最終章 春の手前 三月。 桜が咲く少し前。 私はみなとの手を握っていた。 「泣かないで」 「泣いてねぇよ」 「ありがとう」 「まだ言うな」 私は笑った。 「四季、全部くれた」 目を閉じる前、思った。 来年の桜は見られない。 でも。 私の春は、ちゃんと来た。 みなとの隣で。