放課後になった。
今日もバイト先のレストランへ向かう。
店に着く目前、道端で猫をみつけた。
そうっと足音を極力けして近寄る。
スラッとした三毛猫だ。
座ってまっすぐ何かを見てる猫の瞳は硝子細工のように透き通っている。
視界の端にうつる伊達に気づいているはずだが動じる気配がない。
かがんで、じりじり近づいた。
逃げないので触ってもいいのか様子をうかがう。
「触ってもいい?」
手をゆっくりのばして首の後ろを少しだけさわる。ふれたときに、ぴくりとしただけで、動じないのでもう一度さっきよりも堂々と撫でる。
触らせてくれた感激と指先にふれる柔らかい毛並みに自然と笑みがこぼれた。
はたと視界の端で何かがいることを感じ取る。見ると、道の真向かいでカメラを構える明石がいた。
猫から手を離して立ち上がる。
レンズを持ったまま明石が言った。
「気にせず続けたらいい」
「何してるんですか」
「今ここに通りすがりの攻めがいたら確実に落ちているぞ、伊達氏。そして通りすがりの受けがいたら微笑ましい光景に思わずあしをとめる所だ」
「カメラ少しかして下さい」
「みるか?みたまえ、良く撮れているぞ」
ほら、と今しがたとった画像をみせてくる。
こっちを真っ直ぐみてる三毛猫とその三毛猫をみる伊達がうつっている。
画像を消してる最中に、思い出して先ほど居た場所を見たが、もう猫は居なかった。
消去し終え、店に入る。
「おはようございます」
店の外ではまだ明石が騒いでいるだろうか。勝手に人をとるのは、やめて下さいと言ったときだけ、伊達の顔をみて黙っていた。
撮ったあと許可を得ればいいかと呟いて。
全然わかってない。
