、巨大な「カ ビ状構造物」を確認。 12:40 大阪・梅田地下センターにて、「黄金の粘液」を発見。 15:00 岡山、博多、札幌。主要駅の地下にて類似の報告が相次ぐ。
[大阪・地下街警備員の報告書(7 月 21 日 夕刻)] 「…あれは、ただ生えているだけじゃ ないんです。地下の湿った空気のなかに、何かが『混ざっている』。 通路の隅にしゃがみ 込んで、壁をじっと見つめている人が何人もいました。私は見てしまいました。一人の老 婆が、震える指で壁の粘液をなぞり、それを口に運ぶのを。
[専門家合同コメント] 「…同時に発生したように見えますが、事実は異なります。おそら く、数週間前から全国の地下に根を張っていたのでしょう。つまり、今日から世界が変わったのではなく、世界がこうなっていたことに、我々が今日気づいただけなのです」
第五章でトラックが運んでいた「金色の霧」は、すでに全国の肺胞にまで届いていたの だ。
日本全国の人々の足元の土のなか、コンクリートの向こう側には、すでに巨大なひとつの 『個体』が横たわっていた。 「同時多発」ではない。「同時発覚」だったのだ。
私は、資料室の重苦しい静寂のなか、次々に現れる「地名」の羅列に目眩を覚えた。
【共同通信・緊急配信ログ(19██年 7 月 21 日)】 10:15 名古屋駅地下街、巨大な「カ ビ状構造物」を確認。 12:40 大阪・梅田地下センターにて、「黄金の粘液」を発見。 15:00 岡山、博多、札幌。主要駅の地下にて類似の報告が相次ぐ。
[大阪・地下街警備員の報告書(7 月 21 日 夕刻)] 「…あれは、ただ生えているだけじゃ ないんです。地下の湿った空気のなかに、何かが『混ざっている』。 通路の隅にしゃがみ 込んで、壁をじっと見つめている人が何人もいました。私は見てしまいました。一人の老 婆が、震える指で壁の粘液をなぞり、それを口に運ぶのを。
[専門家合同コメント] 「…同時に発生したように見えますが、事実は異なります。おそら く、数週間前から全国の地下に根を張っていたのでしょう。つまり、今日から世界が変わったのではなく、世界がこうなっていたことに、我々が今日気づいただけなのです」
第五章でトラックが運んでいた「金色の霧」は、すでに全国の肺胞にまで届いていたの だ。
日本全国の人々の足元の土のなか、コンクリートの向こう側には、すでに巨大なひとつの 『個体』が横たわっていた。 「同時多発」ではない。「同時発覚」だったのだ。

