春
桜の下で写真を撮った。
みなとはずっと隣。
「来年も見ような」
胸が痛む。
でも私は頷いた。
今だけは、信じたかった。
夏
海。
夕焼けの波がきらきらしていた。
「走れる?」
「走れるよ」
少し苦しかったけど、笑った。
帰り道、みなとは急に真剣な顔をした。
「るか」
「なに?」
「好きだよ」
世界が静かになる。
「もっと早く言えばよかった」
私は首を振る。
「今でよかった」
今だから、こんなに大切。
秋
山の公園。
紅葉が一面に広がっていた。
赤とオレンジと黄色。
「綺麗だな」
みなとが言う。
私は落ち葉を踏みしめる音を聞きながら歩く。
「ねぇ、覚えてて」
「なにを?」
「今日の匂いとか、空気とか」
忘れられるのが怖かった。
みなとは私の手を握る。
「覚えるよ」
「一生?」
「一生」
紅葉が風に舞う。
私はその景色を、心に焼き付けた。
冬
入院が増えた。
窓の外にイルミネーションが光る。
「寒いな」
「うん」
みなとは毎日来る。
「来年も見たいな」
ぽつりと言うと、
みなとは笑った。
「見るよ」
その声が少し震えてた。

