140字小説

 幼い頃の話。

 とある人に命を救われた。

 だが代償として、

 その人は帰らぬ人となった。

 声も

 服装も

 顔も

 何も覚えていない。

 結果だけ見ると一人の命を救った。

 もちろん名誉ある行動である。

 ただ救ったところで、

 名が残ることもなければ

 お礼を貰えるわけでもないのに。

 今日も忘れ去られた英雄に祈りを捧げる。