彼の笑顔が誰より可愛い。

翌日の午後六時三十分。夕方にもかかわらず盛夏の厳しい暑さが残る中、優作は勇が住むアパートの部屋の前に立っていた。
白地に『花火』の赤い文字が中央に入ったTシャツに紺色のジーンズ、こげ茶色のくせのある髪を首の後ろで結った彼は、どこか緊張した面持ちでインターホンを鳴らした。
扉の左側に取り付けられた機械が、ピンポーンと鈍い音を放つのが聞こえる。
幼い頃から何度か来ている勇の家だが、今日は心臓の鼓動がやけに早い。
どうしてこんな風になるのか優作には本当に分からなかった。
暫くして扉が開き、見慣れた勇の姿が現れた。
「よう優作、久しぶりだな。来る時暑かっただろ。今が一番暑い時間帯だからな」
紺色の髪に小さい顔、鼻筋の通った高い鼻、三白眼に小さい唇。筋肉が張ってガシッとしているが細マッチョのような程よい太さの首筋ーー見飽きたはずの勇の体型が見えた途端、優作の全身が火がついたように暑くなる。
それは真夏の灼熱地獄のせいではないと、優作は悟った。
「……なんか今日は一段と暑いね」違和感はあえて口にしない。
「屋上に行く前に部屋で少し休んでいくか?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
優作は苦笑いしながら顔の前で両手を振った。
部屋に上がることは友人として普通の行動のはずなのに、今はそれを考えただけで胸の鼓動がドクドクと鳴った。