君と過ごす、最後の四季

後日談 ― るかが残した手紙

春。

桜が咲いた。

みなとは一人で立っていた。

ポケットの中の封筒。

――みなとへ

震える手で開く。

みなとへ。

春、来た?

ちゃんと桜、咲いた?

一年くれてありがとう。

私ね、怖かった。

でもみなとが隣にいてくれたから、
私はかわいそうな一年じゃなかった。

幸せな四季だった。

春の写真、まだ持ってる?

夏の海、冷たかったね。

秋の紅葉、あの色、忘れないで。

冬のイルミネーション、
ほんとはもう立つのしんどかったけど、
手、離したくなかった。

お願いがある。

来年も桜見て。

再来年も。

私の分までじゃなくて、
みなとの春を生きて。

好きな人ができたら、幸せになって。

私はね、

みなとの隣で笑えたこと、
それが全部だった。

ずっと言えなかったけど。

私は、みなとのことが
世界で一番好きでした。

春が来るたび、
少しだけ思い出してくれたら、それでいい。

るかより。

手紙が震える。

桜が舞う。

「春、来たぞ」

みなとは空を見上げる。

涙は止まらない。

でも、歩き出す。

るかがくれた一年は終わった。

でも。

るかがくれた春は、
これからも続く。